V字回復がこの秋の大きなテーマとなる。2019年春を制覇しながら直後の2シーズンはまさかの連続5位。明治にとって、これ…

 V字回復がこの秋の大きなテーマとなる。2019年春を制覇しながら直後の2シーズンはまさかの連続5位。明治にとって、これは1971年春秋以来49年ぶりの屈辱だ。しかし、逆襲に出るだけの戦力は整っている。  
 実際、早稲田大との開幕戦では1-7とワンサイド負けしたものの、2回戦では初回に3点を失いながら中盤以降に反撃し、3-3の引き分け。立教大戦では打線が爆発し2試合とも9点を挙げ、逆転勝ちしている。太田空主務が今春との違いを強調した。

「風通しのいいチームを目指し、下級生とのコミュニケーションをいままで以上に取るようにしてきた。試合に出ている1、2年生が物怖じせずにできている」  

チームスローガンは”継勝”とした。受け継ぐものは伝統の”人間力”と勝利への執念。自分たちの代で絶やすわけにはいかない。公家響主将が言う。  
「継承の”承”を”勝”にしたのは勝つことを意識するため。昨年春に優勝した先輩たちのように勝たないといけない。スローガンの意味を問いただし戦っていく」  

 明治と言えば人間力。それを植えつけた「島岡御大」を抜きに語れないだろう。1950年代から80年代にかけて君臨した島岡吉郎。いまでも出身地の長野県・高森でキャンプが行われ、島岡イズムが息づいている。  
 御大の像に参拝するのも伝統の儀式だ。OBでもある田中武宏監督は「月初めや試合前に像の前で校歌を歌うと選手はもちろん、コーチ、監督も気持ちが引き締まる。明治の良さは結束力。多くのOBが12球団にいて先輩、後輩があいさつをかわす。他大学から”明治はいいな”と言われる。今年のチームも結束力はトップクラスといっていいですよ」と話す。  

 その明治もコロナ禍に見舞われたが、4年生が原動力となって、まとまりが生まれた部分もあるという。「こちらから、あれこれ言うとストレスの上にストレスが溜まるので言わないようにしました」と田中監督。太田主務は「朝の検温、密にならないように食堂での食事の取り方などみんな協力的だった」と話し、公家主将も「野球をするために入部したのだから意味のない上からの圧はやめることにし、一丸ムードをつくれている」とチーム内の変化を感じ取っていた。

 その一方で残念なこともあった。コロナの影響を受け、近年の新たな伝統になっていた米国キャンプが中止になったことだ。これは「世界を知る」という大学側の方針で始まった海外交流活動の一環。4年に1回実施されており、公家主将は「私は2年生のときに行かせてもらった。体の違いや練習、雰囲気の違いなど、いい経験をさせてもらった。行ったことのない学年には、ぜひ経験してもらいたい」と、こちらの”継承”も望んでいた。

 その意味でも今回から始まるスポーツギフティングサービス「Unlim(アンリム)」は大きな役割を果たしてくれるかもしれない。「大学からも遠征代、道具代など支援していただいていますが、そのような形でサポートしていただいて練習環境を整え、チームに還元できればありがたい」と田中監督。太田主務も「ボールやバットは消耗品ですし、ケガの防止につながるような環境作りができれば」と期待した。  

 OBで闘将と言われた星野仙一さんのように燃える材料はまだある。この春は入場がかなわなかった応援団も秋からは部分的に解禁。外野席からの声援とはいえ、少しずつ球場の雰囲気は戻りつつある。

「春もベンチの掛け声は明治が一番うるさくしていたと思うので、これは継続していきたい。味方同士が奮い立つように声を掛け合いたい。応援団からは”お互いにがんばろう”とメッセージをもらったし、たくさんのOBからSNSや電話などで激励していただいた」と公家主将。これらすべてを力に変えるつもりだ。  

 過去20シーズンではリーグ最多7度の優勝を誇る明治。この17日からは慶應、その後は東大戦と続くが、3シーズンぶりのV奪還のためには絶対に落とせない戦いとなる。

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