「オープン球話」連載第27回 掛布、バースらが揃った阪神ベストナイン>>【ホークス最強バッテリーは和田毅&城島健司】――…

「オープン球話」連載第27回 

掛布、バースらが揃った阪神ベストナイン>>

【ホークス最強バッテリーは和田毅&城島健司】

――八重樫さんが選ぶ「球団別歴代ベストナイン」、第4回は福岡ソフトバンクホークス編です。前身のダイエー、南海ホークス時代も含めて選考をお願いします。では、投手からお願いします!

八重樫 南海時代にも杉浦忠さんとかいいピッチャーはたくさんいたけど、すべての「ホークス」の中から、僕が推したいのは和田毅なんですよ。ダイエーが強かった頃には、斉藤和巳、杉内俊哉、新垣渚といった好投手がいました。でも、長年ローテーションを守っている和田は立派です。「松坂世代」として、未だに現役というのも評価ポイントは高いよね。




2014年に揃ってゴールデングラブ賞を受賞した(左から)柳田悠岐、今宮健太、松田宣浩 photo by Kyodo News

――八重樫さんからご覧になって和田投手はどんなピッチャーですか?

八重樫 日本だけの成績でいえば、昨年までで通算130勝70敗。これだけ勝ち数が多いと、監督は計算が立つし、チームメイトからの信頼も厚くなる。今年も勝ち星が先行しているし、本当に立派ですよ。多くの人は、「球の出所が見づらい」と独特なピッチングフォームを指摘するけど、僕は「タイミングが合わせづらい投手」というイメージのほうが強いです。

――「タイミングが合わせづらい投手」とは、どういう意味でしょうか?

八重樫 投球動作に入って、ボールを持つ左手を頭の後ろに持ってくるまでの間が、独特なんですよ。おそらくだけど、これは自分のタイミングではなく、バッターのタイミングに合わせて少しずつ変えている気がするんですよね。昔、大洋(現DeNA)にいた岡本透に似ている気がするな。

――では、キャッチャーはいかがですか?

八重樫 これは迷いなく、城島健司でしょう。阪神の田淵幸一さんのように「打てるキャッチャー」の代表格ですよね。攻守の中心でチームの柱だったし、歴代の中でも存在感抜群ですよ。

――お手元のメモを見ると、赤い字で「甲斐」とありますね。これは、「甲斐拓也」のことですか?

八重樫 そう。最初に甲斐が頭に浮かんだんだけど、彼は「甲斐キャノン」が注目されたように、まだ肩の強さが話題になっているだけの印象なので、総合的には城島には及ばない。でも、まだ若いから「歴代ベスト捕手」になれる選手だと思います。

 もちろん、南海ホークス時代を中心に考えれば野村克也さんの名前を出さないわけにはいかないけど、野村さんは別格ということで、あえて外しました。

【今宮健太は「歴代ベスト内野手」だ!】



マスク着用で取材に応じた八重樫氏

――続いては内野陣を伺います。

八重樫 「歴代ホークスの内野手」と聞いて、真っ先に頭に浮かんだのが今宮健太なんですよ。

――ほぉ、今宮選手ですか。それは、守備の名手として頭に浮かんだんですか?

八重樫 そうです。今宮の守備は現在のパ・リーグでもナンバーワンじゃないかな? 西武の源田壮亮も名手だけど、個人的には今宮の守備範囲、そして肩はピカイチだと思っています。ということで、まずは「ショート・今宮」ということで、他のポジションを考えたんだよね(笑)。

――なるほど。では、残りのファースト、セカンド、サードはいかがでしょう?

八重樫 ファーストが小久保裕紀か松中信彦かで迷いました。小久保はサードも守っていたので、「サード・小久保」「ファースト・松中」にしようかと思ったんだけど、「やっぱり、違うな」と......。

――迷いに迷っていますね(笑)。その結果、どうなりましたか?

八重樫 僕は、サードには松田宣浩を入れたいんだよね。やることは派手で、パフォーマンスばかりが注目されがちだけど、何事にも一生懸命で真剣な姿勢に好感が持てるんです。自己犠牲もいとわないし、チームを引っ張る存在感もあるし、「歴代ベストナイン」の名に恥じない選手だよね。ああいう選手は応援したくなるんですよ。

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――おぉ、期せずして、ショート・今宮、サード・松田と現役選手が並びました。さて、懸案の「ファースト問題」はどうしましょうか(笑)。

八重樫 この問題は、実はあっけなく解決しました。松中をDHで選出して、小久保をファーストで選ぶ。これで問題は解決(笑)。小久保は巨人に移籍はしたけど、最後は古巣で引退したし、チームを引っ張るリーダーシップは歴代でも有数でしょう。DHでは長く主軸を打った門田博光さんもいるけど、松中は三冠王を獲得した選手ですから、「ベストDH」でも異論はないはず。

――残りのセカンドはどうしましょうか?

八重樫 これも、松田と同じ理由なんだけど、セカンドには川崎宗則を挙げたいんだよね。彼もパフォーマンスが注目されがちだけど、ひたむきな姿勢はものすごく好感が持てるし、セカンドの守備も堅実でしたよ。ショートの今宮が絶対的なので、川崎はセカンドで選ぶことにしました。

【「歴代ベスト外野手」は現役2人とレジェンドひとり】

――では、最後に「ベスト外野手」3名を挙げてください!

八重樫 外野手は、まず柳田悠岐を入れたい。現役選手で、これからもっと伸びる可能性も十分だけど、現時点ですでに「歴代ベスト」に選んでも問題はないと思いますよ。彼は体の使い方が上手。一見すると、強引なアッパースイングに見られがちだけど、実はインパクトの瞬間まではレベルスイングで、フォロースルーがアッパースイングになっているだけなんです。

――確かにアッパースイングの印象が強いけど、「実はそうではない」、と。

八重樫 そうです。本人がユーチューブか何かで話している映像を見たんだけど、柳田自ら「僕のスイングはV字打ちです」って言っていたんですよ。それを見て、「あぁ、やっぱり本人はそういう意識なんだな」と思いましたね。僕から見ても理想的なスイングだと思います。

――今宮、松田両選手に続いて、またも現役選手からの選出となりました。

八重樫 次も現役なんだけど、内川聖一も入れたいね。彼は横浜からの移籍組だけど、ソフトバンク時代に、さらに才能が開花したイメージが強いので。

 問題は最後のひとりなんだけど、広瀬叔功さんやカズ山本と悩んだ結果、新井宏昌にしました。カズ山本は「代打」のイメージが強いけど、新井は守備もバッティングも一流でしたから。新井は近鉄のイメージも強いかもしれないけど、南海時代からいいバッターだったので、「ホークスベストナイン」に入れましょう。

――わかりました。では、打順も含めた「歴代ベストナイン」を発表してください。

八重樫 誰でもクリーンアップを打てる選手が並んだんだけど、ここはあえて「一番・柳田」で得点力アップを狙いたいな。

1.柳田悠岐(中)
2.新井宏昌(右)
3.小久保裕紀(一)
4.松中信彦(指)
5.城島健司(捕)
6.内川聖一(左)
7.松田宣浩(三)
8.今宮健太(遊)
9.川崎宗則(二)
P.和田毅

――今回も大いに盛り上がりました(笑)。次回は「中日ドラゴンズ編」をお願いします。

八重樫 わかりました。じっくり、考えておきます!