「明日へのエールプロジェクト」の一環で、学生とアスリートが今とこれからを一緒に語り合う「オンラインエール授業」。第17回の講師は鋭いタックルを武器に「タックル王子」の異名を持ち、全日本選手権9連覇中(2020年7月現在)の高谷惣亮選手。全国高校レスリング部の現役部員や顧問の教員など約30名が集まり、今のリアルな悩みや質問に答えた。

レスリングするために減量する大切さを

まずは高谷選手の挨拶から配信はスタート。「この自粛期間中、家でトレーニングしていた人もいて、練習できない中不安だったと思う」と気遣いながら、高校生の「コーチから(このオンラインエール授業のことを)知って参加した」という反応には「高校生に知識や練習のことを話せるのが嬉しい」と感情豊かにリアクションした。

続いて、高谷選手の高校時代の話題に。「強いていうならかなり生意気な高校生だった。一人だけ髪を伸ばしていた」と自身を振り返りながら、「(当時アテネ五輪で銅メダルを獲った)井上謙二さんの姿を見て影響を受けた。目立ちたがり屋だったので、金メダルを獲ることが目標になった」と話した。高校3年生でインターハイに初出場、すぐには結果が出なかった当時のターニングポイントを「漠然と練習するのではなく、どうしたら勝てるのか、自分がどこの状態でポイントを取られるのかを冷静に考えるようになった。負けを活かして花が開いた」と分析した。

高校生からの質問も多く寄せられた。「試合前の減量が大変。減量で意識していることはありますか?」という技術面での質問には、「食事をちゃんと摂るということ」とまずは反応。「一番の失敗は食べ物、水分を減らすこと。減量することによってパフォーマンスが落ちるならやめた方がいい。本来自分が最もパフォーマンスが出るところで戦うという考え方。減量するためにレスリングするのではなく、レスリングするために減量することを意識して、まずはビタミン・たんぱく質・水分を摂ってください」とアドバイスした。

技術は裏切るが、力は裏切らない

後半はメンタル面の質問や将来への悩みなど、高校生のパーソナルな声が多く聞かれた。

「対戦したことのない相手だと不安になる。試合前の気持ちの作り方を教えてください」という高校3年生の質問には、「原因は自分でもわかっていると思うね」と分析。「見たことがない、経験したことがないことに人間は恐怖を覚える。それへの対策には、練習であらかじめその状態を作っておくことが大事。選手の映像で動きを見ておくのもいい。ただ、アドレナリンが出てパフォーマンスが上がるので、ある程度の緊張はあった方がいい。あとは勝ち負けを気にしすぎず、練習を信じて冷静に自分のレスリングを考えるといいと思う」と話した。

高校2年生の「高2で早く結果を残すにはどうしたらいいですか?」という質問には、「なかなか難しいことを言うね」とまずは一言。「インターハイ優勝、国体優勝して活躍すること、そのためには地方ブロックで優勝すること。技術と体力の向上が必要と思っている」との高校生のコメントを受けて、「技術の向上は急ぐ必要はない。高校生は目に見えてフィジカルが結果につながっていくので、体力の向上を最優先で考えるといいと思う」と返答しながら、「僕の恩師が『技術は裏切るが、力は裏切らない』と言っていた。シャトルランなど、心肺機能を鍛えられるのもおすすめ」とアドバイスした。

最後に「明日へのエール」としてメッセージを求められると、「普段の生活をしていたら練習を休みたいと思うところも、この練習できない状況を考えると、練習できていたことがどれだけよかったか実感できると思う。レスリングを選んでくれてすごく嬉しい。これからも続ける人は、僕にもどんどん質問してほしい。これから違う道を歩む人も、これまで学んだことをいろんな分野で活かしてほしい。みんなが羽ばたいていくことを願っています」と笑顔で語った高谷選手。レスリングらしい構えのポーズを取ったまま全員で、記念撮影をしながらオンラインエール授業は終了。最後は自然と拍手が起こった。

授業後の「アフターセッション」でみんなの本音を語り合う

高谷選手とのオンラインエール授業後に、高校生と先生たちだけの「アフターセッション」を開催。授業でのエールを受けて、今のリアルな想いを自由に語り合った。

高校生から、授業での高谷選手のアドバイスに感化された声が多く聞かれた。「メンタル面での話をたくさんされていたので、生活面や将来についても活かせると思ってありがたかった。自分は緊張しがちなタイプなので、今日アドバイスされたような練習から場を作っていくと言う考え方を活かしていきたい」という声や、「小さな成功体験を作ってモチベーションを上げていくといく高谷選手の考え方がすごくためになった。これからの学校生活や試験にも役立ちそう」とレスリングを超えて影響を受けた声も聞かれた。

また、本番中には質問の機会がなかったものの、「将来レスリングをしているだけで生活できるんでしょうか?」という質問を用意していた高校1年生の声も聞かれた。生涯レスリングはやっていく意志をアフターセッションでは伝えていた。

今後もさまざまな競技によって配信される「オンラインエール授業」。
これからも流した汗や涙がいつか大きな力になると信じ、全国の同世代の仲間と想いを共有できる場で、前向きなエールを送り続けていく。