いよいよ秋のGIシリーズがスタートする。その幕開けを告げるのは"電撃の6ハロン戦"GIスプリンターズS(10月4日/中…

 いよいよ秋のGIシリーズがスタートする。その幕開けを告げるのは"電撃の6ハロン戦"GIスプリンターズS(10月4日/中山・芝1200m)だ。

 今年は、昨年の勝ち馬タワーオブロンドンこそ不在だが、昨年の2着馬で、春のGI高松宮記念(3月29日/中京・芝1200m)を制したモズスーパーフレア(牝5歳)や、高松宮記念の2着馬で、GI安田記念(6月7日/東京・芝1600m)で現役最強馬アーモンドアイを蹴散らしたグランアレグリア(牝4歳)など、好メンバーが集結。非常に見応えのあるレースとなりそうだ。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は4勝、2着1回、3着1回、着外4回。悪くはないものの、絶対視できるほどの良績は挙げていない。そのため、3連単では10万円を超える高配当が6回も出ている。秋のGIシリーズの中でも、穴党垂涎のレースと言え、中日スポーツの大野英樹記者もこう語る。

「昨年は、1着2番人気、2着3番人気、3着1番人気という手堅い決着となりましたが、過去10年を見れば、1番人気の半数が連から消えている戦い。2014年にはハクサンムーン(13着)が、2016年にはビッグアーサー(12着)がふた桁着順に沈んでいます。そうした傾向からして、今年も波乱が起こる可能性は大いにあります」

 では、どういった馬が波乱の立役者となるのか。日刊スポーツの木南友輔記者はこんな見解を示す。

「この秋の中山は、異常に時計がかかっています。その馬場状態をどの馬が味方につけるのか。そこを読み切ることが、重要なポイントとなります」

 そこで、木南記者はライトオンキュー(牡5歳)を推奨馬に挙げた。

「昨夏のGIIIキーンランドC(札幌・芝1200m)で、4着に追い込んできた脚が強烈でした。あそこで『(この馬を)GIで見たい』と思いましたね。

 そのあと、昨秋のGIII京阪杯(京都・芝1200m)を勝って、陣営は2020年の海外遠征を明言。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ドバイ国際競走が急きょ中止となり、輸送のみで終わってしまいました。

 そこから現在は、帰国後に3戦を消化。結果はもちろん、競馬の内容も徐々に良化してきていると思います」



スプリンターズSでの一発が期待されるライトオンキュー

 主戦を務めるのは、古川吉洋騎手。同騎手がライトオンキューに対して並々ならぬ思いを抱いていることも、木南記者が同馬を推す理由だ。

「思えば、ドバイ遠征の時も、アーモンドアイのクリストフ・ルメール騎手とともに、ドバイへ先入りしていたのが、古川騎手でした。(古川騎手の)この馬への思い入れは、強いはずです。

 また、欧州で昨年大旋風を巻き起こしたシャマーダル産駒。時計のかかる馬場も合うのではないでしょうか」

 ライトオンキューは、大野記者も期待を寄せる1頭だ。

「ライトオンキューは、穴馬どころか、V候補に指名したい馬です。前走のキーンランドC(8月30日)2着は、勝ち馬との道悪適性の差。仕上げにくい北海道の連戦でも、使うごとに内容をアップさせてきました。

 栗東に帰厩後は、坂路で活気ある動きを見せており、1週前の追い切りでは4ハロン52秒2-1ハロン12秒3という好時計をマーク。この馬らしい、パワフルな稽古を披露しました。春はドバイでのレースが中止になるなど、不運がありましたが、能力はここでも通用しますよ」

 大野記者はもう1頭、穴馬候補の名前を挙げた。

「メイショウグロッケ(牝6歳)です。前走のGIIセントウルS(9月13日/中京・芝1200m)では、12番人気の低評価ながら、あっと驚く走りで2着。穴候補として注目しています。

『前に騎乗した時と比較しても、馬体に柔らかさがあって、いい雰囲気でした。決してフロックではないですよ』と、鞍上の浜中俊騎手も手応えを得た様子でした。モズスーパーフレアの逃げでハイペース必至のなか、展開がもつれての浮上を見込んでいます」

 木南記者ももう1頭、気になる馬がいるという。

「昨春の高松宮記念を勝ったミスターメロディ(牡5歳)です。狙ったレースを仕留めるのが、藤原英昭厩舎の真骨頂。セントウルS(3着)でひと叩きして、ここではさらに調子を上げてきそうです。

 手前を替えるのが、右回りだともうひとつなのですが、それでも昨年は、セントウルS8着からスプリンターズSで4着と、トップレベルとも差のない競馬を見せました。今年は中京開催だったこともあって、セントウルSでも3着と奮闘。ステップレースとして十分な結果を残して、本番が楽しみになりました。

 鞍上は福永祐一騎手。コントレイルのクラシック三冠挑戦を控えていますが、ここでも丁寧な騎乗で、好勝負を演じてくれると思っています。

 ミスターメロディの父は、スキャットダディ。時計のかかる芝が大得意の血統です。同じ父を持つレディオーレリアが、欧州のタフな馬場で活躍。アスコット競馬場(英国)の2歳重賞では、ぶっちぎりの競馬を見せています。そうした例からも、ミスターメロディにとって、今の中山はプラスに働くのではないでしょうか」

 ハイレベルなメンバーがそろったスプリンターズSだが、絶対的な"主役"は存在しない。その分、荒れる可能性は十分に考えられる。その片棒を担ぐ馬が、ここに挙げた3頭であっても不思議ではない。