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 今シーズン、多くの野球解説者が東京ヤクルトスワローズを最下位と予想した。その中で元ヤクルト監督の真中満氏は、Aクラスの3位予想。ヤクルトはここまでセ・リーグ首位争いを演じる戦いぶりを見せている。前回の記事でチームが好調の要因について語った真中氏が、今回は就任1年目の高津臣吾監督の指揮官ぶりについて解説する。



今シーズンからヤクルトで指揮を執る高津臣吾監督(写真手前)

 
 真中氏と高津監督は2014年から3年間、ヤクルト首脳陣として歓喜と苦悩の時間を共にした。15年には真中監督、高津投手コーチの下、チームは14年ぶりのリーグ優勝を果たした。前年最下位からの優勝は39年ぶりの快挙だった。

 まず真中氏は、今季の高津監督の采配について、「迷いがなく、切り替えが早いです」との印象を述べた。

「主力の山田哲人(※)を2番で起用したり、これまで登板の少なかった投手を使ったり、僕がイメージしていたとおり、思い切った采配をしています。(14年から)ヤクルトで1軍コーチや2軍監督を経験しているので、選手の個々の能力や適性を本当に理解しているように感じます。去年まで2軍で見ていた選手も含めて、よいところを引き出していますね」
※山田は7月27日に1軍出場選手登録抹消

 さて、ヤクルトは投手陣再建がここ何年もの課題。投手出身の高津監督にはその期待が大きく寄せられている。

 真中氏は、高津監督の積極的な若手投手の起用に注目し、清水昇(2年目)と寺島成輝(4年目)(※)の名前を挙げた。2人は共にドラフト1位で入団した投手。清水は、開幕から一時、11試合連続無失点を記録するなど好調で、寺島もプロ初勝利を得たほか、リリーフとして安定感を見せた。
※寺島は7月27日に1軍出場選手登録抹消

「高津さんは若手の素質をよく把握しています。清水は昨年もかなりいいボールを投げていたのでやってくれそうな感じがありました。寺島は僕の監督時代に高校から1位指名でプロ入りしました。周囲からの期待値がかなり大きく、入団1、2年目で出てこないと『何してんだ』というように思われて、少し気の毒な部分はありましたが、年齢的にはまだ今年で大学4年の歳。若いことを考えれば順調に成長していると思いますよ」

 さらに真中氏は、中澤雅人(11年目)についても触れた。昨年は1軍登板が1試合だけだったベテラン左腕だ。

「中澤はいい役割を果たしています。先発が早い回で降りた後、中継ぎとして試合を立て直している。中澤はこれまでに上から投げたり、横から投げたりと、フォーム改良などいろいろなことに取り組んできました。僕もそういう過程を知っているだけに、活躍は本当にうれしい。中澤のような選手を1軍に引き上げられるのは、やはり高津監督が2軍選手をしっかりと見てきたからこそですよね」

 また、真中氏は、投手出身の高津監督ならではのピッチャーの登板間隔にも言及した。

「中継ぎには本当に気を遣っているように感じます。ここまで3連投をほとんど見ませんよね。石山泰稚くらいですかね? 彼はクローザーなので仕方がない面はありますが、他の投手は、上手に休ませながら試合をこなしていますね」

 今季のヤクルトのブルペン陣を見てみると、高津監督が開幕前から抑え投手候補と明言していたスコット・マクガフ(2年目)は当初やや調子が上がらなかった。そこで高津監督はすぐさま清水に8回を任せる決断をした。

「マクガフはピッチングが少し単調になっていましたね。彼にもプライドがありますから、それなりに投げていたら、継続させていたと思います。しかし、結果が出なくなった時に、パッと配置転換をしましたね。思い切りのよい采配でした。清水と梅野雄吾(4年目)の2人で7回、8回を(移籍が多い)外国人投手に頼らずに抑えられるようになったら頼もしいですから、そういう意味で配置転換はいい機会だったかもしれませんね」

 真中氏は、高津監督の野手の起用に関してもその眼力を評価している。

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「まずは、キャッチャー古賀優大(4年目)ですかね。経験などを考えるとまだ使いづらいところはあると思います。でも高津さんはずっと見てきたから、思い切って起用できるんでしょう。古賀は一時、二軍に降格しましたが(現在は1軍再昇格)、これは誰もが通る道です。行ったり来たりしながら、一人前になっていくものです。楽しみなキャッチャーだと思いますよ」

 さらに小柄で俊足好打のイメージの強い山崎晃大朗(5年目)を3番や5番といったクリーンアップに据えていることに、「これもなかなかできないことですよ」と驚きの表情を浮かべる。

「最初は大丈夫かな? という感じで見ていました。高津さんの期待が大きかったんでしょうね。そして、実際に山崎もそれに応えています」

 真中氏は続ける。

「ここまで、試合全体を見て感じるのは、すごく攻撃的な監督だということです。2番・山田はその象徴ですし、ベンチがよく動きますよね。エンドランやバント、盗塁、とにかく動いている。相手ベンチからすれば『高津監督はいろいろとやってくるな』という印象付けが序盤の戦いでできたのではないでしょうか。後半戦へ移る中でこれがどう作用していくのか」



高津監督の采配について語る真中満氏(村上庄吾・撮影)

 高津監督の頭には若い選手たちの育成が常にあり、就任時から「今年は、いいことも悪いことも試合の中でたくさん経験して、選手たちにひとつずつ成長してもらいたい」と言い続けている。

「投手・野手ともに育成の意識は強く感じますね。試合終盤の代打起用などさまざまな場面で思い切りがいい。守備固めにしても、青木宣親はベテランなので普通のことですが、僕だったら山田を7回で替えられないですからね(苦笑)。でも、そうして出場機会を得た若い選手にとっては、いい訓練になります。僕自身も現役時代は守備固めの出場からスタートしているのですが、その経験は将来的にとても生きてきます。そういった考えもあるのでしょう」

 真中氏と高津監督には、共に2軍監督を経て、前年最下位のチームを引き継ぐ形で1軍監督に就任したという共通点がある。真中氏は就任1年目で、チームをリーグ優勝に導いたが、高津監督もここまでリーグ2位と健闘している。

「高津さんは2軍の首脳陣とのコミュニケーションの取り方がすごく上手だと思います。2軍の首脳陣からの声に柔軟に対応していますし、2軍の選手をよく見ているので、いいタイミングの選手起用ができる。チームが苦しい時には、1軍だけでなく、2軍の人材も上手に機能させるのではないでしょうか。

 2軍の首脳陣って1軍に推薦した選手の活躍がとにかく嬉しいんですよ。数少ない喜びというか(笑)。そういう空気が生まれると、1軍と2軍が一丸になって、『よーし、やってやるぞ!』ってなりますよね。今のヤクルトは、高津監督と池山隆寛2軍監督ら首脳陣の気持ちが通じ合っているので、チームがまとまりやすいように思います。

 でも結局は選手たちがケガをせずに頑張ることが大切なんですけど(笑)」

 今シーズンのチームスローガンは「NEVER STOP 突き進め!」。高津監督率いるヤクルトは、どこまで突き進めるだろうか。