関東学生トーナメント(春関)本選は2日目を迎え、男子ダブルスと女子シングルスの1回戦が行われた。この日は風が強く、普段の会場とは違って周りに障害物のない大宮けんぽグラウンドでは強風がコートに吹きつけた。風上と風下でボールの飛び方などに違い…

 関東学生トーナメント(春関)本選は2日目を迎え、男子ダブルスと女子シングルスの1回戦が行われた。この日は風が強く、普段の会場とは違って周りに障害物のない大宮けんぽグラウンドでは強風がコートに吹きつけた。風上と風下でボールの飛び方などに違いが出る中、選手たちは風に対応した。女子シングルスは、神鳥舞(スポ1=東京・早実)、加藤梨々子(スポ3=山口・野田学園)の2人が初戦突破したが、男子ダブルスは2組とも初戦敗退という結果に終った。


前に詰めてボレーを決める田中

 名越大地(社3=兵庫・相生学園)・田中瑛大(スポ1=神奈川・湘南工大付)組は、序盤は積極的に前に詰めてボレーを決めていき、ファーストセットを獲得する。しかしセカンドセットは打ち急いでミスをしてしまい、「積極性が欠けて消極的になっていた」(名越)と、相手に流れを渡してしまう。5―7でセットを落とし、迎えたファイナルセット。いきなり5ポイントを奪われたものの、その後は粘って1ポイント差まで追い上げる。しかしあと1歩のところでミスが出てしまい、流れに乗りきれず敗戦を喫した。加藤翼(社4=和歌山・慶風)、尾形健悟(スポ2=香川・大手前) は1次予選から勝ち上がっての本戦。予選ではミスがほぼなく、両選手が『120パーセント』と自己採点するほど素晴らしい出来であった。しかしこの日は強風に翻弄されてしまった。勝負どころでのプレーは相手が一枚上手で、セカンドセットは相手の勢いに押される場面も目立ち、ストレート負けを喫した。

 期待のルーキー神鳥は亜大の安井愛乃と対戦。序盤は風の影響からか感覚が合わずミスをする展開が続く。しかし、中盤からはミスが少なくなり、左右のライン際に正確にストロークを決めていき、試合の主導権を握る。結局6―4、6―2でストレート勝ちを収めた。松田岬(スポ2=東京・淑徳)は「風上で攻められなかった」と、打球が追い風に乗って飛んでいく中で積極的なプレーができず、ファーストセットを落とす。セカンドセットはミスなく風上ではボレー、風下ではストロークで攻め、6ゲームを一挙に連取し、試合はファイナルセットへ。ここでも風上で思うように攻められず、ミスも出てしまい相手にリードされる。マッチポイントになってからは粘りを見せ、1点差まで詰め寄るも反撃はここまで。初戦突破はならなかった。加藤梨々子(スポ3=山口・野田学園)はファーストセットを6−1で難なく取ったが、続くセカンドセットを落としてしまう。ファイナルセットは持ち直して相手に4ポイントしか与えなかった。前田優歩(スポ2=沖縄尚学)は風の影響もあってか、序盤から相手のショットをうまくリターンすることができず苦しんだ。セカンドセット終盤にようやく流れを掴みかけたが、最後は自身のミスもあり敗れた。杉田栞(社3=埼玉・山村学園)は予選を勝ち上がり、自身初の本戦の舞台だったが、5−7、3−6のストレート負けを喫した。


風下側のコートでフォアハンドを打つ松田

 男子ダブルスはこの日2組が敗退し、残るはシード勢2組だけとなった。団体戦では3本あるダブルスを取っていくことが重要となるだけに、三菱全日本選手権に出場した影響で今大会出場していない白石光(スポ2=千葉・秀明八千代)と丹下将太(教育2=東京・早実)のペア以外の躍進は重要であった。シード勢2組が上位進出することで不安を拭い去りたいところだ。また女子シングルスでは2選手が1回戦を突破し、シードの選手たちと合わせると計11選手が2回戦を戦うこととなった。明日の試合では1人でも多くの選手が勝利することで、『早稲田の女子強し』の印象を植え付けたいところである。

(記事、写真 大島悠希、山床啓太)

結果


男子ダブルス
▽1回戦
●加藤翼・尾形健悟 [4-6、2-6] 内田涼太郎・小高拓海(駒大)
●名越大地・田中瑛大 [6-1、5-7、7-10] 河野翔・天崎荘汰(日大)

女子シングルス
▽1回戦
○加藤梨々子 [6-1、3-6、10-4] 牛尾成美(上武大)
○神鳥舞 [6-4、6-2] 安井愛乃(亜大)
●杉田栞 [5-7、3-6] 山下桜(日大)
●前田優歩 [2-6、4-6] 川出莉子(筑波大)
●松田岬 [3-6、6-1、8-10] 大村千乃(慶大) 

コメント

加藤翼(社4=和歌山・慶風)、尾形健悟(スポ2=香川・大手前)

――予選上がっての本戦でしたが、予選を振り返ると

加藤 僕が最後なので楽しくやって、そしたら2人ともいいプレーをすることができ、勝ち上がることができました。尾形はシングルスも一次予選からと、体力的にも交通費的にも大変だったと思うのですが、一試合でも多く試合をすることができて良かったです。

――本戦上がれたことはどのように感じますか

加藤 二次予選が勝てない相手ではなかったのですが、そこまで絶対に勝とうと強い気持ちを持って臨めてはいなかったのですが、一次予選と一緒で楽しく声出してやろうと臨んだら一次予選よりも良くて。ミスもほぼなくて。本戦は予選よりも風が強く、その対応が向こうの方がうまかったです。

――きょうの試合を振り返ると

尾形 風の影響で思うようなプレーを自分ができなくて。勝つことができなくて、少し悔しい思いがあります。

――チャンスボールは狙い打たれてしまいましたが

加藤 太陽も向こう側で眩しくて、そこをうまく突かれました。そこで無理してミスをすることが少なかったのは良かったのですが相手がうまかったです。

――どの程度満足のいくプレーができましたか

加藤 僕はもう120パーセント。これが自分の実力なのかもしれないですが、4年間の中で一番いいプレーができました。リターンミスも今日1、2本しかいなくて、大会を通して10本くらいしかしていないので良かったですね!僕は120パーセント出せました!

尾形 僕は二次予選までは120パーセントだったのですが、本戦は50パーセントくらいしか出せなかったので、来年は加藤さんの意思を継いで本戦を目指したいと思います。

加藤 最後いいですか!これまで春関には出たことがなかったのですが、4年生の最後で出ることができたので。コロナの中でも頑張っていたら4年生の最後に春関出ることができたので、皆も頑張って欲しいです。僕を見習って!(笑)

名越大地(社3=兵庫・相生学院)・田中瑛大(スポ1=神奈川・湘南工大付)

――今日の試合の第1セットを振り返っていかがですか

名越 第1セットは風も強かったので、風下だったらネットの上を通すといったように2人で徹底して、いい感じで流れも作れてすんなりといけました。

――積極的に前に出て攻めていたように感じますが

名越 普段から前に詰めてボレーを打った方がポイントも取れるし、緊張した場面でもそっちの方が自分らしくプレーできるので、ファーストセットは結構前でプレーすることができました。

――第2セットはミスから流れが相手に行ってしまったように思いますが、振り返っていかがですか

名越 おっしゃったように第2セットは取りたいという欲が強すぎて、自分たちが先に打ち急いで、そこからミスをして消極的になるという負の連鎖になっていきました。そこをもっとプレーの中で気づいて、ミスをしたら消極的になるのではなくて、積極的に守るのならいいんですけど、そういう積極性が全部欠けてしまった消極的になっていたのでそこが敗因かもしれません。

――ファイナルセットは1ポイント差まで詰めて、その後取り切れない展開となりましたが、振り返っていかがですか

名越 序盤の入りもあまりよくなかったんですけど、2人で声を出して盛り上げていった時に、自分が簡単にリターンミスをしてしまったので、そこで流れが途切れたというのがありました。流れに乗り切れなかったです。

――今後に向けての意気込みをお願いします

名越 夏関(関東学生選手権)という建前で2月に大きな試合があるので、今回は1回戦で負けてしまったんですけど、次は、1回戦は勝って弾みを付けていきたいです。

田中 今日の試合は反省できる点というか、今後もずっと活かせる、いい意味で最悪な経験をしてしまったので、この悔しい思いをしないように夏関まで練習して勝てるように頑張りたいです。

前田優歩(スポ2=沖縄尚学)

――シングルスも負けて、春関が終わってしまいましたが、率直な今の気持ちを教えてください

去年はインカレ(全日本学生選手権)にあと一歩のところで負けてしまい。新進まで(関東学生新進選手権)はいい感じで試合をすることができ、段々と調子が上がってきていたのですが。コロナの影響もあり、試合ができない時期や、春関がずれたりとして…。インカレには行きたかったのですが、ダブルスで負けてしまい。それはすぐに切り替えることができたのですが。風が強くて、それを分かって試合には臨んだのですが、相手の方がしぶとくコートに球を入れていて、私が我慢できずに。その部分で差があったと思います。

――相手はサウスポーの選手でしたがどうでしたか

右利きや左利きはあまり気にならなかったのですが、向こうはダブルスのインカレが決まっているので、思いっきり戦ってくるだろうなと思い。私も思い切ってプレーをしていたのですが、流れに乗り切れず。

――流れについての話がありましたが、最後の方は少しだけ流れに乗りかけてた感じがしましたが

ファーストセットは全然駄目なままで終わったのですが、セカンドセットは切り替えて入ったのですが。できることをやろうと思って声を出してプレーをしたり、ボールを全部クロスに返そうと思ってプレーしたりと。決めたことをやったことで多少ファーストセットよりは良くなっていたのですが、取るべきところを取れず。セカンドセットも4ー5のアドバンテージから変なミスをしてしまったので、そのような部分を攻め切らないといけないなと思いました。

――最後に来年に向けた意気込みをお願いします

大学に入ってから実績を残せていなく、次こそは次こそはとなっているのですが。目標は高く、いつか結果は付いてくると諦めずいきたいと思います。

松田岬(スポ2=東京・淑徳)

――第1セットを振り返っていかがですか

ブレイクされた場面が結構あって、風上で攻めなければいけないのに攻められませんでした。風下では打っていけるからポイントを取れても、そこからつなげて風上で攻めていけなかったので、それがよくなかったです。相手もそういう感じはあったんですけど、もう少し風上で自分から行けていたら、簡単にポイントも取れていたし、やるべきことができていなかったかなと思います。

――第2セットは6ゲームを一気に取りましたが振り返っていかがですか

ファーストは終わり方があまりよくなくて。とにかく風がすごく強いので、どこまでミスをなくしていけるかというのが大事だと思って、色々考えてやりました。風上のときは相手のボールも浅くなるので、どんどん中に入ってどっちかというとボレーでいこうと思って、風下ではファーストもそんなに悪くなかったので、打っていきました。相手のミスもそこで出てきたので、それも大きかったと思います。

――ファイナルセットは途中から流れが相手に行ったと思いますが、振り返っていかがですか

ファーストで自分が風上で振れていなかったので、最初から振れていればまずファイナルに入ることもなかったと思うし、ファーストの振れない自信のなさが大事な場面で出てきてしまいました。最後は粘ることができましたが、短期集中で行かなければいけないところで簡単なミスをしてしまい、10点という短い中でもったいなかったと思います。

――風の対応は今後の課題にもなってくるのでしょうか

今回は会場が大宮でしたが、大学でも風の中でやらなければいけないことはありますし、インカレもどうなるかわからないんですけど、風もいろいろな大会で対応しなければならないと思います。風下はよかったとして風上での攻め方もしっかりしなければいけないなと思います。

――今後のダブルスの試合に向けて意気込みをお願いします

昨日とりあえず勝ってインカレに近づいたというのはありますし、次も強い子達で風もあると思うので、できることをやるしかないです。可能性があるので頑張りたいと思います。