9回1死までノーヒットノーランの快投でNTT東日本の佐々木に投げ勝つ 今秋ドラフト候補のJR東日本・伊藤将司投手が5日、都市対抗野球の東京2次予選第一代表決定戦に登板し、1安打無四死球で完封勝利を挙げた。チームは11年連続23回目の本選進出…

9回1死までノーヒットノーランの快投でNTT東日本の佐々木に投げ勝つ

 今秋ドラフト候補のJR東日本・伊藤将司投手が5日、都市対抗野球の東京2次予選第一代表決定戦に登板し、1安打無四死球で完封勝利を挙げた。チームは11年連続23回目の本選進出を決め、伊藤は「(新任の)濱岡監督の初めての大会。その中でチームが優勝できてよかった」と喜びを口にした。

 伊藤の直球は、最速140キロ台中盤。それでも出所の見づらいフォームから投じる変化球を自在に操り、大一番のゲームを支配した。NTT東日本の先発マウンドには同じ左腕の佐々木。最速152キロを誇る剛腕・佐々木と投球術で相手を翻弄する伊藤の投げ合いに、視察に訪れた10球団のスカウトも釘付けになった。

 両軍合わせてわずか3安打のしびれる投手戦を制した伊藤は「(佐々木とは)同じサウスポーとして負けられないし、同じ東京都でいいライバル関係。今日は勝ててよかったです」と勝利を噛みしめた。今月26日のドラフト会議を前にその注目度は日に日に増しており、伊藤は「いいアピールになったと思う」と笑顔も見せていた。

 8回まで許した走者は6回1死から三失で背負った1人のみ。最終回も見逃し三振で1死を奪い、ノーヒットノーランまであと2死まで迫ったが、9番・長澤に甘く入ったツーシームを中前に運ばれた。伊藤は「意識しないでやろうとしたけど、打たれたのは悔しい」と苦笑いだった。

 続く桝澤を二直に打ち取り、勝利まであと1人というところでマウンドに濱岡監督が駆け寄った。「27個目(のアウト)が一番難しい」と一声かけられた伊藤は、代打・越前に対し、この日最速の143キロ直球を投げ込み、最後は縦方向の変化球で空振り三振に仕留めた。1安打完封で、チームは東京地区一番乗りで本選出場を決めた。伊藤は「今日はバックに助けてもらった。そこが一番大きかった」と好守で盛り立てた野手に感謝した。

 新型コロナウイルスの影響で、東京地区の予選は無観客試合に。伊藤は「JRの応援グループも準備してきたが、こういう結果になってしまった」と無人のスタンドを見つめ悔しがった。オフシーズンの12月には御茶ノ水駅での社業にも励んだ経験があるという伊藤。「都市対抗ではお客さんが入ると思う。そういう(応援の)機会を与えられてよかった」と企業チームのエースらしく胸を張っていた。(安藤かなみ / Kanami Ando)