3連勝とノリに乗る早大の目の前に立ちはだかったのは関東秋季リーグ(秋リーグ)Aグループで早大に次いで2位の明大。ここでの勝者がBグループ1位との優勝決定戦に大きく近づくことができる試合とあって、会場は異様な緊張感に包まれていた。ゲーム開始…

 3連勝とノリに乗る早大の目の前に立ちはだかったのは関東秋季リーグ(秋リーグ)Aグループで早大に次いで2位の明大。ここでの勝者がBグループ1位との優勝決定戦に大きく近づくことができる試合とあって、会場は異様な緊張感に包まれていた。ゲーム開始の合図がなると、前半は明大の強烈なシュートに苦しめられ苦戦する展開に。だが、後半にかけて徐々に堅守速攻のペースを取り戻すと主導権を明大から奪い突き放していく。結果は30―27でゲームセット。見事、早大は優勝決定戦に駒を進めることとなった。

 勝因についてRW前田理玖(スポ4=福井・高志)はこう語った。「気持ちの面で相手に少し勝っていたかな」。勝てば優勝決定戦の切符を手にすることができる今回の試合は絶対に負けられない。勝利への執念すら感じるプレーが実を結び、早大は勝ち星をたぐり寄せた。とはいえ相手はここまで秋季リーグ戦負けなしの明大。前半は鉄壁のはずのディフェンスをミドルシュートで何度も割られてしまう場面が目立った。セットオフェンスでなんとか喰らいつくものの『守って速攻』という流れには持っていけず、点差が開いていく。明大の流れができていく中であと一点が遠く、前半は12−15で折り返してしまった。


相手のシュートに構えるGK中村(中央)

 不穏な空気が流れる中で後半戦がスタート。だが39秒にGK中村匠(スポ3=千葉・市川)がナイスセービングを見せるとカウンターでCB岡本隼(商4=滋賀・彦根東)が先制弾を放つ。前半を受け明大に合わせてラインを引き上げたディフェンスが功をそうし、徐々に早大に主導権が傾いていく。そうして後半10分に待望の瞬間が訪れる。リーグ通して好調なRB阿南遼星主将(スポ4=大阪・大体大浪商)がゴールネットに強烈なジャンプシュートを突き刺し明大と初めて同点に。焦る明大だったが、強みのディフェンスが機能した早大を止めることはできなかった。佐藤法俊(スポ3=長野・屋代)や村井達也(スポ3=富山・高岡広陵)などのスタメン外の選手の活躍、選手全員が体を張ってこぼれ球を拾いにいく姿勢は観客すら圧倒する。終了のブザーが鳴るその瞬間まで貪欲に、そして冷静にディフェンスからの速攻を展開し30―27で勝利。ベンチからの歓喜の声とともに、選手たちはこの劇的な勝利をチームメイトと噛み締めていた。


右サイドからシュートを狙う村井

 ワセダセブンの公式戦も残り一戦となってしまった。これまでの試合で繰り広げられた数々のプレーから感じ取れるものがあるとすれば『覚悟』の一言だ。全員で必ず勝利を積み重ねていくという決意がこの連勝を生んでいるのだろう。そして今まさに昨年、なし得なかったリーグ優勝が手に届く範囲にある。輝かしい栄冠を掴むことができるのか。早大の真価が問われている。

(記事 高橋さくら、写真 栗林真子)

関東学生秋季リーグ
早大3012−15
18−12
27明大
GK 中村匠(スポ3=千葉・市川)
P V 中村祐貴(スポ4=北海道・札幌西)
C B 岡本隼(商4=滋賀・彦根東)
R B 阿南遼星(スポ4=大阪・大体大浪商)
L B 山本慶(スポ4=長野・屋代高)
R W 前田理玖(スポ4=福井・高志)
L W 長谷川靖幸(法3=早実)
コメント

前田理玖(スポ4=福井・高志)

――まずは今回の試合を終えての率直な感想をお願いします

めちゃめちゃ嬉しいです。

―今回の勝因はどこにあると思われますか

技術面というよりかは気持ちの面で相手に少し勝っていたのかなっていうのはあります。

――早大と同じく無敗でリーグを進めてきた相手だけに試合前は何か緊張感などはあったりしましたか

もしきょう負けても明治の来週の試合の勝敗次第で優勝の可能性はあったんですけどやっぱり自分たちできょう勝って優勝したいという思いがチーム全体に浸透していました。

――今回の試合の早大オフェンスについてはどうでしたか

なんか予想していた相手のディフェンスと試合する時点で変わっていて一応、対策はしてきてたんで、まぁ焦ることなく準備してきたことを出せたかなという感じです。前半、ちょっとうまく得点につながらない場面もあったんですけど強みはやっぱり守って速攻なんでしっかり軸としてセットオフェンスでもしっかり攻め切れたのかなと思います。

――後半にかけて特にディフェンスが立て直したような印象がありましたが、具体的にどういったところを変更されましたか

前半、やっぱりちょっとディフェンスはラインが低くなってまぁミドルシュートが結構入っちゃってた部分があったのでまぁ一応プラン通りではあったんですけど予想以上に入ってしまったので全員のラインをちょっと上げることでミドルシュートに対して対応していったという感じですね。

――ご自身のプレーに点数をつけるなら何点になりますか、その理由もお願いします

80点ですね。20点足りない部分としては秋リーグを通して大事な場面で決めきれるところ去年よりも増えたんですけどまぁその反面シュートミスだったりが増えてきてるのでエースとしてしっかりミスを減らしながら得点にも絡む決勝に向けてやるっていう意味で80点にしました。

――次戦への意気込みをお願いします

中大もスター選手揃いで、僕たち早大は雑草軍団?というかあんまりスター選手がいないんですけどこの4戦やってきたようにしっかりと泥臭く勝ちこだわって試合に臨みたいなと思っています。中大は地元結構、同じ選手とかいるんで個人的にも絶対負けたくないと思っているので勝ちます。

岡本隼(商4=滋賀=彦根東)

――今回の試合を終えて率直な感想をお願いします

とても嬉しいです!嬉しすぎます!

―強敵の明大戦を臨むにあたって何か対策などをされていたことはありますか

そうですね、分析班を中心にビデオで研究して、相手のキーパーの研究と相手のキーマンとセットオフェンスを研究してそれに基づいた対策をしていました。

――後半にかけて立て直したような印象があったディフェンスですが、前半と比べて何か変化した点はありましたか

真ん中で上に抜かれるシュートがあったので佑貴(PV中村祐貴、スポ4=北海道・札幌西)と相談して僕が出るっていうことでシュートへのプレッシャーを強くいくというのと、まぁ後半最後らへんに原遼太(スポ4=岡山・総社)が入ってきてちょっとディフェンス全体的に締まってきて良い雰囲気になってきたのでその流れを継続した感じですね。あとは匠(GK中村匠、スポ3=千葉・市川)が後半あたってきたので良い感じになりました。

――今回の試合でのご自身の活躍を振り返ってみていかがでしたか

前半はちょっと不甲斐ない部分もあって、まぁ60点ぐらいですかね。ちょっとシュート確率が言われてるんですけど入んなくてそれを決勝という良い舞台があるということで修正していけたらなと思っています。

――今回の勝因についてはかなりディフェンスが大きかったというような感じでしょうか

そうですね、みんなそう(言う)と思います。そうですね、あとはやっててやっぱり後半のチーム全体の一体感というのが本当に凄くて。僕が疲れた時も中惣(中惣健友、スポ2=石川・小松)が出てくれたりとしかして全員が補い合いながら1つのチームになっているなと感じられたので良かったです。

――次戦への意気込みをお願いします

僕自身、決勝という舞台に立つことが人生で初めてなのでチーム全員で優勝をとりにいきます。

遠藤瞭(スポ4=神奈川・法政第二)

――試合を終えての率直な感想をお願いします

勝ってほっとしたっていうのもありますし、次は決勝なのでそこへ良い形で繋げられたらと思っています。

―今回の勝因はどういったところにあったと思われますか

後半のディフェンスの立て直しだったり、チーム一丸となって勝利を目指したことが要因の1つなのかなと思います。

――後半での出場となりましたが、ご自身のプレーを振り返ってみていかがでしたか

祐貴(PV中村祐貴、スポ4=北海道・札幌西)が出ている時間が長いので、やっぱり体力的にもしんどい部分はあるのでそういったところを少しでもカバーできたら良いなと思っていつも望んでいるので、今日はそういった意味ではしっかりと自分の役割を果たせたのかなと思います。

――教育実習の関係で公式戦はきょうで最後となってしまいましたが今回のリーグ戦を振り返ってみてどのようなリーグとなりましたか

きょうで最後というのはわかっていたので、目標を立てながらやっていたのでやっぱり課題も色々出ましたし、自分としても良い成果として挙げられているのものがあるのかなと思っているのでそう思うと実りのある良いリーグになったのかなと思います。

――次戦は早大にどういったことを期待しますか

そうですね、もう彼らに任せます(笑)。やってくれると思うので!

佐藤法俊(スポ3=長野・屋代)

――今日の試合を振り返ってみていかがでしょうか

この試合に勝って自分たちで優勝決定戦まで行こうという、絶対勝たなきゃいけないなという気持ちで臨みました。

――明大戦に向けて何か対策はしてこられましたか

相手は能力が高くて、上から打ってくる選手とかが多いので、スーパーシュートとかは割り切って切り替えて、速攻で勝とうということでやってきました。

――自身のプレーを振り返ってみていかがでしょうか

後半戦の途中出場ということでしたが、結構サイドが空いていたのでボールを貰ったら飛び込もうという気持ちでした。結果的には2分の1ではあったんですけど、少しでもチームに勢いをもたらせたのかなと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

 この秋リーグは最初で最後のタイトルになるので、しっかりとチーム一丸となって勝ち切れるように残りの2週間準備をしていきたいと思います。

中村匠(スポ3=千葉・市川)

――今日の試合を振り返ってみていかがでしょうか

勝てて良かったです。今回勝てばグループリーグ1位ということが決まっていましたし、チームも結構気合を入れて臨んでいた感じだったので、勝ててとてもうれしいです。

――相手オフェンスに対して何か対策はしてこられましたか

ロングシュートを勝負するということだったので、逆エース(RB)の選手のロングシュートは打たせて取る、真ん中で打ってくるシュートはしっかり当たって僕で勝負するという対策をしてきました。

――今日の試合のみでなく、どの試合でも好セーブを見せていたのが印象的でした。自身のプレーを振り返ってみていかがでしょうか

今日は試合の前から、敵チームがロングシュートを打ってくるのが得意なチームだったので、そこは敢えて勝負にしてディフェンスをやろうということになっていたんですけど、前半戦は思っていたよりも当たってはいたんですけど、中々敵もうまくて結構点を取られてしまいました。後半は修正して頑張ろうということで、結果的には12点だったのでよかったです。(自身のプレーとしては)60点ぐらいです。

――次戦への意気込みをお願いします。

次は4年生最後の試合で優勝も懸かっているので、何としてでも勝ちたいと思います。

村井達也(スポ3=富山・高岡向陵)

――今日の試合を振り返ってみていかがでしょうか

途中からの出場というのはわかっていたのでイメージを膨らませていたんですけど、やっぱり公式戦となると、ベンチ入りも初めてでしたし、自分の中では入りこみづらいところもあったんですけど、試合としては勝てたのでよかったかなと思います。

――自身のプレーを振り返ってみていかがでしょうか

けがからの復帰後(の試合)だったので、体力的にディフェンスが嫌だなという感じはあったんですけど、システム上どうしても二枚目をやることになって。ディフェンスはあまり内容は良くなかったんですけど、オフェンスは攻めるところは絞って、ちゃんと自分の役割をやっていけたかなと思います。

――自身のシュートが決まった時の心情はどうでしたか

いや、もう嬉しいですね(笑)。

――次戦への意気込みをお願いします

相手は別グループの1位ということで、強いチームだと思いますけど、今回のリーグを通して対策を練ってチームとしてうまく勝てるのかなという感じなので、対戦相手が決まり次第対策を練ってやっていければ全然勝てると思うので、頑張っていきたいと思います。

塚本智宇(スポ1=富山・高岡向陵)

――今日の試合を振り返ってみていかがでしょうか

ミドル勝負という戦術でやっていたんですけど、相手のミドルが止まらなくて滅茶苦茶(球が)入ってしまって。途中から修正して、ミドルを打たせないようにディフェンスを先輩たちが変えられて、頑張って勝てた良いゲームだったと思います。

――7メートルスローを止めたときの心情はいかがでしたか

気持ちよかったです!

――明大戦に向けて何か対策はしてこられましたか

球が速かったので、先輩に4メートルラインからシュートを投げてもらって特訓しました。

――次戦への意気込みをお願いします

今のところ7メートルスローを全て止めれているので、もし(次戦で7メートルスローの)機会があればちゃんと止めて、100%で終わらせたいです。