トップ8によるエリート大会「WTAファイナルズ」(10月23~30日/シンガポール/賞金総額700万ドル)の決勝は、第1シードのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)と第7シードのドミニカ・チブルコバ(スロバキア)の顔合わせとなった。 ケル…

 トップ8によるエリート大会「WTAファイナルズ」(10月23~30日/シンガポール/賞金総額700万ドル)の決勝は、第1シードのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)と第7シードのドミニカ・チブルコバ(スロバキア)の顔合わせとなった。

 ケルバーと第2シードのアグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)が対戦した準決勝は、6-2 6-1とケルバーの圧勝だったのに対して、もうひとつの準決勝、チブルコバと第8シードのスベトラーナ・クズネツォワ(ロシア)の対戦は、対照的にかなりの接戦となった。

 試合が終わり、チブルコバが喜びのあまりコートに倒れ込んだとき、クズネツォワは通常行う握手をするためにネットで待つことはせず、すぐにベンチに引き上げた。チブルコバはしばらくしてからクズネツォワに近づき、握手を交わしたが、そのときのクズネツォワは力なく握手し、生気もないように見えた。

 2014年の全豪オープンで決勝に進出した経験を持つチブルコバは、そのことを大げさにとりはしなかった。

 「彼女がベンチにいるのを見て、握手しにいったの」とチブルコバ。「試合のあとに落胆したり、感情を乱したりすることはあるものよ。それはごく普通のことだわ。それによって、私たちの関係に問題が起きることはないの。ツアーで最良の友というような親しい関係ではないけれど、おおむねよいものよ」。

 チブルコバはクズネツォワとの対戦戦績で今回を含め、6勝3敗とリードした。その内訳は、ここ6試合で連続勝利となる。

 ラウンドロビンを1勝2敗で勝ち抜いた選手が決勝に進出したのは、これで2年連続だ。チブルコバはレッドグループのラウンドロビンを1勝2敗で抜け出したが、昨年もラドバンスカが、やはりラウンドロビンを1勝2敗で抜け出し、タイトルを獲得した。

 チブルコバは、2016年のWTAベスト・カムバック・プレーヤーに選ばれている。彼女は2015年の38位から今週の8位へと、ランキングを大きく向上させたのだ。2015年の彼女はアキレス腱の手術を受けて4ヵ月もの間、プレーできずにいた。

 この準決勝の第1セットで、チブルコバはほとんど存在感がなく、一方のクズネツォワは一度もブレークのチャンスを相手に与えなかった。

 第2セットには両者3度ずつ、合わせて6度のサービスブレークがあり、タイブレークへ。結局、このセットを取ったのは頭脳的なプレースメントを見せたチブルコバのほうだった。

 第3セットはクズネツォワが4-2とリードし、彼女が決勝への軌道に乗ったかに見えていた。ところがチブルコバは、簡単に降伏することはしなかった。

 4-4と追いついてから、チブルコバは自分のサービスだった第9ゲームで、クズネツォワに15-40と2つのブレークポイントを与えてしまうが、これをしのぎ、次のゲームで逆に30-40と、初めてのマッチポイントを手にすると逃さずものにした。クズネツォワのフォアハンドがサイドにそれた瞬間、勝負は決まった。

 そのとき、チブルコバは喜びに任せてコートに倒れ込んだ。

 クズネツォワは「それがなんであれ、言い訳はしないわ」と言った。2009年以来のWTAファイナルズ出場を目指し、4週間戦い続けたクズネツォワは、モスクワでの優勝のあと、すぐにシンガポールに移動して今大会をプレーし始めた。その戦いもこれでやっと終わりとなる。

 「私はできるすべてをやった。その上で、最後にほんの少し力が足りなかったのよ」

【準決勝】

○アンジェリック・ケルバー(ドイツ)6-2 6-1 ●アグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)

●スベトラーナ・クズネツォワ(ロシア)6-1 6-7(2) 4-6 ○ドミニカ・チブルコバ(スロバキア)

ホワイトグループ

レッドグループ

 (C)AP(テニスマガジン)