今季は自己最多の14勝をマークし、2年連続2桁勝利でソフトバンクの右のエース格に成長した武田翔太。防御率(2.95)や投球イニング数(183回)なども向上しているが、チームが確実視されていたリーグ優勝を逃したこともあり、本人に満足した様子は…

今季は自己最多の14勝をマークし、2年連続2桁勝利でソフトバンクの右のエース格に成長した武田翔太。防御率(2.95)や投球イニング数(183回)なども向上しているが、チームが確実視されていたリーグ優勝を逃したこともあり、本人に満足した様子はなかった。侍ジャパンでも期待を寄せられている若き右腕に、自身の“現在地”について語ってもらった。

■ホークスで右のエース格に成長した右腕が激白、見据える今後の進化は「体をデカく」

 今季は自己最多の14勝をマークし、2年連続2桁勝利でソフトバンクの右のエース格に成長した武田翔太。防御率(2.95)や投球イニング数(183回)なども向上しているが、チームが確実視されていたリーグ優勝を逃したこともあり、本人に満足した様子はなかった。侍ジャパンでも期待を寄せられている若き右腕に、自身の“現在地”について語ってもらった。

――今シーズン、ソフトバンクはレギュラーシーズンで3連覇を逃しました。武田さんは自己ベストの成績を残していますが、どんな1年でしたか。

「責任を感じているところもありますし、勝てるところで勝てなかったという試合が、結構多かったので。まあ悔しいなというのはありますね」

――数字を見ると、極端に落ち込んだ月もないですし、年間を通して安定した成績を残したように見えます。

「勝てるところを勝てなかったのが、一番デカいと思います。シーズンを通しての数字は上がったけど、落としてはいけないところで落としてしまったということですね」

――具体的にどの試合、と言うと。

「やっぱり後半戦ですね。最後の9月22日の日ハム戦(5回3失点)とか、大事なところだったので。あとは9月6日のオリックス戦(7回途中をを2失点)もそうですね。西さんとは、今年は何度も対戦していて、お互いに『またかよ、もうやめてよ』って感じでしたね」

■最も重視する数字&欲しいタイトルは…

――投手成績で、一番重視している数字は何ですか。

「イニング数ですかね。それぐらいですね。他はないですね、特に」

――タイトルで言えば、一番取りたいのは何ですか。

「やっぱりそこは最多勝ですかね。勝ち星には、あまり興味ないということもあるんですけど。結果ですからね。シーズンをしっかり投げ切れば、ついてくるものだと思っています」

――イニング数に関しては、近年は200イニングというのが、エースの指針のようなものになっていますが。

「200イニングは目指してやっていますけど、今の時代は、いろいろありますし、ウチはリリーフがしっかりしていますからね」

――オフに取り組んでいるトレーニングはありますか。

「体をデカくするようにやっています」

――それは体重増ということですか。食事の量を増やしたり。1日5食とか、そういった話も聞いたことがありますが。

「それはないですけど、筋トレですね。食事に関しては、自炊もしていますし、栄養管理もしっかりやっているつもりです。走る量も数字を決めてやっているのですが、最近は走るのが多すぎて、体重があまり増えないので、そこも考えながらやっています」

――そのトレーニングメニューは、誰かに考えてもらっているのですか。

「自分で考えてやっています。体が大きくなることで、球速もそうだし、球威なんかも、全体的に、総合的にアップできればいいと思っています。ただ太ればいいというわけではないですからね」

■投手に必要な筋力は「体の後ろ側」、首脳陣からは「これ以上走ったら罰金」の声も

――筋肉も、ピッチャーの場合はつけるべきところと、逆効果になるところもありますよね。

「基本的にピッチャーは、体の後ろ側ですね。背中から下半身にかけて。ピッチャーは、前の部分の筋肉はあまりいらないですから。もちろん、ある程度は必要ですけど、ケガをしやすくなるんですよ、前に筋肉をつけると」

――走る量を多くするというのは、やはり持久力や、いわゆる下半身強化のためですか。

「気分転換ですね。単に走るのが好きというだけです。練習のために走ろうという気持ちはないですね。逆に工藤監督や佐藤コーチから、これ以上走ったら罰金、と言われているぐらいです。結果的に、それがピッチングの役に立っているのかもしれないですけどね」

――2年連続2桁勝利と、着実にステップアップしている印象ですが、将来的にメジャーリーグでプレーしたいという気持ちはありますか。

「わからないです。まだ考えられないですね。試合とかもほとんど見ないですね」

――今後は右のエースとして期待がかかりますが、来年の抱負を教えてください。

「まずは優勝しないといけないので、そこを目指してやるのが一番ですね。その中で、勝てる試合を確実に抑えて取っていく。そういうことができるようにやっていきたいと思います」

大久保泰伸●文 text by Yasunobu Okubo