今年1月の『荒ぶる』から約9ヶ月。春季大会が中止となり、新体制として初めて迎えた公式戦。感染症拡大防止のため、間隔をあけて座る4260人の観客が見守る中、東京・秩父宮ラグビー場で関東大学対抗戦(対抗戦)が開幕した。早大が初戦の相手として…

  今年1月の『荒ぶる』から約9ヶ月。春季大会が中止となり、新体制として初めて迎えた公式戦。感染症拡大防止のため、間隔をあけて座る4260人の観客が見守る中、東京・秩父宮ラグビー場で関東大学対抗戦(対抗戦)が開幕した。早大が初戦の相手として迎えたのは、昨年1点も与えず圧倒した青学大。今試合をものにして、来週以降の試合に弾みをつけたいところだ。早大は前半3分に先制し優位に立つが、前半終了間際に立て続けに得点を許し、19―10というスコアでハーフタイムに入った。続く後半、早大は、一時1トライ差まで迫られたが、CTB松下怜央(スポ2=神奈川・関東学院六浦)らの活躍で最後は青学大を突き放し、47―21で勝利を収めた。

  開始早々試合は動く。前半3分、早大は青学大のペナルティーから敵陣10メートル付近でのラインアウトを成功させる。その後、SO吉村紘(スポ2=東福岡)からボールを受けたWTB古賀由教(スポ4=東福岡)が絶妙なタイミングでパスをし、フランカー田中智幸(政経3=東京・早大学院)がインゴール中央に飛び込んだ。キックも成功し、幸先よく先制する。そのまま勢いに乗りたい早大だが、12分、自陣5メートル付近でのラインアウトをきっかけに、青学大FWの猛攻に遭う。しかし、我慢強くディフェンスを続け青学大のノットリリースザボールのペナルティーを誘った。

 その後は早大、青学大ともに反則が相次ぎ、得点できない時間が続く。この均衡を破ったのは早大だった。27分、早大は敵陣5メートルでのマイボールのラインアウトからモールで前進。そして、ラックサイドを突破してプロップ小林賢太(スポ3=東福岡)がトライ。追加点を挙げ、12―0とする。続く29分、小林がラインブレイクして敵陣まで入り込むと、並走していたSH小西泰聖(スポ2=神奈川・桐蔭学園)にボールを託す。小西は体勢を崩しながらも古賀にパスを繋ぎ、古賀がそのままインゴールを駆け抜けた。しかし35分、自陣22メートルの位置でパスを読んでいたWTB衣笠竜世(青学大)にボールが収まりターンオーバー。そのままインゴール中央に滑り込まれトライを献上する。その後のゴールも成功し、19―7となる。続く40分にも早大のペナルティーからPGを確実に決められ、前半終了間際に得点を許す。そのまま前半が終了し、19―10で試合を折り返すこととなった。


試合終盤にパワフルな突破でトライを挙げた松下

  早大リードで迎えた後半。3分、早大のペナルティーにより、角度のある位置でPGを狙ったSO桑田宗一郎(青学大)がゴールを成功させ、あと1トライ1ゴールで逆転というところまで迫る。なんとか突き放したい早大は、FB南徹哉(文4=福岡・修猷館)がキックキャッチから大きくゲイン。その後、右に展開しWTB槇瑛人(スポ2=東京・国学院久我山)がディフェンスをうまくかわしてトライ。吉村のゴールも決まり26―13とリードを死守する。しかし、青学大がここでも粘りを見せる。12分、早大の乱れたパスボールがフランカー肘井洲大(青学大)の足元へ落ちそのまま自陣深くへキック。ゴール手前まで迫り、飛び込んできた桑田(青学大)が左端にグラウンディング。18分にもオフサイドの反則から青学大にPGを決められ、再び1トライ差と両者とも譲らない展開となる。続く21分、早大は敵陣5メートルでのラインアウトからフェーズを重ねて徐々に前進。最後はきょうの試合でMOM(マンオブザマッチ)に選ばれた吉村がインゴールに滑り込み得点を挙げる。このまま得点を重ねたい早大だが、ノットリリースザボールやノックオン、アーリーエンゲージなど反則が相次いでしまう。しかし、試合終盤には、34分にWTB今駒有喜(文2=東京・早実)、38分には松下がトライをあげるなど、今年度からAチームに台頭してきた選手たちが躍動する。そのままリードを守りきり、ノーサイド。47―21で青学大に勝利した。


今試合6Gを決めた吉村はMOMに選ばれた

  対抗戦初戦を白星で飾った早大。昨年グラウンドに立ち『荒ぶる』を経験したメンバーだけでなく、田中や松下などの活躍も見られ、まさに『BATTLE』が体現されている。しかし、今後に向けての課題も残る。今試合では、早大のペナルティーから相手がPGを選択し得点される場面が目立った。また、ハンドリングエラーからピンチを招く場面も散見される。試合を重ねる中でこれらを修正できるかが、強豪校と戦う上で鍵を握るだろう。次戦で迎え撃つ相手は立教大。今年度5年ぶりに対抗戦Aグループに復帰し勢いに乗るチームだ。選手権連覇のため、対抗戦でも結果を残したい早大ラグビー部の戦いは始まったばかりだ。

(記事 初見香菜子、写真 細井万里男)

コメント

相良南海夫監督(平4政経卒=東京・早大学院)※記者会見より抜粋

――ディフェンスにフォーカスしていた中での21失点という結果については

 トライをされたのは我々の余計なプレーからで、ディフェンス組織が崩れてのことではないので、そこに関して問題視はしていません。しかし、ペナルティーからPGで加点されたというのは規律の部分からで、特にきょうはブレイクダウン周りの反則が多かったので、しっかり映像をレビューして修正したいと考えています。

――例年と違う日程となりますが、序盤の3連戦にあたってメンバーの選考や調整に変更はありますか

 それは我々に限らず全チームが同じ条件でやっているので。当然けがやコンディションの状況を見ながら良い状態の選手を起用したいと考えています。(大学)選手権に入ればタフな試合が続きますし、今年は春も夏も(試合が)なかったので、こういう過密日程の中でメンタルもフィジカルも鍛える、まずはそういう序盤の3週間にしたいです。

――セットの早さは特別な意識付けをしているのですか

 早いセットは去年から取り組んでいることです。それでも自分たちの流れに引き寄せられていないということは、まだそこに足りない部分があるのだと思いますし、「相手より早くセットして仕掛ける」というところをもっと成長させていきたいと思っています。

――実際に公式戦を戦ってみて選手たちにどんな手ごたえを感じましたか

 きょうの試合に限って言えば、相手より若干走り勝てたかなというところです。

――デビュー組のプレーについてはいかがでしたか

 初メンバー入りの部員は全体的に固かったかなと思います。個人として赤黒を着ることを目標にやっていると思うので、こういうチャンスをしっかりものにできるようなアピールをできたかと考えるとおとなしかったなという印象もあります。途中から出た1年生の村田陣悟(スポ1=京都成章)は良いボールキャリーでゲームの流れを作ってくれたので、今後こういう舞台の中でもっと成長していってほしいと期待しています。

NO・8丸尾崇真主将(文構4=東京・早実)※記者会見より抜粋

――試合を振り返っていかがですか

 実戦形式の試合が非常に少ない中で開幕を迎えたので難しい面はありますが、一戦一戦試合の中で成長していきたいと思います。試合(内容)に関しては、最初に自分たちから仕掛けないと後手に回ってしまうということが分かったので、ミスをあまり気にせずアタックマインドを持ってポジティブに攻められたらよかったと思います。

――課題に感じた部分は

 最初のファーストプレイですかね。

――きょうのゲームを終えて、明日からどう過ごしますか

 来週の試合に繋がるように、今日の試合の良いところ悪いところを踏まえて明日からまた1週間やっていこうと思っています。

 

関東大学対抗戦
早大スコア青学大
前半後半得点前半後半
19281011
47合計21
【得点】▽トライ 田中、小林、古賀、槇、吉村、今駒、松下 ▽ゴール 吉村(6G)
※得点者は早大のみ記載
   

早大メンバー
背番号名前学部学年出身校
久保 優スポ4福岡・筑紫
 後半22分交代→17大平  
宮武 海人政経3東京・早大学院
 後半30分交代→16川﨑  
小林 賢太スポ3東福岡
 後半22分交代→18土田  
大﨑 哲徳文構3東京・国学院久我山
桑田 陽介スポ3愛知・明和
前田知暉社2大阪・東海大仰星
 後半19分交代→19村田  
田中 智幸政経3東京・早大学院
 後半0分交代→20小柳  
◎丸尾 崇真文構4東京・早実
小西 泰聖スポ2神奈川・桐蔭学園
 後半35分交代→23小泉  
10吉村 紘スポ2東福岡
11古賀 由教スポ4東福岡
12中西 亮太朗商3東京・早実
13松下 怜央スポ2神奈川・関東学院六浦
14槇 瑛人スポ2東京・国学院久我山
 後半32分交代→21今駒  
15南 徹哉文4福岡・修猷館
 後半30分交代→22平井  
リザーブ
16川﨑 太雅スポ1東福岡
17大平 純造文4東京・早実
18土田 彬洋スポ4茨城・茗溪学園
19村田 陣悟スポ1京都成章
20小柳 圭輝社3東京・国学院久我山
21今駒 有喜文2東京・早実
22平井 亮佑スポ4福岡・修猷館
23小泉 怜史文構2東京・早実
※◎はゲームキャプテン、監督は相良南海夫(平4政経卒=東京・早大学院)
 
関東大学対抗戦Aグループ順位表(10月4日現在)
チーム勝ち点試合得点失点得失トライ
帝京大4(5)110098108814
明大4(5)110073155811
早大4(5)11004721267
筑波大4(4)11003019113
慶大010011930‐113
青学大010012147‐262
立大010011573‐582
日体大010011098‐881
( )内の数字はリーグが全試合実施された場合にボーナスポイントを加算した際の勝ち点。
 
関東大学対抗戦Aグループ星取表
 明大早大帝京大筑波大日体大慶大青学大立大
明大12/6 14:00秩父宮11/22 13:00秩父宮10/18 14:00熊谷11/7 14:00秩父宮11/1 14:00秩父宮10/11 13:00明大G◯73‐15
早大12/6 14:00秩父宮11/1 11:30秩父宮11/7 11:30秩父宮10/18 11:30熊谷11/23 14:00秩父宮◯47‐2110/11 13:00早大G
帝京大11/22 13:00秩父宮11/1 11:30秩父宮10/11 13:00帝京大G◯98‐1012/6 14:00熊谷10/18 13:00帝京大G11/8 14:00上柚木陸上
筑波大10/18 14:00熊谷11/7 11:30秩父宮10/11 13:00帝京大G12/6 11:30熊谷◯30-1911/23 14:00AGFフィールド11/1 13:00熊谷B
日体大11/7 14:00秩父宮10/18 11:30熊谷●10‐9812/6 11:30熊谷10/11 13:00慶大G11/1 13:00青学大G11/23 11:30AGFフィールド
慶大11/1 14:00秩父宮11/23 14:00秩父宮12/6 14:00熊谷●19‐3010/11 13:00慶大G11/8 11:30上柚木陸上10/18 13:00慶大G
青学大10/11 13:00明大G●21‐4710/18 13:00帝京大G11/23 14:00AGFフィールド11/1 13:00青学大G11/8 11:30上柚木陸上12/5 13:00大和スポーツセンター
立大●15‐7310/11 13:00早大G11/8 14:00上柚木陸上11/1 13:00熊谷B11/23 11:30AGFフィールド10/18 13:00慶大G12/5 13:00大和スポーツセンター

※秩父宮は秩父宮ラグビー場、熊谷および熊谷Bは熊谷ラグビー場、帝京大Gは帝京大学百草園グラウンド、早大Gは早大上井草グラウンド、明大Gは明大八幡山グラウンド、上柚木は上柚木公園陸上競技場、大和は神奈川大和スポーツセンター競技場。