先制のホームランを放つ清宮(早稲田実)15日の明治神宮大会高校の部決勝は、高校最高レベルの強打者によるホームランの競演となった。試合は序盤から激しい打ち合いとなる。口火を切ったのは早稲田実業の3番・キャプテン清宮幸太郎。一回裏二死から履正社…

先制のホームランを放つ清宮(早稲田実)

15日の明治神宮大会高校の部決勝は、高校最高レベルの強打者によるホームランの競演となった。

試合は序盤から激しい打ち合いとなる。口火を切ったのは早稲田実業の3番・キャプテン清宮幸太郎。一回裏二死から履正社の先発・松井百代の速球を叩いた。「真っ直ぐだけを狙って打てました。打った瞬間行ったと思いました」という、ライナーでライトスタンドに突き刺さるソロ本塁打により早実が先制する。

しかし履正社も2回表に同点へ追いつく。そして3回表一死1、3塁のチャンスには、3番・安田尚憲の打順が回ってきた。

「高めのストレートだった。犠牲フライでもOKだったので(狙う)ゾーンを上げて対応した。外野フライの延長でホームランを打った」という安田がバットを一閃すると、打球はライトスタンド中段へ。この3ラン本塁打で履正社が4-1とリードを広げる。

188センチ・92キロの体格から生まれるパワーはもちろん、1打席目は差し込まれて打ち損じたインコースの真っ直ぐに、しっかり修正して対応した安田の賢さが光るバッティングでもあった。

ライトスタンド中段まで届くホームランを放った安田(履正社)

早実も3回裏に試合をひっくり返す。無死1、3塁から清宮がライト前タイムリー安打で本日2打点目を挙げると、4番・野村大樹もレフトオーバーの2点タイムリー二塁打で続く。早実はこの回に一挙5点を加え、試合を6-4とひっくり返した。

履正社は先発の松井に続いて二番手の岡田雷大も打ち込まれ、3回裏二死からエースの竹田祐をつぎ込む展開になった。

岡田龍生監督はこう振り返る。「(竹田の登板は)6回からと思っていました。『最初から投げます』って言ってたんですけれど、今日は(1回戦から通算して)4試合目じゃないですか?近畿大会も含めてずっと放っているので、完投は厳しいんじゃないか?と思った」

しかし竹田の疲れを感じない好投で早実打線の勢いが完全に止まった。

4回表。履正社は安田の犠飛、4番・若林のタイムリーなどで再逆転に成功する。そして二死1、2塁から7番・片山悠が早実を一気に突き放す3ラン本塁打。1イニング7得点のビッグイニングで、結果的にはこれが試合のトドメとなった。

早実も後続の投手が試合を立て直すが、履正社は竹田が圧巻のロングリリーフを見せる。9回は「もう自分のMAXで投げていました」という渾身の投球で、彼にとって本日最速となる145キロを記録。6回3分の1を無失点に封じ、荒れ模様の展開を一変させる好投だった。

ロングリリーフで試合を締めた竹田(履正社)

安田は4打数2安打4打点。清宮は3打数2安打2打点2四球。東西の強打者が真価を見せた激動のシーソーゲームは、投手陣を含めた総合力で上回った履正社に凱歌が上がっている。

安打   014 601 010 13
履正社 ┃013|700|000┃11
早稲田実┃105|000|000┃6
安打   125 201 102 14
【早】中川、赤嶺、池田、服部―雪山
【履】松井、田中、竹田―片山
本塁打:清宮(早実)、安田(履正社)、片山(履正社)

文=大島和人
写真=山本晃子