フランス・パリで開催されている「BNPパリバ・マスターズ」(ATP1000/10月31日~11月6日/賞金総額374万8925ユーロ/室内ハードコート)のシングルス1回戦で、ビクトル・トロイツキ(セルビア/28位)がアドリアン・マナリノ…

 フランス・パリで開催されている「BNPパリバ・マスターズ」(ATP1000/10月31日~11月6日/賞金総額374万8925ユーロ/室内ハードコート)のシングルス1回戦で、ビクトル・トロイツキ(セルビア/28位)がアドリアン・マナリノ(フランス/60位)を6-4 3-6 7-6(5)の大接戦の末に下した。これで錦織圭(日清食品)の2回戦の相手はトロイツキに決まった。この試合は2日(水)、現地時間11時からセンターコートで行われる。

 トロイツキは第1セットを6-4で取ったが、マナリノがプレースメントのいいストロークで振って要所で叩くプレーをして第2セットを取り返し、勝負は最終セットに持ち込まれる。

 拮抗した展開となった第3セットでも、長短を混ぜたストロークで崩してはネットをとるプレーでプレッシャーをかけたマナリノが、第5ゲームで先にブレークに成功。5-4からマナリノがサービスに入り、40-15とマッチポイントを握ったときには、このまま終わるかに思われた。

 しかし百戦錬磨のトロイツキは、まったく諦めていなかった。バックハンドでアンフォーストエラーをおかし40-30となると、マナリノは次第に硬さを見せ始め、次にフォアハンドをネットにかけるミスでデュースに追いつかれてからは、ファーストサービスの確率も低下。ストレスを顔に映したままミスを重ね、ブレークバックを許してしまった。

 次のゲームではマナリノも落ち着きを取り戻し、試合は競り合ったまま進むが、もつれ込んだタイブレークで精神的強さを見せたのは、トロイツキのほうだった。

 「今日は自分のベストテニスができていなかった」と後に認めた通り、トロイツキはアンフォーストエラーが断続的に出たものの、精神的には一枚上だった。タイブレーク3-3からマナリノがダブルフォールトをおかしたのとは対象的に、トロイツキはサービスエースを2本決めて6-3と王手をかけ、最後は6-5からファーストサービスを叩き込み、マナリノのリターンミスを強いた。

 マッチポイントを握られたときにも落ち着きを保っていたトロイツキは、試合後「前回、僕はサービスをキープすれば勝つというゲームでマッチポイントを握ったが、結果的に負けた。でも今日の試合はカムバックすることができた。これがテニスというものだ。本当に終わるまで、決して終わりとは言えない」と振り返った。

 「だから僕は落ち着きを保ち、勝てると信じ続けた。そうできることが僕の強みでもある。自分のベストのテニスができていないときでも僕は戦い続ける。そうしているうちに調子や流れが戻ってくることが多々あるんだ」

 錦織とトロイツキの対戦成績は、錦織の4勝1敗。敗れたのは初対戦だった2010年のみで、以来、錦織が勝っているが、最後の対戦だったイタリア国際ではフルセットにもつれている。

 トロイツキは次の対錦織戦について、「彼はトッププレーヤーのひとりだ。先週のバーゼルでかなりいいプレーをしていた。皆が彼のほうが勝つだろうと予想していることは知っている」とした上で、こう続けた。

 「今日、僕は自分のベストテニスをできていなかったが、この試合の前には何試合かいいプレーができていた。だから明日は自分のベストのテニス、アグレッシブなプレーとともに戻ってきて、圭のリズムを崩すように努める。圭が自分の好きなリズムでプレーできないようにし、何より勝とうと努めるよ」

 一方、5-4からマッチポイントを握りながら崩れたマナリノは、失望を露わにしながら、「(5-4からのゲームでは)少し緊張したところはあると思う。でも何より、自分のプレーに失望を感じる」と話した。

 「全般的に見て、今季の自分のテニスにはがっかりしている。こうもひどいテニスをしていると、喜びを感じるのは難しい。少し考える時間を持ち、次のシーズンに向けてどうするか、よりよいプレーヤーになるにはどうすればいいか考えたい」

(テニスマガジン/ライター◎木村かや子)