東京パラリンピックに向け様々な競技やアスリートの魅力に迫る、MEN’S NON-NOの連載「2020年TOKYOへの道」。今回は、パラスポーツをサポートする側からテコンドー選手に転身し、本大会出場内定をつかんだ異色のアスリートに話を聞いた!…

東京パラリンピックに向け様々な競技やアスリートの魅力に迫る、MEN’S NON-NOの連載「2020年TOKYOへの道」。今回は、パラスポーツをサポートする側からテコンドー選手に転身し、本大会出場内定をつかんだ異色のアスリートに話を聞いた!

東京パラリンピックから正式競技になった「テコンドー」は華麗な足技が魅力の韓国発祥の格闘技。パラテコンドーそのものには知的障がいや視覚障がいのある選手が行うクラスもあるけれど、パラリンピックでは上肢障がいの選手たちによる「キョルギ」(組手)のみが行われ、田中光哉は競技歴わずか3年ながら出場内定を決めた日本のホープだ。

「大学卒業後に障がい者スポーツ全般の普及やサポートに携わる仕事に就いたのですが、2016年のリオ大会でパラアスリートたちがメダルをめざして懸命に競技に打ち込む姿を目の当たりにして『自分にも出場するチャンスがあるのではないか』『今やらないと後悔するのではないか』という思いが湧き、出場を狙える競技を探そうと決意しました」

そして出会ったのがパラテコンドー。学生時代にサッカーで培った“蹴り”の技術を生かせる競技であると考え、また協会が将来に向けて人材発掘に力を入れていたことにも共感したのだという。

「サッカーと異なり1対1で対峙する格闘技ですので当然相手は自分を倒すために向かってきます。そこに慣れるまでは怖さがありましたが、洪(君鍚)師範の指導のもと道場で練習に取り組むうちに自分の運動能力に合っていると感じ、テコンドーで本気で勝負したいと思いました」

パラリンピックにおけるテコンドーは五輪のテコンドーと異なって頭部への攻撃が禁止されており、胴部への足技だけが有効だ。しかしその迫力とスピードは健常者にも決して負けていないと自負する。

「他のパラスポーツにはない“荒々しさ”に興奮してもらえるはずですし、一方でハイテクな電子防具が使われるところも魅力。そんなテコンドーの面白さをより多くの方に体感してもらえるよう、(コロナの影響で)先が見えない中でもしっかり自分を律してレベルアップしていきたいです」

【プロフィール】

田中光哉さん
たなか・みつや●1992年7月22日生まれ、福岡県出身。生まれつき両上肢に欠損障がいを抱えながらも幼少期は剣道、学生時代は健常者に交じってサッカーに打ち込む。2017年からパラテコンドーを始め、翌年の全日本選手権で準優勝(K43クラス・−75㎏級)。昨年−61㎏級に転向し、今年1月のサンマリエカップで優勝して東京パラリンピック出場が内定。現在は医薬品会社のブリストル・マイヤーズ スクイブに勤めながら、横浜の洪人館テコンドーに所属。