スポルティーバ厳選! 高校野球 47都道府県の注目選手島根編 新型コロナウイルスの影響により毎年夏に甲子園で開催される「…

スポルティーバ厳選! 
高校野球 47都道府県の注目選手
島根編

 新型コロナウイルスの影響により毎年夏に甲子園で開催される「全国高等学校野球選手権大会」が中止となり、その代わりに、各都道府県は独自の代替大会を開催する。島根では、7月17日から「令和2年度島根県高等学校夏季野球大会」が開幕する。例年同様トーナメント制で県王者を決定する同大会。活躍が期待される選手たちを紹介する。

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最速147キロを誇る石見智翠館の本格派右腕・佐藤辰憲

 注目投手として真っ先に思い浮かぶのが、石見智翠館の強力投手陣だ。中心となるのは、2年生だった昨夏の甲子園でも救援登板した右の本格派・佐藤辰憲(たつのり)。ストレートの最速は県内トップの147キロ。ストレートだけでなく、鋭く変化する縦のスライダーも強力で、短いイニングなら圧倒できるポテンシャルを持つ。

 佐藤だけでなく、柔らかい腕の振りで両サイドを攻める中山広大(こうだい)、馬力を感じさせるフォームから剛球を投じる京極翔也がともに最速145キロ、次期エース候補の2年生・山崎琢磨も140キロに到達。140キロ右腕4人の分厚いブルペン陣で夏連覇を狙う。

 搭載しているエンジンの大きさでは、立正大淞南の三宅海夢(かいむ)も負けていない。昨夏時点で最速143キロだったストレートは、オフに取り組んだ筋力アップとフォーム改造で146キロまで増速。投球動作全体がスムーズになり、上・下半身の連動が決まったときの高めのストレートの迫力も数段増した。

 今年3月に「やくざ監督」の愛称で親しまれた野々村直通(なおみち)前監督が電撃復帰した開星の3投手も、それぞれ違った強みを持つ。

 昨秋に続き、今夏もエースナンバーを託された岸田将太は、絶妙なボールの出し入れで勝負するテクニックタイプの右腕。3番手で登板した昨夏の島根大会決勝では、延長13回に痛恨のサヨナラ押し出し四球を献上したが、元来は制球力に長けた投手。この夏、エースとして持ち味を存分に発揮してほしい。

 左腕の岡山倖樹は、内角を果敢に攻める度胸と、手元で微妙にスライドするクセ球が面白い。右打者の内角にカット気味に切れ込むクロスファイアーは、強打者にも通用する武器と見る。

 夏に向けてグングン台頭してきたのが、本格派右腕の田中祥太朗。球速、球威はチーム随一で、この夏を戦う上でのキーマンとなりそうだ。

 21世紀枠でセンバツの出場権を獲得していた平田の右腕2人も順調に成長中。エースの古川雅也は、オフを経て体重増に成功。球威が向上したことで、秋の段階でも際立っていた緩急のコンビネーションに磨きがかかった。三塁手兼任の高橋大樹も、アウトステップしがちだった踏み込みの位置が安定してきたことで、ストレートの勢いを保ちつつ、まとまりも身に付けた。

 そのほかの右投手では、下級生時代は野手の印象が強かったが、昨夏から秋にかけて一気に投手らしくなってきた矢上(やかみ)の上田寛人(ひろと)、低い重心の踏み込みで投じるストレートの軌道に特徴がある三刀屋(みとや)の内田智也、高回転の速球と野手顔負けのフィールディングが光る出雲農林の岡田天翔(かける)、落差のあるフォークで狙って空振りを奪える大社の落合功明(こうめい)らが面白い。

 左腕に目を移すと、切れ味鋭い高めの速球で空振りを誘う出雲西の中田敬斗、昨夏の県4強に貢献した出雲の技巧派・高木悠、県内他校の指導者も指にかかったストレートの勢いを賞賛する松江北の中尾陽斗(はると)らに存在感がある。

 野手は右打者たちが活発だ。そのなかでも目立っているのが、開星の外野手・山本大斗(だいと)。鋭いスイングで捉えた低いライナー性の打球は、瞬く間に外野フェンスに到達する。180センチ、88キロのサイズがありながらも、俊敏性とスローイングの安定感も兼ね備えている。

 下級生時代から中軸を任される立正大淞南の佐藤文彰(のりあき)と浜田の波田野大愛(たいと)も県を代表する右の長距離砲。

 佐藤は昨夏の島根大会準々決勝、準決勝で場外本塁打を連発するなど、打球の飛距離では群を抜く。県内各校の対外試合が再び解禁された6月13日の試合で、すぐさま高校通算35号をレフトスタンドに叩き込んだ。

 波田野は1年春から名門の中軸を任される。速いスイングで響かせる強烈な打球音、インパクトシーンの体勢からも、飛ばすポイントを肌で理解していることが伝わってくる。

 昨秋の新チーム始動時に、佐藤は一塁手から三塁手、波田野は三塁手から捕手にコンバート。秋と比べて、格段に成長した守備面も見逃せないポイントだ。

 攻撃型の捕手の筆頭格が波田野ならば、ディフェンス面で頭ひとつ抜けているのが、立正大淞南の谷川唯人(ゆいと)。最大の武器は、地肩頼みではなく、スムーズな足運びで投じる二塁スローイング。低い球筋で伸びていくボールの質と左右高低のブレの少なさは一級品だ。

 攻守両方の能力が揃うバランス型の捕手では、出雲西の石飛智洋と矢上の高村凌央の2人を挙げておきたい。配球面やストッピングなどに課題を残すものの、目を見張る強肩を持つ益田東の橋本爽汰と三刀屋の岡田歩大(あゆと)には、”一芸”的な魅力あり。

 その他の右打者では、高めの速球も被せて長打にできる石見智翠館の南斗真(とうま)、昨夏、松江市営野球場の右中間スタンドにライナーで本塁打を突き刺した安来の木戸駿太(はやた)、出雲の小柄な安打製造機・青木幹太、走攻守に溢れるスピード感だけでなく、試合の流れを掴む嗅覚も優れた平田の保科陽太(ひなた)、軽快な足さばきで打球に追いつく大社の好遊撃手・澤尾兆治(ちょうじ)が有力な存在だ。

 左打者では、中距離ヒッターだが、昨夏の決勝の9回にライトポール際への同点弾を放つなど、ツボに来たときのパンチ力と「ここぞ」の場面で結果を残す勝負根性に魅力が溢れる開星の内藤叶夢(かなむ)、速球にも振り負けないスラッガータイプの大社の福間卓(たく)、三拍子タイプの石見智翠館の河本響(かわもと・ひびき)、ネクストでの素振りの段階から集中力全開で相手投手と勝負していける島根中央の浅野秀平らにも期待したい。

 来年の活躍も楽しみな2年生では、立正大淞南の左の巧打者・藤田大吾、1年夏の甲子園でも際立っていた小気味のいい攻守に力強さも加わってきた石見智翠館の関山和(なごみ)、現時点でも県上位レベルの遊撃守備を見せる矢上の秋田成輝(せいき)など1年時から主軸を張る3人をチェックしておきたい。