世界トップ8によるエリート大会「バークレイズATPワールドツアー・ファイナルズ」(イギリス・ロンドン/賞金総額750万ドル/室内ハードコート)第6日のシングルスは、ジョン・マッケンロー・グループのラウンドロビン(総当たり戦)最終戦を行っ…
世界トップ8によるエリート大会「バークレイズATPワールドツアー・ファイナルズ」(イギリス・ロンドン/賞金総額750万ドル/室内ハードコート)第6日のシングルスは、ジョン・マッケンロー・グループのラウンドロビン(総当たり戦)最終戦を行った。シングルス第1試合では、ここまで2戦2勝、勝てばグループ1位通過が決まる世界ランキング1位のアンディ・マレー(イギリス)が、同3位のスタン・ワウリンカ(スイス)を6-4 6-2で押しきった。
この時点で、同5位の錦織圭(日本/日清食品)のグループ2位での準決勝進出が決まった。
シングルス第2試合に登場した錦織は、同7位のマリン・チリッチ(クロアチア)に逆転負けし、錦織、ワウリンカ、チリッチが1勝2敗で並んだが、得失セット率で錦織をほかの二人が上回ることはできず準決勝進出となった。
準決勝はマレーと同4位のミロシュ・ラオニッチ(カナダ)、同2位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)と錦織の顔合わせとなった。
第1試合ではマレーの積極的なプレーが目立った。第1セットは3-3からブレークに成功。ブレークポイントではバックハンドのアプローチからネットを奪い、バックボレーを決めた。この第7ゲームまでに8回ネットに出て7度ポイントに結びつけた。同じ時点でフォアハンドのウィナー11本と、グラウンドストロークが好調だったワウリンカとの力勝負を避け、ネットプレーに勝機を探ったのはさすが試合巧者だった。
最初のチャンスをものにしたマレーが第1セットを先取する。第2セットは立ち上がりから4ゲーム連取で引き寄せた主導権を最後まで明け渡さなかった。「立ち上がりはスタンのボールが凄かった。しかし序盤をうまく切り抜けたことで、彼のサービスゲームでもチャンスをつくれるようになった」とマレー。戦況を冷静に把握、我慢のテニスから攻勢に転じる戦術眼に冴えを見せた。
2日前にマレーと3時間20分の熱戦を演じた錦織は、好調なプレーでチリッチから第1セットを奪ったが、第2セットに失速。そのまま盛り返せず、6-3 2-6 3-6で敗れた。第1セットは高い集中力とていねいなプレーで圧倒したが、第2セット15本、第3セット11本とアンフォーストエラーが増え、終始攻撃的なプレーを続けたチリッチに逆転を許した。
錦織は「第2セットの最初の数ゲームでミスが相次いだり、プレーが単調になった。相手もよかったが、自分のほうに原因があった」と疲れた表情で話した。
準決勝進出決定後の試合となったが、「(勝てば)ポイントも付くので意識していなかった」と、モティベーションや心理面での影響は否定した。
第2セットからの集中力の低下を見れば、マレー戦での心身の疲労、特に“頭”に疲れが残っていたことを疑わないわけにはいかない。しかし、1日後にはジョコビッチとの準決勝という大一番が控えている。やるしかないことは本人が一番よく知っているだろう。
錦織は「第1セットのプレーはよかったので、持続してそのプレーができるかどうか。敗戦が続くとメンタル的に難しいが、切り替えたい」と前を向いた。
(テニスマガジン/ライター◎秋山英宏)
【18日試合結果】※[ ] 数字はシード順位、ダブルスはスーパータイブレークのスコア
第1試合 ○ヘンリー・コンティネン/ジョン・ピアース(フィンランド/オーストラリア)[5] 6-7(5) 6-4 [10-4] ●ピエール ユーグ・エルベール/ニコラ・マウ(フランス)[1]
第2試合 ○アンディ・マレー(イギリス)[1] 6-4 6-2 ●スタン・ワウリンカ(スイス)[3]
第3試合 ○レイブン・クラーセン/ラジーブ・ラム(南アフリカ/アメリカ)[7] 6-3 7-6(8) ●フェリシアーノ・ロペス/マルク・ロペス(スペイン)[4]
第4試合 ○マリン・チリッチ(クロアチア)[7] 3-6 6-2 6-3 ●錦織圭(日本)[5]
【19日試合予定】※現地時間
第1試合(12時開始)ヘンリー・コンティネン/ジョン・ピアース(フィンランド/オーストラリア)[5] vs ボブ・ブライアン/マイク・ブライアン(アメリカ)[3]
第2試合(14時以降)アンディ・マレー(イギリス)[1] vs ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)[4]
第3試合(18時以降)ジェイミー・マレー/ブルーノ・ソアレス(イギリス/ブラジル)[2] vs レイブン・クラーセン/ラジーブ・ラム(南アフリカ/アメリカ)[7]
第4試合(20時以降)ノバク・ジョコビッチ(セルビア)[2] vs 錦織圭(日本)[5]