先日13個目の「全仏オープン」のタイトルを獲得し、グランドスラム男子シン…

先日13個目の「全仏オープン」のタイトルを獲得し、グランドスラム男子シングルス最多優勝記録20回のロジャー・フェデラー(スイス)と並んだラファエル・ナダル(スペイン)。彼は試合中やベンチでの独特なルーティンでも知られているが、それはゲン担ぎなどではない、とナダルは言う。伊ニュースサイトUBI Tennisが伝えている。【動画】観る者を熱狂させる、ナダル、キリオスらの「神モード」まとめ

ナダルはクレーコート上でボールキッズからタオルを受け取る前に何度もベースラインをきれいにしたり、ゲームの間でベンチに座っている時、2本のボトルから少しずつ水を飲み、そのボトルを斜めに地面に並べたりする。

だがナダルはインタビューで、自分は縁起をかついでいるわけでも、「ルーティンの奴隷」になっているわけでもない、と語った。「僕は縁起かつぎじゃないよ、もしそうなら負けるたびにルーティンを変えているだろう。それにルーティンの奴隷という訳でもない」

「試合と練習は全然違う。僕はああいったことを、頭の中を整理するためにやってるんだ。僕はもともと結構ちらかす方だからね。あれは集中して、心の中の声を静めるためなんだ。その声が“僕は負けるだろう”と言うのを聞かないために、そしてもっと危険なのは“僕は勝つだろう”って言うのを聞かないためにね」

「全仏オープン」で自身の持っていた大会最多優勝記録を13に伸ばしたナダルは、同大会で通算100勝2敗という信じられないような記録を持っている。これについて、ナダルはさらに驚くべき告白をした。

「19歳で“全仏オープン”で初優勝した後に、もうテニスは無理だと言われたんだ。左足が少し変わった形をしていたせいで、耐えられないほどの痛みがあって、コートの真ん中に椅子を置いて、座ってトレーニングしていた。でも足のポジションを変える中敷きを作ってもらって、足は回復した。すると今度は膝に問題が出てきた」

だがナダルはそれらの苦境をすべて乗り越え、テニス史に残る名選手の一人となった。ナダルはこれまでにツアーレベルで86回優勝、世界ランキング1位在位209週。ナダルはそれらの結果に、身体面と同じぐらい精神面が大切だったと考えている。

「前向きな気持ちを持つことで、身体の弱さを心の強さに変える。遅かれ早かれ、物事は落ち着くべきところに落ち着く。抵抗する力をつけることだ。抵抗する以外に、解決法はない」

34歳のナダルはまだ引退は考えていないが、いつか引退したら、社会から置いていかれるリスクのある子供たちのために、もっと自分の慈善財団で働きたいと考えている。そして彼自身を含んだ「GOAT(Greatest of All Time、史上最も偉大な選手)は誰か」という議論に加わる気はないと言う。

「才能って何だろう。誰もがそれぞれの才能を持っている。なんでもたやすくできる人もいれば、長く続けられる人もいる。でも30分で良い記事を書ける人よりも、6時間かかっても素晴らしい記事を書く人の方が才能があるんじゃないかな」

「全仏オープン」後、初の実戦となる「ATP1000 パリ」(フランス・パリ/11月2日~8日/室内ハードコート)で、ナダルは初優勝を目指す。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「全仏オープン」でのナダル

(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)