「オープン球話」連載第28回 【中日歴代ベストピッチャーは星野仙一!】――ここまで、ヤクルト、巨人、西武、阪神、ソフトバ…

「オープン球話」連載第28回 

【中日歴代ベストピッチャーは星野仙一!】

――ここまで、ヤクルト、巨人、西武、阪神、ソフトバンクの歴代ベストナインを伺ってきました。今回、八重樫さんに選んでいただきたいのは「歴代中日ドラゴンズベストナイン」です。まずはピッチャーから、お願いします!

八重樫 中日のエースと言えば、この人しかいないでしょう。僕にとっては「中日のエース」=星野仙一さんです。これは迷わなかったですね。もちろん、杉下茂さんも伝説の投手だけど、僕が実際に見た投手、対戦した投手でいえば、星野さんがダントツです。




1987年ドラフト1位の立浪和義(右)と握手をする星野仙一監督

――たとえば、80年代には小松辰雄さん、90年代以降も今中慎二さん、川上憲伸さん、山本昌さんなど、リーグを代表する好投手もいましたが?

八重樫 そうだよね。小松も今中も、実際に対戦したことがあるけれど、やっぱり星野さんの迫力にはかなわないかな? ボールの力だけなら、「星野さんがナンバーワンだ」とは言えないんです。でも、精神力の強さ、気持ちのこもったピッチングでは、星野さん以上の人はいなかった。チームに対しての貢献度、影響力を考えたら、星野さんの右に出るピッチャーはいないね。

――星野さんは、後に中日の監督も務めます。そういう意味では、まさにチームを代表するスター選手であることは間違いないですね。八重樫さんは、現役時代に星野さんと対戦していますが、やはりマウンド上の気迫はすごいんですか?

八重樫 僕が一軍に定着した頃には星野さんはすでに現役の晩年でした。一度、九州遠征だったと思うんだけど、長崎の佐世保で若松(勉)さんがホームランを打って、僕もホームランを打ったんですよ。それで、星野さんは現役引退を決意したらしいんだよね。

――それは「八重樫に打たれるくらいなら、オレももうダメだ」という意味なんですか?

八重樫 そう(笑)。新聞のコメントで読んだんだけど、「八重樫に打たれたスライダーで、オレは引退を決めた」と書いてあって。その記事には「(笑)」がついていたから、冗談めかして言ったんじゃないのかな? いかにも星野さんらしいよ。

――星野さんにはものすごいスピードボールがあるわけでもないし、大きく曲がる変化球が特徴というわけでもないし、どのようなピッチャーだったんですか?

八重樫 気持ちですよ。あの人は、ユニフォームを着たら力が200%になるんです。どんな打者が来ても、必ず向かっていく。決して引かない。気持ちで抑えるピッチャーでした。球種としてはストレートとスライダー。そしてシュートが小さいのと大きいのと2種類ありましたね。でも、全身を使って闘志むき出しで投げるから、バッターは少し圧倒されちゃうんだよ。だから、監督になったときでも、先発ピッチャーが少しでも弱気なそぶりを見せると許せなかったんでしょう。

【谷繁元信か、木俣達彦か、それとも中尾孝義か?】

――では、キャッチャーは誰でしょう?

八重樫 キャッチャーは木俣(達彦)さんと中尾(孝義)の一騎打ちという感じだったけど、僕は中尾を選びたい。中尾は強肩強打のキャッチャーでしたからね。一方の木俣さんはドラゴンズひと筋でプレーした選手で、打撃でも好成績を残しているけど、キャッチャーとしては「肩が強くない」という印象が強いんです。

――中尾さんのリードとか、投手とのコミュニケーション術などはいかがですか?

八重樫 彼は専修大学、プリンスホテルと経験豊富で入団してきて、プロ2年目にはレギュラーになっているでしょ。あの頃は郭源治、都裕次郎、小松辰雄、鈴木孝政、牛島和彦と、いいピッチャーも揃っていたし、何も問題なかったですよ。

――中日の捕手と言えば、後に監督も務める谷繁元信さんはいかがですか?

八重樫 僕はキャッチャーとして谷繁の能力はとても高く買っています。「全球団オールタイムベストナイン」を選ぶとしたら、古田敦也と並ぶぐらいの評価をしている。でも、「中日ベストナイン」と言うならば、やっぱり、木俣さんか中尾から選びたいんだよね。谷繁はいいキャッチャーだけど、大洋、横浜の印象が、僕の中では強いんです。

――なるほど、わかります(笑)。では、内野陣を発表してください。

八重樫 内野手はまずはセカンドが高木守道さんで決まり。で、そこからショート、サード、ファーストを決めていく。そんな順番でしたね。セカンドは高木さんで、ショートが立浪和義、サードが宇野勝。そして、ファーストは悩んだんだけど大島康徳かな?

――それぞれの選出理由を教えてください。

八重樫 高木さんのセカンドの守備は絶品でしたよ。「巨人ベストナイン」の篠塚和典もそうだったけど、高木さんも自軍バッテリーのサインを理解していて、配球に応じて守備位置を変えていたんです。だから、守備範囲も広い。「よし、抜けた」と思ったら、高木さんがそこにいる。そんなことが何度もありました。高木さんは絶対に外したくないし、外せないですね。

――では、ショート、サード、ファーストは?

八重樫 ショートの立浪は守備も打撃も、走塁もすべてに優れていました。そして、豪快な打撃が持ち味の宇野は、ショートで選んでもよかったんだけど、守りでは立浪にはかなわない。そういう理由でサード。ファーストは大島が頭に浮かんだんだよね。あれだけチャンスに強くて、ホームランも打てる。バッティングに関しては申し分ないですから。

【アライバ、落合博満はまさかの選考漏れ】

――個人的には、アライバ(荒木雅博、井端弘和)コンビがエントリーされなくて残念です(笑)。ところで、落合博満さんを忘れてはいませんか?

八重樫 落合はね、迷ったんですよ。でも、今度発表する「ロッテ編」に入れようと思うので、ここではあえて外したんです。三冠王はロッテ時代の出来事だし。

――よかった。忘れていたのかと思いました。では、外野手の発表をお願いします!

八重樫 外野手は平田良介、大島洋平、谷沢健一さんの3人かな?

――平田選手、大島選手は現役ですね。てっきり、谷沢さんはファーストでの選出かと思っていました。

八重樫 僕らが若かった70年代の前半、谷沢さんは外野手としてバリバリやっていたから、その印象が強いんですよ。肩も強かったし、いい外野手でした。確かにファーストでも活躍したけど、あれはアキレス腱の状態が悪くなってからですから。だから、僕にとって谷沢さんは外野手なんです。

――では、現役の2人については?

八重樫 近年の中日のチーム成績は低迷しているけど、この両選手は今後の伸びしろも含めて、「歴代ベストナイン」に選んでもいいんじゃないかと思ったんですよ。

――西武の「歴代ベストナイン」に選ばれていた平野謙さんも、元々は中日でした。

八重樫 平野の場合は、西武に移籍してから才能が開花した気がします。福留孝介は「阪神ベストナイン」で選んだけど、彼も中日以降、アメリカ、阪神で伸びたという印象なんですよね。強いて言えば、田尾安志を入れるかどうか。ここは悩んだけど、あえて平田、大島、谷沢さんの3人にしました。

――わかりました。では、注目の打順も含めて最終発表をお願いします!

八重樫 注目の四番には、左投手も右投手も苦にしなくて、勝負強い大島を据えて、こんな感じかな?

1.大島洋平(中)
2.高木守道(二)
3.谷沢健一(右)
4.大島康徳(一)
5.平田良介(左)
6.宇野勝(三)
7.立浪和義(遊)
8.中尾孝義(捕)
9.星野仙一(投)

――今回も白熱の議論となりました。次回も、引き続きよろしくお願いいたします!

八重樫 わかりました。次回までに、残り球団も考えておきます。