フランス・パリで開催されている「BNPパリバ・マスターズ」(ATP1000/10月31日~11月6日/賞金総額374万8925ユーロ/室内ハードコート)の本戦初日に、日曜日にウィーンで優勝したばかりのアンディ・マレー(イギリス)が記者会…

 フランス・パリで開催されている「BNPパリバ・マスターズ」(ATP1000/10月31日~11月6日/賞金総額374万8925ユーロ/室内ハードコート)の本戦初日に、日曜日にウィーンで優勝したばかりのアンディ・マレー(イギリス)が記者会見を行った。

 ナンバーワンについて。

 今、世間は、マレーがこの大会の終わりに、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)を追い抜いて世界1位になるか否かの話題で持ちきりだ。しかしマレー自身は、「僕のゴールは年末にナンバーワンになることじゃなかった。僕はただ、可能な限り力強くシーズンを終えたいと思っていたんだ。世界1位に関しては、来年初頭にやってのけるチャンスのほうが大きいと思うよ。今週より、そっちのほうを目指していたんだ」と、笑みを浮かべていなしてみせた。

 世界1位の座がますます近づきつつあることにプレッシャーや気持ちの変化を感じるか、と聞かれたマレーは、「いいや、自分でコントロールできることじゃないから」と答えた。「自分の試合に勝とうと努めることはできる。でも、今週のすべての試合に勝っても、そこにたどりつけないかもしれないんだから」。

 マレーが優勝し、ジョコビッチが決勝に進出しない場合、そして、マレーが決勝に進出し、ジョコビッチが準決勝の前に負けた場合に、マレーがランキングでジョコビッチを追い抜くことになる。

 「だから、ことはノバクの手中にある。当然ながら、彼は今、僕より前にいる。彼がここ2大会で最後のほうまで勝ち上がれば、彼はほぼ間違いなくナンバーワンをキープするだろうから」とマレーは言った。

 マレーは、プレッシャーを減らすためにわざと自分を過小評価するような真似もしなかった。前日にジョコビッチは、マレーは『間違いなく年末にナンバーワンのポジションにいるに値する』、なぜなら彼が『キャリアで最良のテニスをプレーしているからだ』と言っている。その意見に同意するかと聞かれたマレーは、こう答えた。

 「ああ、僕はそこにいるに値すると思う。ランキングというのは陳腐だけど、一方で嘘をつかない」とマレー。

 「テニスのシーズンは長いんだ。ほぼすべてのトッププレーヤーがプレーしている、出場が義務付けられた大会がたくさんある。もしもある選手が世界ランク1、2、あるいは3、4位にいるなら----肉体的に健在であるという条件付きでだが----それが、その選手がいるにふさわしい場所なんだ。素晴らしい6ヵ月を送って、それから最後の3、4ヵ月でケガをしてしまったというなら、もっと高い位置で終わるに値したのに、と言えるかもしれないけどね」

 彼はまた、こう続けている。

 「今年、僕は一年を通して健康でいることができ、ここ4、5ヵ月は、キャリア最高のテニスをプレーしてきた。だから僕は今、世界2位でいるに値するし、ノバクは彼が送ったこの一年ゆえに、世界1位でいるに値するんだと思う」

 ジョコビッチの後半の失速について、マレーは次のような見方をしている。

 「彼は上海の準決勝で(ロベルト・)バウティスタ アグートに敗れたが、全米では決勝に進み(スタン・ワウリンカに敗退)、トロントで優勝した。リオ・オリンピックでは、素晴らしいテニスをしていた(フアン マルティン・)デル ポトロに敗れた。確かに、ウィンブルドンでのこと(3回戦でサム・クエリーに敗退)はちょっと驚きだったけど、予想外の敗戦が1、2回あったことを除けば、彼は素晴らしい一年を送った。彼はしっかりやっているよ」

 マレーはこれを微笑みながら言っていた。

(テニスマガジン/ライター◎木村かや子)