リーグ戦初完封で通算10勝目、法大・鈴木との“ドラ1候補対決”を制す

 東京六大学秋季リーグ戦は3日、早大が法大に2-0で勝利した。最速155キロのエース左腕・早川隆久(4年)が13三振を奪い、4安打シャットアウト。最速152キロの法大エース・鈴木昭汰(4年)とのドラフト1位候補対決を制し、通算10勝目をリーグ戦初完封で飾った。

 投げるたびに凄みを増している。早川は立ち上がりから、いきなり4者連続三振。最速151キロをマークした直球にカットボール、チェンジアップなど変化球も冴えた。しかも、相手先発は同じくドラ1候補に挙がる左腕・鈴木。互いに点を許さない、エースの意地のぶつかり合いとなった。

 しかし、早稲田の10番を背負う左腕は冷静だった。「優勝しか見ていないので。相手がどうであろうと、優勝するためにどうプレーするかを考えていた」。戦うべきは鈴木ではなく、自分に設定した。

 試合が動いたのは9回。表の攻撃で右足がつりかけた鈴木を相手のミスに乗じて攻め立て、9回2死から3番・瀧澤虎太朗(4年)が二塁へのタイムリー内野安打。138球を投げた相手エースをマウンドから引きずり下ろすと、続く岩本久重(3年)も連続タイムリーで2点を奪い、均衡を破った。

 その裏も3人で締めた早川は、我慢比べの展開で集中を切らさず、しかも無四球でリーグ戦初完封。打っても2安打で、7回には二塁走者として捕手がわずかに弾いた隙を突いて三塁を陥れるなど、誰よりも勝利を貪欲に追い求めた。

「投手も9人目の野手。全力疾走を怠らず、チームのためになるプレーをやらないといけないと常に思っている。(7回の三進は)隙を見せない野球をテーマに掲げているので、先の塁を狙った結果。ランナーはしんどいけど、ピッチングはピッチングで割り切ってできた」

監督から言われた言葉「1位指名の選手が完封したことないのはカッコ悪いだろう」

 112球の完封劇を手放しで称えたのが、元ロッテの小宮山悟監督だった。第一声で「今日“も”素晴らしかった」と強調。援護がない展開で力投した姿に「ダグアウトからも辛抱強くて、大したものだなと思って見ていました。僕だったら間違いなく裏で暴れてますよ」と笑った。

 初戦の9月19日の明大戦は9回2死から1点を失い、逃した完封。今週に向け、指揮官は伝えた。「法政戦は大事な試合。土日投げるぞ」と。1回戦は点を取られなければ最後まで代えない、リードした状態で点を取られたら2回戦に備えて降板させる方針だった。

 その裏に“親心”があった。

「ご承知の通り、彼はドラフト1位で指名されますから。『1位指名の選手がリーグ戦で完封したことないのはカッコ悪いだろう』と。火曜の練習の時に伝えました。今日は0-0の展開で行ってくれたから(最後まで)切れずに行ってくれたかな」

 その言葉を「その通りだと思った」と受け止め、約束通りの完封劇を演じた早川。「『10番』という重みが自分にそういうピッチングをさせてくれていると思う」と殊勝に言い、こうも語った。

「嬉しいのは嬉しいです。でも、優勝しか見ていないので。今日のことはもう忘れて明日に向けて準備していきたい」。伝統ある早稲田の背番号10を背負い、エースも務める男の視界に映っているのは、大学生活集大成となる天皇杯だけだ。(神原英彰 / Hideaki Kanbara)