「三菱 全日本テニス選手権91st」（本戦10月22～30日／2846万円／東京・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート／ハードコート）の本戦8日目は、女子シングルス決勝と男子シングルスおよび男女ダブルスの準決勝が行われ…

 「三菱 全日本テニス選手権91st」（本戦10月22～30日／2846万円／東京・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート／ハードコート）の本戦8日目は、女子シングルス決勝と男子シングルスおよび男女ダブルスの準決勝が行われた。

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　攻撃と守備、対照的なテニスがぶつかりあった女子シングルス決勝は、攻めを身上とする大前綾希子（島津製作所）が今西美晴（島津製作所）を6-4 6-4で破り、初優勝を果たした。

　同郷の同級生、そして現在も同じ島津製作所に所属する2人は10年以上もの間よきライバルであり、また今大会ではダブルスを組むパートナーでもある。

　手の内を知り尽くした相手との対戦だったが、大前は「決勝で今西選手と試合できるというのがワクワクした」と言い、試合前から緊張はまったくしなかったという。

　試合は第1セット4-1と今西が2ブレークでリードしてから、大前が攻撃の本領を発揮。パワフルなフォアで前へ前へと攻めると、バックハンドでもアングルに力強く決めて5ゲーム連取で一気に逆転した。

　第2セットも今西が2ブレークで4-0とリードしながら、第1セットと同様の展開となった。

「ファーストもセカンドも今西選手のプレーがよくて苦しい展開だったが、リードされてから躊躇せずに攻め切ろうとした」と大前が思い切りのよさを取り戻したのに対し、今西は「引いたという気持ちはなかったが、大前選手がコートの中に入ってプレーしてきた。相手に勢いがあって止めることができなかった」。

　第2セットも大前が0-4から6ゲームを連取し、一気に頂点へと駆け上がった。

　23歳と若い大前だが、「一昨年、昨年はランキングが落ちたり、ケガもあったりと苦しい時期を過ごした」と浮き沈みを経験したキャリアを振り返り、全日本という大舞台での優勝に「諦めす、腐らずにやった結果が今日出たことがうれしい。誇りに思うし、今後の自分のテニス人生においても喝が入るものになる」と喜びを表現した。

　一方、3年前に続き決勝で敗れた今西は、ネットで勝者と握手を交わす前にすでに悔しさで涙を浮かべたが、試合後の記者会見では「私がケガをしたときも励ましてくれて、支えてもらった。向こうのつらい時期も知っていたし、大前ちゃんが優勝できてうれしい」と気丈に笑顔を見せた。

　表彰式で大前は、「今日は私が勝ちましたが、切磋琢磨して一緒にグランドスラムに行けたら。このあとのダブルス（準決勝）も力を合わせて頑張りましょう」と永遠のライバルに語りかけた。

　ともに目指すは、さらに大きな舞台だ。世界ランキングを上げ、グランドスラム予選を突破して本戦入りへ――。その日を目指して、切磋琢磨は続く。

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　シングルスで決勝を争った大前と今西がペアを組んだダブルスは、準決勝で瀬間詠里花（橋本総業ホールディングス）／藤原里華（北日本物産）に対して4-6 6-1 6-3の逆転勝ちで決勝へ進んだ。

　また、もう一方の女子ダブルス準決勝では宮村美紀（フリー）／波形純理（伊予銀行）が井上明里（レスポートサックジャパン）／山外涼月（Club MASA）を2-6 6-3 6-4で下して決勝進出を決めている。

（テニスマガジン／ライター◎田辺由紀子）