イギリス・ロンドンで開催されている「バークレイズATPワールドツアー・ファイナルズ」(賞金総額750万ドル/室内ハードコート)の第2日、シングルス・ラウンドロビン(総当たり戦)はジョン・マッケンロー・グループの初戦が行われ、世界ランキン…
イギリス・ロンドンで開催されている「バークレイズATPワールドツアー・ファイナルズ」(賞金総額750万ドル/室内ハードコート)の第2日、シングルス・ラウンドロビン(総当たり戦)はジョン・マッケンロー・グループの初戦が行われ、世界ランキング5位の錦織圭(日本/日清食品)は同3位のスタン・ワウリンカ(スイス)を6-2 6-3と圧倒、順調な滑り出しを見せた。
錦織は第1セット序盤から、タイミングの早いグラウンドストロークと積極的なネットプレーで押した。このセットの錦織は7度ネットに出て、すべて得点に結びつけた。第2セットも勢いは衰えず、第5ゲームのブレークで先行すると、5-3からふたたび相手のサービスゲームを破り、初戦の白星をものにした。2セットを通じて、相手に一度もブレークポイントを与えない快勝だった。
ワウリンカはストロークのタイミングが合わず、2セットで27本のストロークミスを重ねた。「今日はいい日ではなかった。あらゆる点で緩慢だった。戦術的にも迷いがあったし、動きも鈍かった」と、2セットの苦闘を振り返った。
左膝が万全ではなかったとはいえ、世界3位がほとんど抵抗もできずに敗れた要因は、当然、勝者の側にもある。
「出だしからアグレッシブなプレーを心がけた」と錦織。高い軌道のボールもまじえ、グラウンドストロークを自在に操った。「いつも以上にまぜた」(錦織)というサーブ&ボレーも、調子の上がらないワウリンカにはとりわけ効果的だった。ワウリンカは「彼がいいプレーをしていて、最初から重圧をかけられた。彼は2セットで勝つにふさわしいプレーだった」と脱帽だった。
バーゼル(ATP500)とマスターズ・パリ(ATP1000)の2大会で、錦織は球足の遅いコートと重いボールに悩まされた。パリでは3回戦で敗退すると「(感覚が)一度もしっくりきていない」と嘆いた。今大会も同じサーフェス、同じ使用球。だが、「この2、3日、やっとテニスがよくなっているのを感じていた」という。大事なシーズン最終戦になんとか間に合った。
プレー環境にアジャストしただけではない。「大事な1試合目。集中して、気持ちがクリアで臨めた」とマインドセットもピタリとはまった。
計5ゲームしか与えない快勝にも、「相手のエラーが多く、チャンスがあったので特に驚きはない。自分がよいテニスをすることができたので、それが大事」と冷静だ。
まだ1勝、当然、満足するわけにはいかない。この大会の結果次第では、今年の最終ランキングで3位もしくは4位に浮上する。現在3位のワウリンカ、4位のミロシュ・ラオニッチ(カナダ)との争いだ。
開幕前の7日付けのランキングでワウリンカのポイントが5115、ラオニッチが5050、錦織は4705で追う。410ポイント差の中に3人がいる。ラウンドロビンの1勝で得られるポイントが200。1日ごと1試合ごとに順位の変動が起こりうるデッドヒートだ。錦織も当然、意識はしている。
「遠かったワウリンカが、ランキング的にも数字的にも近くなってきた。4位、3位は次の目標ではある」
ただ、数字にとらわれてもいいことがないのもよく承知している。
「何点取れば4位なのか3位なのかも把握していない。なるべく多く試合を勝てるように。あまり考えすぎず」と、まずは目の前の試合に集中する。
(テニスマガジン/ライター◎秋山英宏)
【14日試合結果】※[ ] 数字はシード順位
第1試合 ○レイブン・クラーセン/ラジーブ・ラム(南アフリカ/アメリカ)[7] 7-5 6-4 ●ピエール ユーグ・エルベール/ニコラ・マウ(フランス)[1]
第2試合 ○錦織圭(日本)[5] 6-2 6-3 ●スタン・ワウリンカ(スイス)[3]
第3試合 ○ヘンリー・コンティネン/ジョン・ピアース(フィンランド/オーストラリア)[5] 6-3 7-6(7) ●フェリシアーノ・ロペス/マルク・ロペス(スペイン)[4]
第4試合 ○アンディ・マレー(イギリス) [1] 6-3 6-2 ●マリン・チリッチ(クロアチア)[7]
【15日試合予定】※現地時間
第1試合(12時開始)ジェイミー・マレー/ブルーノ・ソアレス(イギリス/ブラジル)[2] vs ボブ・ブライアン/マイク・ブライアン(アメリカ)[3]
第2試合(14時以降)ガエル・モンフィス(フランス)[6] vs ドミニク・ティーム(オーストリア)[8]
第3試合(16時以降)イバン・ドディグ/マルセロ・メロ(クロアチア/ブラジル)[6] vs トリート・ヒューイ/マックス・ミルニー(フィリピン/ベラルーシ)[8]
第4試合(20時以降)ノバク・ジョコビッチ(セルビア)[2] vs ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)[4]