昨年関東大学リーグ3位に終わり、王座14連覇を逃した女子部。『奪還』を目指して、選手たちは練習に励んできた。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、関東大学リーグ(リーグ)と王座が中止。思わぬ形で、王座制覇を断たれてしまった。昨年は…

 昨年関東大学リーグ3位に終わり、王座14連覇を逃した女子部。『奪還』を目指して、選手たちは練習に励んできた。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、関東大学リーグ(リーグ)と王座が中止。思わぬ形で、王座制覇を断たれてしまった。昨年は早慶対抗試合(早慶戦)、リーグと連敗を喫した宿敵との一戦に、選手たちは並々ならぬ思いを持って臨んだ。しかしエース清水映里女子主将(スポ4=埼玉・山村学園)をけがで欠いた早大は、苦戦を強いられることとなった。

惜しくも敗れてしまった吉岡(左)・下地組

 「私が出なかったことで出た選手もいましたし、私が出なかったことで本来出るポジションより一つ上で出た選手も多かったので、まずは戦ってくれてありがとうと言いたいです」(清水)。今回の早慶戦ではけがの影響で清水は大事を取ることになったが、エースを欠いても自信を持って送り出せるメンバーがチームには揃っていた。ダブルス1で起用されたのは下地奈緒(社4=沖縄尚学)、吉岡希紗(スポ2=三重・四日市商)組。対戦相手の佐藤南帆・永田杏里組も昨年の全日本選手権ベスト4と、ハイレベルな対戦カードが実現した。試合はファイナルセットまで及んだが、最後は相手の勝負強さの前に屈してしまった。「奈緒さんが前衛の時のポイントパターンだったり、取るべきところは取ることができた」(吉岡)と、お互いの長所を存分に生かすことができていた。下地が前衛を務める時に見せる積極的な攻めの展開は、相手に十分驚異となっていた。ダブルス2に入ったのはダブルス巧者の石川琴実(社2=東京・白鵬女子)とルーキーの神鳥舞(スポ1=東京・早実)。相手は昨年の全日本学生選手権準優勝と学生トップレベルの実力を持つペアであったが、神鳥の力強いストロークなどを前に相手は苦しんだ。6-3、6-2とストレートで勝利し、1勝1敗でシングルスに折り返した。

 シングルス4で起用された安藤優希(スポ2=東京・日出)がストレートで勝利し、チームに2勝目を持ち帰る。しかしシングルス5の石川は、関東学生新進選手権準々決勝で接戦の末に敗れた今田穂にリベンジすることができず。またシングルス2の倉持美穂(商4=東京・早実)は昨年のリーグで勝利した平田歩の返り討ちにあってしまった。団体戦の勝利のためには、もう1試合も落とせない状況にーー。勝負の命運はシングルス1の吉岡とシングルス3の神鳥に託されることとなった。吉岡も「シングルス1でやるんだ」と強い思いを持って試合に入ることはできていたが、総合力で上回っていた相手に徐々にポイントを広げられてしまう。セカンドセットは1ゲームしか取ることができず、3-6、1-6のストレート負け。神鳥も粘りを見せたが、ファイナルセットの末に敗戦。早慶戦は昨年から3連敗となってしまった。


シングルス4で勝利を挙げた安藤

 計2-5ではあったが、エースの清水を欠く状況の中で、内容を見ると十分勝利に迫ることができていたように感じる。ダブルス2以外は全選手が残る慶應を相手に、来年以降の団体戦で勝利してくためには。今回の試合を通して選手たちは自分たちの足りない部分を見つめ直すことができたのではないだろうか。「後輩たちはコロナで苦しめられた中でやってきたことを自身に、頑張ってほしいと思います」(清水)。4年生たちが叶えることができなかった思いも背負って、3年生以下の選手たちにはリベンジを果たしてもらいたいところだ。

(記事 大島悠希)

結果

●早大 2―5 慶大

▽女子ダブルス
D1● 下地奈緒・吉岡希紗 [7-5、2-6、5ー7] 佐藤南帆・永田杏里
D2○ 石川琴実・神鳥舞 [6-3、6-2] 望月菜々子・大村千乃


▽女子シングルス
S1● 吉岡希紗 [3-6、1-6] 佐藤南帆
S2● 倉持美穂 [2-6、5-7] 平田歩
S3● 神鳥舞 [6-4、1-6、4-6] 永田杏里
S4○ 安藤優希 [6-2、6-3] 末野聡子
S5● 石川琴実 [4-6、2-6] 今田穂

※インタビューは10月14日に行われたものです。

コメント

清水映里女子主将(スポ4=埼玉・山村学園)

――今回の早慶戦欠場されましたが

けがでした。

――出場した選手にはどのような声を掛けましたか

私が出なかったことで出た選手もいましたし、私が出なかったことで本来出るポジションより一つ上で出た選手も多かったので、まずは戦ってくれてありがとうと言いたいです。皆とは練習を一緒にしてきたので、皆の調子も分かっていたので、自信を持って送り出せるメンバーだったので堂々と戦ってきて欲しいと言いました。

――団体戦を勝利する上で期待していた選手は

全員ですが、特に4年の同期は今年卒業して最後なので。下地(奈緒、社4=沖縄尚学)とかは特にそうだったので、頑張って欲しかったし、私の分まで頑張ると言ってくれてうれしかったです。

――シングルス1で吉岡(希紗=スポ2・四日市商)さんが敗れてチームは敗北することになりましたが。振り返ってみると

去年は春もリーグ(関東大学リーグ)でも負けていたので、こちらはチャレンジの気持ちを持って臨む試合でした。慶應も実力のある選手が勢揃いでレベルが高いことは分かっていたので、最初から厳しい戦いになることは分かっていました。まずダブルス2で勝って流れがいいまま、ダブルス1もマッチポイントまでいくなど、あと一歩のいい試合でした。倉持(美穂、商4=東京・早実)もセットポイントがあったり、神鳥(舞、スポ1=東京・早実)も足がつったけど最後まで…。特に吉岡は感謝しています。試合中堂々と戦ってくれましたし、自分たちの応援からパワーをもらいにきてくれたりと、本当にありがとうの気持ちが強いです。そうですね〜。負けてはしまいましたが、試合内容を見るとあと少しでした。そういう部分で勝ち切れないのは慶應のすごい部分ですし、まだまだこちらの課題であるなと思います。今回コロナの中で拍手だけの応援で、選手が声を出さないと団体戦の一体感を出すのが難しいのも分かっていましたし、サポートの子も選手に寄り添ってサポートできていました。自分も4年になって初めてサポートをしたことで、サポートの大変さを知れたことは良かったと思います。

――早慶戦で4年生は引退となりますが、同期に掛ける言葉はありますか

もうありがとうしかないです〜!!(笑)

――王座を今後目指す後輩に向けて一言ありますか

欲を言えば今年王座(全日本大学対抗王座決定試合)があって、そこで奪還したい思いが強かったのですが。後輩たちはコロナで苦しめられた中でやってきたことを自信に、頑張ってほしいと思います。私たちのリベンジを果たして欲しいです。

――全日本選手権には出られますか

早慶戦出ることができなかったのに全日本選手権を頑張りますと言うのは申し訳ないですが、早稲田大学所属で大きな出る大会は最後になると思うので、この4年間早稲田で出れたことに感謝の気持ちを持って、プレーしたいと思います。

倉持美穂(商4=東京・早実)

――9月は一般大会にも出られていたと思うのですが、早慶戦に向けてどのような練習をしてきましたか

夏は試合がなく練習だったので、大会も出たんですが、試合感を取り戻すために試行錯誤していました。大会は1回だけ出ましたけど、久しぶりだったので緊張しましたね。

――今回の早慶戦ではシングルス唯一の出場となりましたが

本当は清水(映里女子主将、スポ4=埼玉・山村学園)も出たかったとは思うのですが、自分がただ一人4年で出るということで自分の試合だけでなく、他のコートにも目を配りました。後輩にいい影響、流れをつくれるように声を出したり、鼓舞したり、精神面をサポートするようにしました。

――試合内容を振り返ると

試合は負けてしまい、思うことはあります。団体戦では1本の正確さが大事だと思いました。アグレッシッブにいくことは大事だと思いました。

――早慶戦は3連敗となりましたが、4年生として感じるところはありますか

悔しい部分はあります。うまく話せないですけど、コロナの中で皆で取り組んできたことは良かったと思います。結果に結び付かないことは悔しくて、良かった部分も結果に出なかった部分も、全部受け入れます。次の後輩たちが勝ってくれるように、これから練習していけたらと思います。

――今後の関東学生トーナメント(春関)、全日本学生選手権(インカレ)に向けた意気込みは

春関とインカレがあるということで最後の学生大会になると思うので、頑張りたいと思います。

――卒業後もプレーは続けますか

はい。続けます。

神鳥舞(スポ1=東京・早実)

――1年生ながら今回の早慶戦で単複出番がありましたが、出ることが決まって、緊張などはしましたか

直前までダブルスに出るか分からなく、試合前は大学の団体戦が初めてなので緊張はすごいしました。試合に入ったら緊張はなかったです。

――その中でダブルスでは勝利しましたが

1個上の石川琴実(社2=神奈川・白鵬女子)さんと組ませてもらって、琴実さんとのダブルスは楽しくて、緊張よりも楽しんでやる気持ちが強く。それが勝ちにつながったと思います。

――試合中に強打の場面もありましたが、プレー内容を振り返ると

相手がどちらかというとボレーが得意な選手だったので、自分はストロークの方が得意なので、どんどんストロークでいい球を打ち、琴実さんが前で動きやすいように心掛けていました。

――シングルスでは1ゲームも落とせない中で、コートに入りました。どのようなことを考えてコートに入りましたか

チームが勝つためにはもう1ゲームも落とせない状況だったのですが、そこをあまりプレッシャーにしすぎずに、のびのびと強気でプレーすることができました。

――ファーストセットを振り返ると

最初からギアを上げていって、強気で入りました。自分が攻められるポイントより、攻めるポイントの方が多かったです。ミスも多かったのですが、最後は強気でやることでポイントを取り切れました。

――今後春関、インカレとありますが、そこにむけた意気込みをお願いします

春関は本戦からということで、一個でも多く勝つ。いい状態でインカレにつなげたいと思います。

――そこでの具体的な目標はありますか

う〜ん。じゃあ、まあ。もちろん優勝目指してやるんですけど!(笑)。現実どうなるか分からないです。でも優勝目指して頑張りたいと思います(笑)

下地奈緒(社4=沖縄尚学)、吉岡希紗(スポ2=三重・四日市商)

――お二人は、今回の早慶戦のダブルスに向けてどのような調整をしてきましたか

下地 (インタビューが)久しぶりすぎて、なんか(笑)。どんな調整…。

吉岡 試合が限られている中で早慶戦ができることになって、一週間前から対校戦を組んでの試合だったりとら直前ではあったのですが実戦的な試合ができたことで、課題が分かりました。

下地 今回早慶戦ができることになってからの調整は吉岡が言ってくれた通りです。吉岡と今回の早慶戦で組むことはリーグや全日本選手権の時から予想できていて、1年間試合に出ることを考えてやってきていました。

――団体戦を勝利するために、落とせない試合でしたが、どのような心境で試合に入りましたか

吉岡 慶應のダブルス1の2人も私たちと同じで全日本選手権ベスト4、インカレでは優勝しているペアということでチャレンジャーの気持ちでいくと同時に勝つつもりで試合には入りました。

下地 最後4年生として出るということで、4年生の責任として勝たないといけない。チームに勝ちを持っていく役割だと思っていたので、そこは意識しながら練習に取り組んでいました。試合に入っても絶対に勝つつもりでいました。結果的には負けてしまいましたが、プレー内容としては勝ちにつながる内容だったと思います。

――プレー内容の話もありましたが、ペアリングは満足のいくものでしたか

下地 2人の強みや良さを出すことはできましたし、練習の成果は出せたのではないかと思います。

吉岡 私もほぼ同じです。それぞれの良さを生かしたり、補ったりすることができました。奈緒さんが前衛の時のポイントパターンだったりと、取るべきところは取ることができたと思います。

――シングルスでは清水選手の欠場という形で、シングルス1で出場されることになりましたが、緊張などはありましたか

吉岡 映里さんがけがをして早慶戦に間に合うか分からない状況で練習が続いていました。コーチからもシングルス1に出る覚悟で練習しろと言われていたのですが、オーダー発表の時には戸惑いもありましたが、試合に入る時には私がシングルス1でやるんだとの思いを持って試合に入ることはできました。相手の方が慶應のシングルス1としての覚悟が決まっていたと思いますし、まだ自分の力が足りていない部分がありました。

――今後2年間、シングルス1として同じ顔合わせになっていくとは思うのですが、勝つために上げていきたい部分は

吉岡 相手はユニバーシアード優勝したりと、大学のトップの選手で欠点があまりない。自分が絶対取らないといけないところでのミスはありえないです。簡単ではないと思うのですが、自分の細かい甘さをなくし、自分に厳しくやっていくことができれば勝てるようになると思うので頑張っていきたいと思います。

――春関、インカレへの意気込みは

下地 早慶戦が終わり個人戦が始まるということで吉岡と組めるのも最後だと思うので、一試合一試合を噛みしめながら大事に。いいプレーもできたらとは思うのですが、最後勝って終わりたいです。吉岡をもっと引っ張っていけるようにしたいです。あとシングルスにも出るので、自分が楽しんで最大限自分の良さを発揮できればと思います。

吉岡 1年生の頃から組ませていただいて、夏関を優勝することができたり、全日本選手権ではベスト4に入ることができたので、それを自信に変える。いい意味でその気持ちを忘れて、フレッシュな気持ちで戦いたいです。今までは団体戦でチームのために勝つという思いが強かったのですが、これからは個人戦です。一緒に頑張ってきた奈緒さんと優勝したい、頑張りたいなと思います。シングルスも去年は思うような結果を残せなかったのですが、楽しくやれば結果は自然と付いてくると思うので、思い切って楽しみながらやりたいと思います。