全日本学生選手権(全日本インカレ)を11月に控え、全日本インカレに初出場する川合大貴(商3=埼玉・早稲田本庄)、芝崎鉄平(スポ3=東京・三鷹)、白石誉輝(スポ1=神奈川・深沢)の3人。初出場ということから初めての対談で、始めは緊張もみられ…

 全日本学生選手権(全日本インカレ)を11月に控え、全日本インカレに初出場する川合大貴(商3=埼玉・早稲田本庄)、芝崎鉄平(スポ3=東京・三鷹)、白石誉輝(スポ1=神奈川・深沢)の3人。初出場ということから初めての対談で、始めは緊張もみられたものの、終盤には笑いが飛び交う雰囲気に。そんな3人に大会前の心境を伺った。

 全日本インカレ直前特集、第3回に登場するのは、初出場のこの3人。新型コロナウイルスによって、例年にない状態で始まった今シーズンを3人はどのような思いで過ごしたのでしょうか。緊張などはあるのでしょうか。大会が目前に迫った3人の思いに迫ります。

※この取材は10月26日に行われたものです。

「着実にレベルアップはできている」(川合)


にこやかな笑顔でインタビューに応じる川合

――この一年を振り返っていかがですか

川合 コロナウイルスの影響もあって、練習時間が確保できないこともありましたが、他大学に比べたら比較的、練習時間を確保して活動できたと思います。レースは秋インカレ(秋季関東学生選手権)しかなかったのですが、総合優勝ができて着実にレベルアップはできているかなと思います。

白石 僕はまだ一年生で、まともに1年間練習ができていない中で、夏合宿でスキッパーからクルーに転向しました。まだ周りとのレベル差がある中で練習してきて、始めた頃よりは上手くなったと思うのですが、より上手になる必要があると練習しながら感じているので、今後の練習もクルーであった頃の経験を生かしてやっていきたいなと思います。

芝崎 この一年は例年通りにはいかなくて、いつもだったら春までにしっかり基礎練習をして、春からレースを通して経験を積んでいくという形でした。それがなかなかできない中で、ZOOMでミーティングをしたりオンラインでトレーニングをしたりして、オンラインという形ではありましたけど、その足りない部分を補いながらやってきました。それを夏でしっかり会場で実践という頃ことで秋の早慶戦という形につながって、今はいい流れでこられているのではないかと思います。

――3人から見て、今年のチームの雰囲気はいかがですか

川合 主将の虎太郎さん(松尾虎太郎主将、スポ4=山口・光)が明るい人だということもあって、すごく今まで以上にいい意味でにぎやかなチームだなと思います。

白石 僕も同じような感じなのですが、雰囲気は明るくて、練習中も陸に上がった時も、和気あいあいとしていて、練習するのが楽しい環境かなと思います。

芝崎 4年生は一番少ないので、少ない人数で頑張ってくれているのを見ているので、それを下級生が感じ取りながら支えようとしている人が多いのかなということを感じています。二人も言っていたように、明るい雰囲気があるので、しっかりそれを感じられているのかなと。完成度としては、今年の状況の中では高いところにあるのですが、最後まで気を抜かずにやらなければいけません。

――川合選手と芝崎選手は学年が上がって下級生と組むことが多くなったと思いますが、どのようなことを心がけていましたか

川合 チームで練習するということに慣れていなかったということもあって、みんなとまとまっているべきなのですが、孤立してしまうことがあったように思います。そのときに周りを見て主将がいる方に寄せておくということを心がけていました。

芝崎 自分は隣にいる白石と夏くらいまで組んでいたのですが、一年生ということで、またスナイプで乗るということも自分の歴の方が長かった。僕はクルーなのでスキッパーのことは正直わからないこともあるのですが、少しずつ二人で協力して、話し合いながらできればいいなと思っていて、それをずっと続けて心がけていけたのかなと思います。

――反対に白石選手は上級生と一緒に船に乗ることが多かったと思いますが、心がけていたことはありますか

白石 あまり意識していたことはなくて、海の上では上級生、下級生というものはないと思っていて、言葉遣いとかもそうですが、先輩後輩だと遠慮することもあると思いますが、そのようなものは考えずに自分の意見を伝えていました。これがペアの雰囲気作りのベースだと思い、練習をしていました。

――スナイプチームの仲はいかがですか

白石 意見のぶつかり合いとか…。ありますか(笑)?

芝崎 思ったことは言い合えているよね。

白石 そこは良いと思います。変に遠慮せずに、思ったことが言い合えるということが、チームを作る上で大事だと思っていて、そのような関係になれていると思います。

――今年の3月から6月まで活動休止されていたとのことですが、何をされていましたか

川合 トレーニング係というのが部の中にあるのですが、そのメンバーを中心に、部活としてはトレーニングをしていました。全員だと多くなってしまうので、何人かに分かれてヨットで使う筋肉のトレーニングを中心に体づくりをしていたという感じです。

白石 部では今川合さんがおっしゃったようなことをしていましが、個人的にはオンライン以外でも自分でトレーニングをしたり、ヨットの本を読んだりしていました。本当にこの二つくらいしかやってないです。

芝崎 個人的に地元の友人とトレーニングをしたり、走ったりしていましたね。部活で勧められたのは、携帯でできるヨットのゲームがあって、それを結構やっていました。

白石 めっちゃやってましたもんね(笑)。

芝崎 結構難しくって(笑)。

――現状の課題を教えてください

川合 僕はペアが変わったばかりで、主将と乗ることが多くなったのですが、今まで一緒に載っていなかったからこそ、僕にとっての課題は、いろんな動作の感覚の共有ということと、コースなどは虎太郎さんが上手に引いてくださるので、その動作のミスを完璧になくすということです。

白石 今回のインカレメンバーの人たちに比べて、圧倒的にクルーの経験日数というものが少なくて、劣っている部分がたくさんあるので、それをあと数日で直せるかと言われれば難しいと思います。しかし、それを最低限に抑えることや、動作のミスをしないということが今の課題です。

芝崎 自分もペアを組み始めたのが夏の終わりで、何回かは乗ったことはあったのですが、なかなか長い時間一緒に乗れていません。レースで悪い順位になった時に、お互い冷静になれなかったり、混戦の時に慌ててしまったが故のミスだったりが、昨日も練習をしていてあったので、そのようなところをいかに落ち着いて話し合って修正できるかというところが課題です。

「大学ヨットは特にチームスポーツ」(白石)


1年生ながら全日本インカレのメンバーに選出された白石

――ここからは少しプライベートについてお聞きします。活動休止期間で新しく始めたことはありますか

白石 正直あまり生活は変わらなかったんですよね。休止前と後で。自宅でのトレーニングが増えたくらいです。今まではジムとかに通っていたのですが、自宅でもできることが意外と多くて、時間ない時とかは家でやってみたりしていました。

芝崎 若干料理を始めました(笑)。僕は実家にいて、本当は前から少しやっていたのですが、あまりに時間がなくてやれていなくて、少し時間がある時は自分で食べたいものを作るってことをやっていました。

川合 何してるの(笑)。僕は英語の勉強をちょっとしましたけど、部活が始まった途端すぐやめました。

一同 (笑)。

――学業との両立はできていますか

川合 できていますね。

一同 (笑)。

川合 単位もほぼ落としていないので。僕は3年生なのですが、今季も4コマくらいしかなくて、4年もゼミだけなので、単位をほぼ全部撮り終わっている状態なので、できているかなと思います。

白石 僕も現時点ではできているかなと思います。まあ春学期しか受けていないので、なんとも言えないですけど。オンラインですし。両立という意味では、しっかりとスケジューリングして、トレーニングの時間と勉強する時間を1日のスケジュールを立ててやっています。今後も続けていきたいなと思っています。

芝崎 僕も結構大丈夫かなと思っています。あと、僕は教職をとっているので、そこら辺との兼ね合いができればいいかなと思います。今月と来月は課題が重なるので、授業をためないようにしていきたいです。

――ヨット以外の悩みはありますか

芝崎 就活…。

川合 就活ですね!

一同 (笑)。

川合 やばいです(笑)。あまり決まっていなくて、インターンとか行きたいのですが、僕が申し込んでないのもあるのですが、一回もいけていなくて…。就活頑張りたいです。

白石 1年生の段階で1年間がもう終わってしまうのに、キャンパスに行けていないので、友達があまりいないことが悩みです。もう2年生からはがっつり友達を作っていきたいです。

芝崎 悩みですか。彼女ができないことです。

一同 (笑)。

芝崎 みんなです、これはもう。

川合&白石 僕らは違います(笑)。

川合 出会いが多すぎるんで(笑)。

白石 選択肢が多すぎる(笑)。

――ヨットを始めたきっかけは何ですか

川合 僕が1年生の時の高校の部活の主将がヨット部にいて、入学した時に学部も僕は一緒だったので、「ちょっと来いよ」と誘ってもらって、そこからヨット楽しいなと思って、そこから始めました。

白石 僕は高1から始めたのですが、父親がヨットの仕事をしている上に、実際にヨットもやっているので、始めてみたいなと思いやってみました。そこで楽しかったので、それから始めました。

芝崎 僕は高校までサッカーをやっていたのですが、大学に入ってサッカーやるかヨットをやるかで悩んでいました。その時の同じクラスに小泉凱皇(スポ3=山口・光)がいて、ちょうどヨット部の新歓も見ていたので、面白そうだなと思いました。そこから、実際に合宿に参加させてもらって、やってみようと思ってこの部活に

――他に今までやっていたスポーツはありますか

川合 高校はラグビー部で、中学は卓球部でした。

白石 卓球やってたんですか?意外。初めて知った。

芝崎 卓球でいい成績残したらしいよ。

川合 でも、卓球部入らなかった。

白石 運動神経すごいですね。

芝崎 やばいよね(笑)。

川合 それと水泳をやっていました。

白石 僕は、小学1年生の1年間だけ水泳をやったのち、小学校中学校とサッカーをやっていました。高校からはヨットです。

芝崎 自分は小学校の頃は、サッカーと水泳と野球をやっていて、中学入ってからはサッカー1本で高校まで続けました。

――その経験がヨットに生きたと感じることはありますか

川合 スナイプは風が吹くと体をゴリゴリしないといけないので…。

一同 (笑)。

川合 ラグビーをやっていてことが生かされているかなと思います。

白石 体力的な面では、スポーツをやっていたということがヨットに生きていると思います。もう一つは、僕は主にずっとサッカーをやっていて、チームスポーツであるサッカーを通して、チームスポーツのあり方というものを小学校と中学校で学んでくることができました。ヨットも海の上だと一人であることもあって、個人スポーツだと思われがちですが、結局大学は特にチームスポーツだと感じています。ひとり乗りだと変わってきますが、そのような組織的なものを学んでいたので、とても生きていると感じます。

芝崎 あまり具体的にはないのですが、サッカーをやっていたので、下半身は割と鍛えられたと思っているので、ハイクアウトする時の筋力は割と前から持っていたと思います。また、高校では走ることなどしんどいことが多かったので、それに対する精神力なども鍛えられました。ハイクアウトすると後半は辛くなってくるのですが、それに対する精神力は生きていると思います。

「いつも通り臨むことが大事」(芝崎)


同期の蜂須賀とペアを組む芝崎

――全日本インカレまで残り1週間を切りました。心境はいかがですか

川合 風の強さで乗るか乗らないかが変わるのですが、もし自分の出番がきたらきっちり仕事をこなして、チームの総合優勝に貢献したいと思います。

白石 初めてのインカレなので、雰囲気などもわからないですし、正直今緊張しているかと言われれば、そんなに緊張はしていません。やはり優勝するという気持ちはみんな一緒ですし、その気持ちも僕は強いと思うので、現地に入ってもその気持ちを忘れずにみんなで戦っていければいいなと思います。

芝崎 自分は3年なのですが、選手としては初めて臨む大会なので、緊張はしています。レースを出るときに緊張しているとミスも多くなってしまうと思うので、いつも通り臨むことが大事なのかなとずっと考えていました。

――初めての全日本の舞台ですが、いかがでしょうか

川合 僕は偉大な虎太郎先輩とのらせていただくので、不安はないですね。

一同 (笑)。

白石 不安要素を残したまま現地入りするのは良くないと思うのですが、技術的に足りていない部分があるので、ミスをしないか不安はあります。ミスをしないようにちょうどいい緊張感を持てたら良いです。

芝崎 3艇の中で、4年生が3人、3年生が3人なのですが、僕らは唯一3年生のペアなので、4年生を最後いい形で引退させてあげられるように、僕らが足を引っ張らないように、ということが不安ではあります。そこが一番緊張しているポイントです(笑)。

――会場が西宮から和歌山に変更になりましたが、気持ちの変化はありましたか

川合 どっちも風が吹かないことが多いので、それほど変化はないですね。行くのがちょっと面倒くさくなったくらいです。

一同 (笑)。

白石 近いですもんね、西宮の方が(笑)。インターハイの西宮で、すごく吹かないときに大会に出たことがあるので、西宮については初めてでないということはありました。慣れている訳ではないですけど、経験したことがあったのでその経験を生かしたかったという気持ちはあったと思います。

芝崎 本当だったら西宮で昨年負けた悔しさを晴らしたいということはあったのですが、風などの状況も変わってきますし、気持ちをもう一回リセットして臨むことができるというのはいいことなのかなと思います。

――全日本インカレについての意気込みをお願いします

川合 インカレは乗るとしたら1番艇に乗るので、まずは虎太郎さんの足を引っ張らずにチームを引っ張っていけるように頑張っていきたいと思います。

白石 「総合優勝する」という目標があるので、その目標を達成できるように、サポートも含め、自分が出たらしっかりベストのレースができるようにしたいと思います。

芝崎 チームとしての目標は総合優勝なので、まずは自分の所属するスナイプチームでいい成績を残すために、自分たちのペアで先輩たちの艇もあるのですが、そこに負けないくらいの成績を残すように頑張っていきたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 足立優大、内海日和)


色紙を書いていただきました!

◆川合大貴(かわい・まさき)(※写真左)

1999年(平11)8月24日生まれ。164センチ。68キロ。早稲田大学本庄高等学院出身。商学部3年。一つ学年が下の金子俊輔(商2=埼玉・早稲田本庄)選手は川合選手が誘ったことでヨットを始めたそうです。高校時代はラグビー部の先輩後輩の関係だったとか。ラグビーをやっていたことが生きていると川合選手は話します。終始場を笑に包んでくれた川合選手が、和歌山の地でどのようなレースを見せてくれるのか。期待がかかります!

◆芝崎鉄平(しばさき・てっぺい)(※写真右)

1998(平10)年4月12日生まれ。172センチ。65キロ。都立三鷹高校出身。スポーツ科学部3年。3年生らしく落ち着いた表情で質問に答えてくれた芝崎選手ですが、ドライブが趣味だそうです。初めての全日本インカレということで緊張の色も見られましたが、本番ではチームを優勝に導くレースをしてくれることでしょう!

◆白石誉輝(しらいし・たかき)(※写真中央)

2001(平12)年5月8日生まれ。177センチ。73キロ。深沢高校出身。スポーツ科学部1年。趣味は筋トレと断言する白石選手。今年度は一度もキャンパスに足を踏み入れておらず、授業は全てオンラインで受けていると言います。それによって友達が少ないことが悩みだとか。1日のスケジュールを作り、その中にもトレーニングの時間をしっかり組み込んでいるそうです。着実に努力を重ねてきた白石選手のレースに注目です!