フランス・パリで開催されている「BNPパリバ・マスターズ」(ATP1000/10月31日~11月6日/賞金総額374万8925ユーロ/室内ハードコート)のシングルス2回戦で、第5シードの錦織圭(日本/日清食品)がビクトル・トロイツキ(セ…

 フランス・パリで開催されている「BNPパリバ・マスターズ」(ATP1000/10月31日~11月6日/賞金総額374万8925ユーロ/室内ハードコート)のシングルス2回戦で、第5シードの錦織圭(日本/日清食品)がビクトル・トロイツキ(セルビア)を6-2 7-5で下し、3回戦に進んだ。

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 「ランキングは嘘をつかない。もしもある選手が世界ランク1、2、あるいは3、4位にいるなら----肉体的に健在であるという条件付きでだが----それが、その選手がいるにふさわしい場所なんだ」

 大会開始時にアンディ・マレー(イギリス)はこう言っていた。

 確かにランキングは嘘をつかない。錦織の安定性と堅固さは、ここ数年の常識になっている。トロイツキに対するこの日の試合でも、勝利を疑わせるような瞬間は一度もなかったが、試合の終盤を除き、普段はあまり見せないようなアンフォーストエラーも出て、プレーにやや波があった。

 「完璧とは言えなかったけど、しっかり2セットで終えることができてよかった。初戦としては、まあまあいい試合だったと思う。第2セットではアップダウンが多く、多くのブレークがあった。もう少し集中できていれば、より簡単に終わらせることができたかもしれないが…。コンディションに慣れることができれば、よくなると思う」

 この試合直後の言葉の通り、この日、錦織を悩ませていたのは、相手以上に慣れないボールやコート・コンディションへの順応だった。

 確かに断続的にアンフォーストエラーも出たが、それは相手も同じだった。第1セットの最初のブレークは、主にトロイツキの自滅によるものだったが、錦織は、やりにくい中でも相手よりミスを抑え、要所でアグレッシブにプレー。4-2からの第7ゲームでは、トロイツキの甘いセカンドサービスをフォアハンドで叩いて2度目のブレークを果たし、第1セットを6-2で取る。

 第2セットは、錦織が第1ゲームをブレークすれば、トロイツキもブレークし返すというアップダウンの多い展開に。錦織がふたたびブレークを果たし、このままいくかと思われた第6ゲームは、トロイツキがリターンの質を上げてきたのに加え、錦織のスマッシュミス、フォアハンドのアウトなどのミスが続いて、ふたたびブレークを許し、そのときは少し集中力が落ちたかにも見えた。

 錦織は、その第2セットのやや苦労した時間帯を、「ボールの感覚がよくなかったりで、ショットを思うようにコントロールできない部分もあり、そういう苛立ちを感じてはいた。我慢してプレーしないといけなかったが、なかなかそれができなかったり、第2セットは何回もブレークしているのに、ブレークバックされたり…」と振り返った。

 しかし、「最後の2、3ゲームは、やっとボールを打った際の感覚がよくなり、いいプレーができた」と、最後の3ゲームでの錦織はミスを減らし、要所で効果的な攻撃を見せた。

 まず、2本のフォアハンドのダウン・ザ・ラインを決めてサービスをキープし5-5としたあと、トロイツキに押されながらもバックハンドのダウン・ザ・ラインを決めて相手のサービスにプレッシャーをかけ、反対にトロイツキは、その大事な場面で2本連続のミスをおかして、競った末にブレークを献上した。

 試合終盤にファーストサービスの確率を上げた錦織は、次の6-5からのサービスゲームをラブゲームで取って試合を締めくくった。

 錦織は3回戦で、第11シードのジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)と対戦する。対戦成績では錦織が5勝2敗と勝ち越している相手ではあるが、現在のツォンガは、「サービスの調子がすごくいい。こんなに調子がいいのは久しぶりだ」と、2回戦でアルベルト・ラモス ビノラス(スペイン)を6-3 6-4で破ったあとの記者会見で、開口一番で言うほど好調を自負している。

 錦織を倒すにはサービスが鍵となるか、と聞かれたツォンガは、「トップ4の誰もが倒すのが難しい相手。でも僕はトップ4を倒したことがある。僕は圭に勝ったことがあり、自分にはそうする力があることを知っている」ときっぱり言った。

 「いいサービスを打つことも大事だが、要らないミスをおかさず堅固なプレーをし、アグレッシブに戦い、その試合が彼にとって厳しい試合になるということを示して見せることが大切だ」

 自信に満ちたツォンガは、「彼と戦う準備はできている。僕はただコートに出て行って、勝とうと努めるだけだ」と言った。

 その不気味な自信を押し返せるかは、錦織次第だ。ふたりの8度目の対決は、3日(木・祝)の19時半以降に予定されている。

(テニスマガジン/ライター◎木村かや子)