関東大学対抗戦(対抗戦)第4戦、早大にとって今大会一つ目のヤマ場がやってきた。相手は早大同様ここまで3戦3勝の帝京大。昨季はラストワンプレーでSH齋藤直人(令2スポ卒=現サントリー)がトライしたことにより、帝京大相手に劇的な勝利を手にした…

 関東大学対抗戦(対抗戦)第4戦、早大にとって今大会一つ目のヤマ場がやってきた。相手は早大同様ここまで3戦3勝の帝京大。昨季はラストワンプレーでSH齋藤直人(令2スポ卒=現サントリー)がトライしたことにより、帝京大相手に劇的な勝利を手にしたことが記憶に新しい。春夏の試合がことごとく中止になり、今季帝京大とは初対戦となる。ここまで無傷の3連勝を飾るのは、明大、早大、そして帝京大のみ。対抗戦優勝へ向けて負けるわけにはいかない。大一番が今始まろうとしている。

 『BKの早稲田』と言われるように、早大のBKは今年もタレント揃いだが、メンバーは流動的だ。昨年の優勝メンバーであるFB河瀬諒介(スポ3=大阪・東海大仰星)は今試合で今季初めてのベンチ入りをしたものの、いまだスタメンに名を連ねてはおらず、3試合全てでスタメン出場を果たしたBKは、SO吉村紘(スポ2=東福岡)とWTB古賀由教(スポ4=東福岡)の二人だけ。ここまでの3試合ではBKは13人もの選手が出場している。このヤマ場に向けて相良南海夫監督(平4政経卒=東京・早大学院)が敷く布陣は、いかに。今後のメンバー争いも含めて、期待が高まる。


3試合すべてにSOとして出場した吉村

 FWは「スクラムの部分は実力差がある中でしっかりコントロールできた」とプロップ小林賢太(スポ3=東福岡)が語るように、調子が上がってきている。「FW戦で負けないことを意識して、自分たちの強みをさらに強化していきたい」と小林。修正を繰り返し、準備に不足はない。8人のFWの中で、ロック下川甲嗣副将(スポ4=福岡・修猷館)をはじめとする4人は昨年の優勝メンバーであり、経験は十分。今試合で初めて対抗戦のスタメンを勝ち取ったフランカー坪郷智輝(法4=埼玉・川越東)にも注目が集まる。前試合の日体大戦ではモールからトライを取るなど、FWが主体的に得点を重ねていくシーンも見られた。フィジカルの強い帝京大を相手に油断はできないが、『スクラムの弱い早稲田』とはもう言わせない。


日体大戦でゲインを切る下川

 一方の帝京大は、かつて2009年から2017年まで、全国大学選手権9連覇という偉業を成し遂げたチームだ。ここ3年は優勝から遠ざかっているものの、多くのけが人を出し苦しんだ昨季とは異なり、万全の状態で臨む今大会。昨季の早大戦に出場した15人のうち、12人は今年も現役である。1番の脅威は強力FWだ。2人の外国人留学生を含む接近戦に力負けしないことが重要である。ここまでの日体大戦、筑波大戦、青学大戦を危なげなく勝利しており、前試合の青学大戦のスコアは122−0。18トライで完封と相手を圧倒した。今年の4年生は優勝を知る最後の学年。優勝への思いは強い。3試合を自身の練習グラウンドである東京・百草グラウンドで戦ってきた帝京大は、大きな思いを胸に東京・秩父宮ラグビー場に姿を現す。

 どちらにとっても負けられないこの一戦。今年の帝京大は、早大にとって例年以上に強敵であることは容易に想像できる。多くの人々が注目し、チケットは即日完売という人気ぶりだ。今季の意気込みとして、「一戦一戦成長していって日本一になる」とNO・8丸尾崇真主将(文構4=東京・早実)が話すように、前試合からの成長が勝利への鍵となる。秩父宮ラグビー場がどれほどの熱気に包まれるのか。フィールドでどんな熱い戦いが繰り広げられるのか。この大一番を決して見逃してはならない。

(記事 内海日和、写真 細井万里男、初見香菜子)