東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)閉幕からわずか1カ月。現体制の集大成となる秋季リーグ戦が幕を開けた。今季は1試合の勝利ごとに勝ち点がつく10試合勝ち点制(ポイント制)という1947年秋以来の開催方式をとる(※)。悲願の「早川世代」で…
東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)閉幕からわずか1カ月。現体制の集大成となる秋季リーグ戦が幕を開けた。今季は1試合の勝利ごとに勝ち点がつく10試合勝ち点制(ポイント制)という1947年秋以来の開催方式をとる(※)。悲願の「早川世代」での優勝を成し遂げるためには、とにかく一つでも多くの白星をつかむことが必要不可欠だ。開幕戦の大事なマウンドを任されたエース・早川隆久(スポ4=千葉・木更津総合)は、2回から8回まで一人の走者も許さないなど、圧巻の投球を見せた。一方の打線も4番の岩本久重(スポ3=大阪桐蔭)が3打点を挙げるなど序盤、中盤に効果的に得点を重ねて相手エース入江大生を攻略。投打ががっちりとかみ合い、チャンピオンフラッグ奪回に向けてこの上ないスタートを切った。
打線はいきなり火を噴いた。初回2死から3番・瀧澤虎太朗副将(スポ4=山梨学院)の四球と盗塁で得点圏に走者を置くと、迎えたのは今年度より4番を務めている岩本。フルカウントまで粘った後、7球目の外角の速球にうまく合わせて右翼線へ二塁打を放ち、鮮やかに先制点を挙げた。続く丸山壮史(スポ3=広島・広陵)も初球の甘く入った直球を捉え、右越え適時二塁打としてもう1点。初回から2点を奪い、試合の主導権を握ることに成功した。その後はなかなか得点を挙げられずにいたが、5回にビッグイニングが訪れる。鈴木萌斗(スポ3=作新学院)の安打や振り逃げなどによって1死一、三塁の好機が生まれると、2番・吉澤一翔副将(スポ4=大阪桐蔭)がエンドランのサインに応え、しぶとく一塁手の左を抜ける適時打を放った。さらに相手のバッテリーエラー間に1点を挙げ、続く二、三塁の好機では、岩本が今度は右中間へ打球を運んで2者が生還。この回一挙4点を挙げた。6回には投手の早川が自ら適時打を放ち、明大を完全に突き放した。
先発・早川は、150キロ前後の真っすぐと130キロ台後半のスライダー、さらには120キロ前後のカーブを駆使した緩急自在な投球を披露。変化球主体の組み立てを見せたかと思えば、力強い直球による三球勝負を行うなどして明大打線を全くと言っていいほど寄せ付けなかった。最終回に失点して完封こそは逃したものの、完投勝利を挙げただけでなく、奪三振数は驚愕の17個に達した。絶対的エースの貫禄の投球に、小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)をして「前半終了時点で勝ちを確信した」と言わしめるほどだった。
エースが申し分ない投球を見せただけではなく、春季リーグ戦において要所での決定打に欠いた打線も、中軸を中心に勝負強い打撃をしてくれたことは大きな収穫だ。さらに6番で起用したルーキーの野村健太(スポ1=山梨学院)が2安打をマークしたことも、今後のチーム編成上大きなプラスとなる。だが、この時点で「4年生にチームを預けて」(小宮山監督)臨んだ今季の成果が表れたとするのは早計であろう。すべては、まだまだ続いていく今後のリーグ戦においてもこのチーム状態を継続させることができるかに懸かっている。まずは翌日の試合でもこの試合と同様、4年生を中心に一丸となって白星をつかみたいところだ。
(記事 篠田雄大、写真 池田有輝)