年間グランドスラムを目指したノバク・ジョコビッチ(セルビア)やセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)にも起きたように、その試合の勝敗以上に大きな何かがかかった試合で予想外の敗北が起こることがある。フランス・パリで開催されている「BNPパリバ・…

 年間グランドスラムを目指したノバク・ジョコビッチ(セルビア)やセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)にも起きたように、その試合の勝敗以上に大きな何かがかかった試合で予想外の敗北が起こることがある。フランス・パリで開催されている「BNPパリバ・マスターズ」(ATP1000/10月31日~11月6日/賞金総額374万8925ユーロ/室内ハードコート)のシングルス2回戦で、フェルナンド・ベルダスコ(スペイン)に追い詰められた第2シードのアンディ・マレー(イギリス)は、そのような事態から辛うじて逃げおおせた。マレーは不屈のベルダスコを6-3 6-7(5) 7-5で下し、3回戦に駒を進めた。

 この大会の最たる話題は、マレーがこの大会後にランキングでジョコビッチを追い抜くかということだ。「マレーが優勝し、ジョコビッチが決勝に進まなければ」「マレーが決勝に進出し、ジョコビッチが準決勝前に敗れれば」----こんな『もし』が横行したが、2回戦にしてそのような仮説の意味のなさが証明されかかることになる。

 ベルダスコは現在のランキングこそ46位だが、かつては7位にまで上っただけあり、ときおり大物食いをやってのける。この日はフォアハンドの強打でマレーを振り回しては、突然アンフォーストエラーもおかす派手なプレーでマレーを苦しめた。しかし、第3セットの5-5から一度はブレークポイントをつかみながらチャンスを逃し、最後は自分のサービスゲームをラブゲームで落として頭を垂れた。

 試合後、マレーは「僕のベストマッチでなかったことは確かだが、何とか危機から抜け出すことができた。明日はもっとましなプレーをするよ。先週(ウィーン)とコンディションがまったく違うのに、試合前に45分しかボールが打てなかったんだ」とため息とともに言った。

 「試合の最後には強気でいけたよ。僕は(第3セット)5-5の15-40という苦境に置かれていた。でもそのあと、彼は試合にケリをつけることができないのだという感じを覚え、そこから僕は彼よりも力強く試合を終えることができた」

 マレーは3回戦で第13シードのルカ・プイユ(フランス)と対戦する。プイユはフェリシアーノ・ロペス(スペイン)を6-7(1) 6-3 6-4のフルセットの戦いの末に下して勝ち上がった。

 一方、マレーの試合に先立ち2回戦を戦った第1シードのジョコビッチは、絶好調と言えない調子ながらもジル・ミュラー(ルクセンブルク)を6-3 6-4で倒した。ジョコビッチは3回戦で第14シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)と対戦する。

 また、ロンドンでの「ATPファイナルズ」出場の可能性を残している第8シードのダビド・ゴファン(ベルギー)はニコラ・マウ(フランス)を7-6(5) 6-3で下し、希望を次のラウンドにつなげた。ゴファンは3回戦で、やはりロンドン行きの切符を目指す第9シードのマリン・チリッチ(クロアチア)と対戦する。チリッチは2回戦でイボ・カルロビッチ(クロアチア)を7-6(7) 6-2で退けた。

 第5シードの錦織圭(日清食品)はビクトル・トロイツキ(セルビア)を6-2 7-5で、第11シードのジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)はアルベルト・ラモス ビノラス(スペイン)を6-3 6-4で倒し、錦織とツォンガが3回戦で対戦する。

 第16シードのパブロ・クエバス(ウルグアイ)はパオロ・ロレンツィ(イタリア)を6-1 6-2で、ジル・シモン(フランス)は第10シードのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)を2-6 6-1 7-6(6)で下した。

 また、ジョン・イズナー(アメリカ)が第15シードのダビド・フェレール(スペイン)を7-6(4) 7-6(4)で、ジャック・ソック(アメリカ)は第6シードのドミニク・ティーム(オーストリア)を6-2 6-4で破り、アメリカ人ふたりも3回戦に進んでいる。

 イズナーが次に対戦するのは、予選勝者のヤン レナード・ストルフ(ドイツ)だ。ストルフはナイトマッチの最終試合で第3シードのスタン・ワウリンカ(スイス)を3-6 7-6(6) 7-6(1)で逆転で破っている。

(テニスマガジン/ライター◎木村かや子)