フランス・パリで開催された「BNPパリバ・マスターズ」(ATP1000/10月31日~11月6日/賞金総額374万8925ユーロ/室内ハードコート)のシングルス決勝で、第2シードのアンディ・マレー(イギリス)がジョン・イズナー(アメリカ…

 フランス・パリで開催された「BNPパリバ・マスターズ」(ATP1000/10月31日~11月6日/賞金総額374万8925ユーロ/室内ハードコート)のシングルス決勝で、第2シードのアンディ・マレー(イギリス)がジョン・イズナー(アメリカ)を6-3 6-7(4) 6-4で破り、今大会の初優勝を飾った。月曜日に発表される最新世界ランキングで1位となることが確定しているマレーは今、キャリア最良のシーズンを過ごしている。

 これはマレーにとって今季8つ目のタイトルであり、ATP1000のマスターズ優勝は14度目。その勝利はまた、対戦相手のイズナーのマスターズ初優勝の夢を砕くものでもあった。

 「試合前は、すごくナーバスになったんだ」とマレーは言った。過去のイズナーとの7対戦のすべてで勝っていたにも関わらず、だ。

 マレーは月曜日にランキングが更新されると、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)に替わって世界1位の座につくことになる。

 「一週間だけのことかもしれないから、今は首位の座を楽しむようにしようと思う。ATPファイナルズのときに1位の座を失って、決してそこには戻れないかもしれないしね」。

 29歳のマレーは、その新しいステータスに慣れようと努力しているところだ。

 「世界1位になったことを実感しているのかどうか、よくわからない」とマレーは言う。彼は3度グランドスラムで優勝し、2度五輪の金メダルを獲得した。「グランドスラム大会やオリンピックで優勝したときとは、違った感じがする」。

 何より、お祝いメッセージの数が大いに違うというのだ。

 「ここまでの人生でプレーした、どの試合のあとに受け取ったメッセージよりも多い」とマレーは言った。「ほかの選手たちからの敬意も得られて本当に素敵なことだ」。

 マレーは前週のウィーン準々決勝でイズナーを6-1 6-3で倒していたが、今回は最後まで競り合う、より厳しい戦いとなった。

 「先週も彼とプレーしたが大きな違いだ」とマレーは言っている。

 ビッグサーブで知られる身長208cmのイズナーは、18本のサービスエースを決め、強力なフォアハンドの逆クロスで多くのウィナーを奪って、マレーにプレッシャーをかけた。

 ところがイズナーは、6本のブレークポイントをものにし損ねた。

 第2セットを4-3とリードしたイズナーは、マレーのサービスで0-40と3つのブレークポイントを握った。だが、そのチャンスを不意にしてしまったのである。

 実のところ、マレーのほうにも多少の波はあった。彼はタイブレークでダブルフォートをおかし、イズナーはそこにつけ込んで第2セットを取った。

 イズナーは、第3セットの最初の2つのサービスゲームでブレークポイントをセーブし、離されないように踏み堪えたが、最終的にマレーが優位性を回復させていった。

 イズナーがダブルフォールトをおかして0-30とリードされたあと、次の厳しいポイントを何とか取って、さらにサービスエースで30-30と追いついた。しかし、続く難しいボレーをネットにかけ、マレーに最初のマッチポイントを与える。マレーはイズナーのセカンドサービスからのラリーで主導権を握り、パッシングショットをイズナーのボディに打つと、イズナーはそのボレーをネットにかけた。

 激しい戦いの末の勝利だった。 イズナーはマレーを祝福するため、頭を下げてネット際に立ち、新しい世界ナンバーワンが歩み寄ってくるのを待った。

 これでマレーは4大会連続で優勝したことになり、キャリア獲得タイトル数を「43」に伸ばした。

 マレーの次の大会は、13日からロンドンで始まる「ATPファイナルズ」だ。世界1位となったマレーは、パリから母国イギリスへ戻り、そこで次の大きなタイトル獲得を目指すことになる。

 「世界ランキングの頂点への、信じられないような旅だったね」とマレーは言った。ちなみに彼の兄ジェイミーもダブルスで世界1位になったことがある。

 「ここ数年、スコットランド出身のテニスプレーヤーはあまり輩出されていなかった。その中で僕らが成し遂げたことの多くは両親のおかげなんだ。僕らの母はテニスコーチだ。母が、僕らが幼いときからテニスを学ぶこと、テニスを楽しむことを助けてくれたんだよ」。(C)AP