テニスの世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が「スポーツマンらしくない行動」により「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月31日~9月13日/ハードコート)を失格となり、世界27位の…

テニスの世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が「スポーツマンらしくない行動」により「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月31日~9月13日/ハードコート)を失格となり、世界27位のパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)がベスト8に進出した。【実際の映像】ジョコビッチが失格となった行為。誤って線審にボールを打ってしまう

4回戦のこの試合で、第1セット第11ゲームをカレーニョ ブスタがブレークして6-5とリードを奪うと、イラついたジョコビッチが後ろに打った球が運悪く線審の女性の首に当たってしまった。大会関係者はかなり時間をとって話し合った末、ジョコビッチの失格を決めた。

試合後、ジョコビッチは会見を拒否。その後Instagramで声明を発表した。「起こってしまった全てのことを、本当に悲しく、虚しく感じています。私は線審の方について確認し、大会側から彼女は大丈夫だと教えてもらいました。ありがたいことです。彼女をあんな目に合わせて本当に申し訳なく思っています。まったく意図したことではありませんでした。本当に間違ったことでした」

「失格については、私は自分の中に答えを求め、失望と向き合い、選手として、また人間として、成長し、進化するための教訓としなければなりません。私は“全米オープン”と私の行動に関わったすべての人に謝罪します。私のチームと家族の揺るぎないサポート、そしてファンがいつも応援してくれることにとても感謝しています。ありがとう、そして本当にすみませんでした」

このことについて尋ねられたカレーニョ ブスタは、「もちろん、意図的ではなかったと思う。こんなことを意図的にやるような選手はいないだろう。たまたまそうなってしまっただけではあっても、やってはいけないことだ。でも、もちろんノバクは線審にわざと球を当てたりしないと思うよ」

USTA(全米テニス協会)も声明を発表。「グランドスラム規則に従い、コート内で意図的に危険・無謀なボールを打つ、あるいは結果を考えずにボールを打つという行為により、“全米オープン”審判はノバク・ジョコビッチを2020年“全米オープン”から失格としました。それにより、ジョコビッチはこの大会で得たすべてのランキングポイントと賞金を失い、さらにこの不愉快な件について罰金を科される可能性もあります」

第10ゲーム、ジョコビッチが5-4とリードしたカレーニョ ブスタのサービスゲームで、ジョコビッチは40-0とリードし、3つのセットポイントを握った。最初のセットポイントで、カレーニョ ブスタの打ったフォアハンドのダウンザラインはアウトと判定された。だがカレーニョ ブスタがチャレンジすると、そのボールはほんの数ミリだけラインにかかっており、インとなる。カレーニョ ブスタはセットポイントをしのぎきり、ゲームカウントを5-5とした。

ジョコビッチのサービスゲームであった次のゲームで、ジョコビッチは最初のポイントを取られて0-15とリードされる。続くラリーの途中でジョコビッチは転び、左の肩を押さえた。ジョコビッチはすぐにメディカルタイムアウトを取り、肩の治療を受けた後にコートに戻った。

そのゲームをブレークされ、5-6とされたジョコビッチは後方にボールを打ち、それが線審に当たってしまった。

ジョコビッチの2020年の戦績はここまで26勝0敗で、グランドスラム男子シングルス最多優勝であるロジャー・フェデラー(スイス)の20回、それに次ぐラファエル・ナダル(スペイン)の19回に迫る18回目の優勝を遂げることを目指していた。

カレーニョ ブスタの「全米オープン」ベスト8進出はこれが2回目。2017年にカレーニョ ブスタはベスト4まで進出し、ケビン・アンダーソン(南アフリカ)に敗れた。グランドスラムでは3度目となる準々決勝で、第20シードのカレーニョ ブスタは第12シードのデニス・シャポバロフ(カナダ)と対戦する。

今大会で、初のグランドスラムチャンピオンが誕生することが確定。まだ勝ち残っている選手でグランドスラム決勝進出の経験があるのは、ドミニク・ティーム(オーストリア)とダニール・メドベージェフ(ロシア)の2人だけだ。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2020年7月スペインのエキシビションマッチでのカレーニョ ブスタ

(Photo by David Aliaga/MB Media/Getty Images)