新型コロナウイルスの影響を受け、リンクが一時閉鎖されるなど練習中断を余儀なくされたフィギュアスケーターたち。自粛期間を経て抱いた、シーズン前の思いについてのインタビューを届けする。(この取材は8月24日に行われたものです)第4回は山隈太一…

 新型コロナウイルスの影響を受け、リンクが一時閉鎖されるなど練習中断を余儀なくされたフィギュアスケーターたち。自粛期間を経て抱いた、シーズン前の思いについてのインタビューを届けする。

(この取材は8月24日に行われたものです)

第4回は山隈太一朗(営2=芦屋国際)のインタビューです。(1)の続きとなります。

――コロナ期間はどう過ごしていましたか。

 「ほとんど家から出ませんでした。もともとそんなに外に出るタイプではなかったのでそこまでストレスを感じることはなかったです。ただ、3月に帰省してからそのまま東京に戻ってこれなくなりました。家ではサッカーの試合を見たり、陸上でのトレーニングをしたりしていました。今年20歳になったので、早くみんなと飲みに行きたいです」

――応援しているリバプールがプレミアリーグで優勝しました。

 「ありがとうございますという感じです(笑)。時間があれば試合を見ていました。今まで見ていなかった試合も見たりして、こういう選手もいるんだという発見もありました」

――陸上でのトレーニングはどのようなメニューでしたか。

 「トレーナーの方に送っていただくメニューに追加して、自分で考えたものを取り入れました。僕の場合は瞬発力やジャンプ力が必要だと思っていて、公園でひたすらジャンプをしたり縄跳びや回転の練習をしたりというのを増やしました。多分傍から見たら変な人でした(笑)」

――氷に乗っての練習はいつごろ再開できたんですか。

 「5月の終わりだったと思います。地元の兵庫県のリンクが開くタイミングでした。兵庫にいる時はいつも通りくらいの頻度で、週に6日は入っていました」

――感覚はどうでしたか。

 「本当に鈍っていました。感覚を取り戻すのに2カ月くらいかかりました。こんなに休むこともなかったので悪い癖を治そうとしていたら、ジャンプも訳が分からなくなってしまいました。スケーティング同じようにしていても滑りが今までの半分くらいしか行かなかったり。なかなか戻って来なかったです。それは今も100%かと言われたらそうではないです。新しいスケートになっている可能性もあるのでまだ完成形が見えない状況です」

――どういったことをモチベーションにしていましたか。

 「ジャンプが崩れていた2カ月はこのまま腐っていくのかなとネガティブな気持ちになることが多かったんですけど、パフォーマンスがある程度戻ってからは苦労して手に入れたものなので大事にしたいという気持ちでした。自分の悪い癖を治したのですごく良くなっていると、周りの人たちにも褒めていただいていて目に見えて成果が出ているのが一つのモチベーションです。あとは毎日自分の感覚が変わる中で、どうすればいつものパフォーマンスを出せるのかと考えていると、すごく細かい感覚にも気付けるようになったので、練習しがいがあるなと感じます」

――自粛期間には他大学の選手と一緒にファンミーティングもされていました。

 「楽しかったですしフィギュアスケーターというのは特殊なんだなと感じて、自分がアイドルになったような気持ちでした。呼んでくださったことが嬉しかったですし、今までやったことがなくて準備も大変でしたが、始まってみると楽しかったです」

――今後の目標を教えてください。

 「インカレで優勝するのが大きな目標の一つで、大学に貢献できていないのが自分の中であるので。(今年の目標は)個人としては去年悔しい思いをした全日本選手権で完成度の高い演技を披露したいです。そうすれば結果はついてくると思うので、全日本で完成形を見せられるようにします。あとは、日本代表に入りたいです。四大陸選手権などに選考されるような順位に入りたいです」

――ファンの方々に向けてメッセージをお願いします。

 「今年は皆さんの前で演技する機会は少ないかもしれませんが、全日本などの皆さんに見てもらえるような試合の時に自分のパフォーマンスを発揮して、楽しんでいただけるようにこれから頑張ります」

[中野拓土]