8月29日放送の「卓球ジャパン!」は、新企画「卓球ジャパン!クロニクル」。日本代表が急激な成長を遂げた10年の軌跡を、世界卓球の団体戦から振り返る。第1弾は2010年の世界卓球モスクワ大会の女子日本代表。MCの平野早矢香とともに、この大会の…

8月29日放送の「卓球ジャパン!」は、新企画「卓球ジャパン!クロニクル」。日本代表が急激な成長を遂げた10年の軌跡を、世界卓球の団体戦から振り返る。

第1弾は2010年の世界卓球モスクワ大会の女子日本代表。MCの平野早矢香とともに、この大会の日本代表メンバーだった藤沼亜衣氏がゲスト出演し、5時間近くにも及んだ歴史的激戦をプレイバック。



ここまで日本女子は、世界卓球で4大会連続の銅メダルを獲得し、前回の2008年大会も予選リーグで韓国に勝利。しかしキムキョンアとパクミヨン、主力のカットマン2人を欠いたメンバーだった。

その2人が復帰した北京オリンピックでは、1次リーグと3位決定戦でともに0-3のストレートで敗れ、五輪初メダルの夢を阻まれる。

2010年大会では打倒韓国を胸にカットマン対策を重ねて臨んだ日本女子。予選リーグでは台湾との3時間を越える激闘に勝利し、堂々1位で突破を果たすが、韓国が香港に敗れて予選を2位で通過したため、準々決勝で日本はまたもその韓国との激突となった。

第1試合は、平野早矢香対パクミヨン。キムより格下のパクに対し、「私がこの試合を落としたら、チームは負ける」と思っていた。

第2ゲームから促進ルールに突入。これは試合時間が長くなりそうな一定の条件下で適用されるルールで、レシーバーが13回返球すると、レシーバーのポイントになる。

平野の卓球人生で2度目の促進ルール突入となった一戦は、フルゲームに突入した。

「自分のサーブでは早めに点を取りたかったんですけど、第5ゲームの入りはぜんぜん良くなかった」と語る通り、カットをしながら前へ来てプレッシャーをかけるパクに対し、ミスが目立つ平野。

しかし藤沼は平野のカットマンへの強さをわかっていた。

「緩急の使い方がうまくて、回転や高さ、コースの深さもすべて(コントロールして)、最終的にドライブもスマッシュも打てる。オールフォアでぜんぶ動いて、崩れない」。

粘り強く戦う平野。そして7-8の場面で、取れなかった「レシーブの1本」をついに取って流れを変え、3点を一気に連取し、何としてでも欲しかった先勝を果たした。

「これでやっと勝負できるスタートラインに立てた感覚でした」(平野)



第2試合、福原愛の相手は一度も勝ったことがない世界最強のカットマン、キムキョンア。そこで福原は、次にキムと対戦する平野のために粘ってスタミナを奪う作戦に出る。ゲームオールの接戦の末に敗れたが、確実にキムを消耗させた。

そして第3試合、今大会から団体戦の主力に本格デビューとなった当時17歳の石川佳純がタンイェソと対戦。対カットマンに課題を残す日本としては、攻撃選手のタンから一勝を何としても取りたかった。

ピッチの早いバックハンドが得意のタンに2ゲームを先取されるが、そこから2ゲームを取り返して迎えた最終第5ゲーム。

やわらかにゆるく返す石川のブロックにタンはミスを重ね、タンがバックを避けてフォアに行くと、得意のフォアドライブを浴びせる。

武井も「いまの石川選手にもつながる」と評する攻めで、石川が大逆転勝利を収めた。



ついに日本が2-1と王手をかけて迎えた第4戦、平野は福原愛が体力を削ったキムキョンアに立ち向かう。

平野が「2人とも息が切れてました」と言うほどの消耗戦は、またも2-2のまま4戦連続のフルゲームに突入。粘りとかけひきのロングラリーが随所に出て、観戦する武井のボルテージもヒートアップ。

「早矢香集中して」「あと3つがまん。うわああ、やめて」などと声が出る様子に平野も、「武井さん、めちゃめちゃうるさいお客さんじゃないですか!」とツッコむ。



ちなみにこの試合中、キムは平野の"鬼の形相"を「相手の気力を奪うための視線」と思い込み、『やれるものならやってみろ、睨んでどうする』とつぶやいていたのとか。これには平野も「そういうつもりじゃなかったんですけど、すいません」と平謝り。

最後はやや消極的になった平野に対し、逆にカットマンのキムから強気に攻められて競り負け、勝負は第5試合の福原愛対パクミヨンに託された。

ここでカットマンが苦手と言われた福原が、思わぬ奇襲を見せる。ふつうカット打ちは主にフォアハンドで攻めるが、福原はスキを見て強烈なバックハンドを連発した。

「不利な状況でも、相手を崩す策を講じるのが福原愛の卓球。反転して打ったり、練習でしていないことをやったり。勝負師です」(平野)

本来パクが狙い打ちたかった福原のバック側からのボールで、逆に攻められる。その意外性にパクは崩れ、最後は回り込みスマッシュで福原は快勝し、北京で2度敗れた韓国をついに破った。

殊勲の福原は「いままでのメダルで一番うれしい」と会心の笑顔を見せた。



難敵を撃破して5大会連続のメダルを死守した意義を平野は語る。

「韓国に勝ってのメダルは全く違う意味で、一歩オリンピックのメダルに近づけたと感じられた大会でした。その後の日本に大きくつながる1勝」

次回9月5日は卓球ジャパン!クロニクル第2弾。世界卓球2010、男子団体の激闘をお見逃し無く。

「卓球ジャパン!」 BSテレ東で毎週土曜夜10時放送