全日本大学選手権(インカレ)も最終日4日目を迎え、決勝戦が行われた。2015年以来5年ぶりに、出場した全艇が決勝戦に駒を進めていた女子部。全種目制覇、完全優勝こそ届かなかったものの、僅差のレースを制した舵手なしクォドルプルをはじめ、3種目…

 全日本大学選手権(インカレ)も最終日4日目を迎え、決勝戦が行われた。2015年以来5年ぶりに、出場した全艇が決勝戦に駒を進めていた女子部。全種目制覇、完全優勝こそ届かなかったものの、僅差のレースを制した舵手なしクォドルプルをはじめ、3種目で優勝、1種目で準優勝と、ワセジョの強さを大いに見せつけ、総合優勝3連覇を果たした。

★盤石なレース運びで勝利(シングルスカル)

 まず決勝が行われたのはシングルスカル。2週間前の全日本選手権で監督の期待以上の好成績を出していた茂内さくら(社2=秋田)は、予選、準決勝でも好調を維持し、後続と大差をつけるレースで勝ち進んできた。決勝レースは、準決勝タイム全体1位の柿島(金沢大)との一騎打ちとなる。スタートで柿島に先行されるも、中盤で並んだ茂内。大きなストロークさばきで、じりじりとリードを広げると、そのまま1着でフィニッシュ。シングルスカル挑戦から間もない茂内であったが、見事優勝を成し遂げた。


優勝して拳を挙げるシングルスカル・茂内

★ルーキーが躍動(舵手なしペア・ダブルスカル)

 続いての種目は舵手なしペア。1年生ながら全日本選手権(全日本)でエイトのメンバーに入った郡磨璃(スポ1=東京・文京学院大女)と大崎未稀(スポ3=福井・美方)のペアが出場する。決勝は序盤から立命大が抜け出すレース展開に。それでも2位の位置をキープしてフィニッシュ。堂々の準優勝となった。連続で表彰台入りする中、武井愛奈(スポ1=長野・諏訪清陵)と松井友理乃(スポ4=愛媛・今治西)の1、4年生コンビがダブルスカルに出漕。早大と同じように、準決勝で2位に10秒以上の差をつけた立大とのデットヒートとなった。一時は早大が半艇身差、先行する時もあったが、立大が猛烈な追い上げをみせ、残り100mでほぼ横1線に。それでも早大は、0.13秒差で振り切った。これで早大は2種目制覇となった。

★明暗分かれた上級生クルー(舵手なしクォドルプル・舵手付きフォア)

 藤田彩也香女子主将(スポ4=東京・小松川)ら精鋭を擁する舵手なしクォドルプル。決勝では、第2~3クオーターにかけて明大に半艇身差ほど先行を許していた。それでも「これぞワセジョの意地といえる、ラストスパートをみせられたと思います」と、宇野聡恵(スポ3=大分・日田)が振り返ったように、諦めず全力で漕いだ早大は、ぐんぐん差を縮めていく。傍目にはどちらが先着かわからない、ほぼ同時のフィニッシュとなった。結果は、0.15秒差の僅差で、早大の優勝。力を出し切った最高のレースとなった。舵手つきフォアは敗者復活戦1着となり、決勝に駒を進めた。序盤こそ全艇が並んでいたものの、スイープ種目に強い立命大が抜け出す。中盤から遅れをとった早大は、5着でフィニッシュとなった。


大接戦を制して優勝した舵手なしクォドルプル

  5種目中3種目制覇、1種目準優勝の輝かしい結果を打ち出した女子部。ここまで部を引っ張っていた4年生は本大会を持って引退となる。その4年生について、「日々の努力の積み重ねで勝てたかなと思います」と内田監督(昭54教卒=長野・岡谷南)が話すように、本大会の終盤で見せた強さの裏には、4年間を通じた地道な努力があった。来年はインカレ4連覇、そして完全優勝の偉業なるかーー。「女王早稲田」のさらなる活躍に向かって、新たな挑戦へと漕ぎ出していく。

(記事 樋本岳、写真 早稲田大学漕艇部)




結果

総合18点 総合1位(3連覇)

決勝

【舵手なしクォドルプル】

S:安井咲智女子副将(スポ4=東京・小松川)
3:宇都宮沙紀(商4=愛媛・今治西)
2:宇野聡恵(スポ3=大分・日田)
B:藤田彩也香女子主将(スポ4=東京・小松川)

6分48秒07 【1着 総合1位】

【ダブルスカル】

S:武井愛奈(スポ1=長野・諏訪清陵)
B:松井友理乃(スポ4=愛媛・今治西)

7分32秒64 【1着 総合1位】

【シングルスカル】

茂内さくら(社2=秋田)

8分11秒60 【1着 総合1位】

【舵手なしペア】

S:大崎未稀(スポ4=福井・美方)
B:郡磨璃(スポ1=文京学院大女)

7分53秒57 【2着 総合2位】

【舵手付きフォア】

C:奈良岡寛子(教4=青森)
S:三浦彩朱佳(文4=青森)
3:中尾咲月(スポ2=三重・津)
2:高田涼花(社2=静岡・浜松西)
B:尾嶋歩美(スポ4=埼玉・南陵)

7分29秒35 【5着 総合5位】

コメント

内田大介監督(昭54教卒=長野・岡谷南)

――全種目制覇ならなかったものの、好成績を残した女子部の戦いぶりについて

 学生レベルの大会で出来不出来の確実性が低いので、こないだは良かったけど次はダメだったという風にばらつきがありますが、そういった点では他大学の猛追に勝ち切ったというのは非常に素晴らしいことだったと思います。

――女子舵手なしクォドルプルが大接戦を制して優勝できた勝因は何か

 「絶対勝つ」という自信が大きいと思います。第2〜3クォーターにかけて明大にリードを許してしまいましたが、第4クォーターで勝ち切れたのは早稲田のメンタルだと思います。

――女子部のインカレを振り返って

 願わくば2015年以来の全種目制覇とは思いましたが、他大学のメンバー構成を見ればよくぞここまで勝てたなと思います。

――引退する4年生はどんな学年だったか

 女子部に関しては日々努力の学年でした。決してスター選手がいるということではありませんでしたし、他大学に比べて体格的には劣っていましたが、日々の努力の積み重ねで勝てたかなと思います。男子部に関しても、トップアスリートがいるかと言われればこの学年はそれほどでもなかったので、一歩一歩積み上げてきたという印象が強いです。

――これからは次期主将である船木豪太(スポ3=静岡・浜松北)選手と宇野聡恵(スポ3=大分・日田)選手を中心になっていくが、来年の漕艇部について

 男子部はインカレで活躍した種目に2、3年生が多かったので、多分来年ブレイクしてくれるかなと期待しています。特にエイトはかなり期待できるかなと思います。女子部に関しては、努力してここまで積み上げてきた4年生がいなくなるので、4年生を超えるような努力をしていかないと今年並みの成績は上がらないかなという感じです。彼女らの努力に期待しています。