11月1日に行われた帝京大との大一番で見事な勝利を収め、関東大学対抗戦(対抗戦)第1戦から全勝を維持する早大は次戦、中5日という過密スケジュールの中筑波大を迎え撃つ。昨季対抗戦では帝京大と同率の3位につけ、第4戦までの戦績は2勝2敗。開幕…

 11月1日に行われた帝京大との大一番で見事な勝利を収め、関東大学対抗戦(対抗戦)第1戦から全勝を維持する早大は次戦、中5日という過密スケジュールの中筑波大を迎え撃つ。昨季対抗戦では帝京大と同率の3位につけ、第4戦までの戦績は2勝2敗。開幕戦では前節明大を劇的勝利で下した慶大に土をつけるなど、強豪相手に互角以上の戦いを見せているだけに決して油断はできない相手だ。今季対抗戦のダークホースと言っても良いだろう。早大としてはこの筑波大から勝利をもぎ取り、残る早慶、早明戦に向けて弾みをつけたい。

 けが人などの影響による流動的なメンバー編成にも関わらず、各試合で起用された選手がそれぞれの持ち味を発揮して順調に白星を重ねている早大フィフティーン。開幕から4試合を終えて、『一戦一戦成長していって日本一になる』というNO・8丸尾崇真主将(文構4=東京・早実)の言葉通りに着実な成長を見せている。例年とは異なり春夏に実戦を積めないまま迎えた青学大との開幕戦では、相手の粘り強いディフェンスに思わぬ苦戦を強いられる。しかし、第4戦となった帝京大戦では合計体重で大きく上回る相手FWから2つのモールトライを奪い、スクラムにおいても高い修正能力を示した。キックパスや変則的なラインアウトで相手の隙を突くプレーも随所で見られ、多彩なアタックからトライを量産している。


FW戦で押し勝てるか

 さらに、好調のチームを支える要因として今年から赤黒の主力として戦う下級生の存在が挙げられる。日体大戦で自ら2トライを挙げるなど自身の理想とする「得点力のあるスクラムハーフ」を体現しているSH小西泰聖(スポ2=神奈川・桐蔭学園)や、ここまで3試合に先発し3トライを挙げているWTB槇瑛人(スポ2=東京・国学院久我山)、1年生ながら非凡な突破力を見せるフランカー村田陣悟(スポ1=京都成章)など、若い力の躍動がチームにより一層の厚みを与えている。前節の帝京大戦で対抗戦初出場、2トライを挙げMOMにも選出されたフランカー坪郷智輝(法4=埼玉・川越東)や、今回の試合にSOとして出場する河瀬諒介(スポ3=大阪・東海大仰星)にも注目が集まる。


帝京大戦で独走トライを挙げる槇

 対する筑波大陣営。開幕の慶大戦に30−19で快勝し幸先良くスタートを切った筑波大は、続く明大、帝京大に対しても簡単には相手に主導権を握らせない緊迫した展開を見せた。そんな今季の筑波大を語る上で欠かすことができないのは、スピードとパワーを併せ持ったBKの存在。1年生ながら開幕戦に先発し、強烈なジャッカルと巧みなオフロードパスで存在感を見せたCTB谷川隼大(筑波大)や、同試合でMOMに選出された2年生の俊足FB/WTB植村陽彦(筑波大)の突破力には警戒を要する。無論、持ち味の力強いディフェンスも健在だ。惜しくも黒星を喫した試合でも、フィジカルで勝る相手に対してスクラムやブレイクダウンで優位に立つ場面も見られた。高いスキルを誇るFWとBKの連携が噛み合えば、早大の脅威となることは間違いない。

 2年ぶりの対抗戦制覇、全国大学選手権の連覇を狙う早大にとって筑波大戦は絶対に負けられない1戦となる。開幕から強豪との対戦が続いた筑波大も試合を重ねるごとに着実に力を着けてきており、虎視眈々(こしたんたん)と上位を狙っている。力強い筑波大ディフェンスに早大FWがどこまで対応できるかが鍵となるだろう。帝京大、明大の黒星によりさらに混戦を極めることが予想される対抗戦。両者の熱い戦いに期待したい。

(記事 安岡菜月、写真 安岡菜月、橋口遼太郎)