「三菱 全日本テニス選手権91st」(本戦10月22~30日/2846万円/東京・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/ハードコート)の本戦7日目は、男子シングルス準々決勝と女子シングルス準決勝および混合ダブルス準決勝が行われた。…

 「三菱 全日本テニス選手権91st」(本戦10月22~30日/2846万円/東京・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/ハードコート)の本戦7日目は、男子シングルス準々決勝と女子シングルス準決勝および混合ダブルス準決勝が行われた。

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 女子準決勝では昨年の覇者でトップシードの桑田寛子(島津製作所)が敗れ、桑田を6-4 6-3で破った第12シードの今西美晴(島津製作所)が2013年以来3年ぶりの決勝進出を果たした。

 長いラリーが攻めたい桑田の焦りを誘い、攻め急がせたかもしれない。桑田はシャープなストロークでクロス、ダウン・ザ・ラインへと追い込んだが、より厳しいところへ決めにいこうとした最後の一手でボールひとつ分のミスを重ねた。

「負けるときはこういう展開が本当に多いという負けパターン。攻めていくというところは今の自分自身のテーマですが、攻めだけじゃダメ。今日はそれが“過ぎてしまった”内容。もっとラリーすべきところは我慢しなくてはいけなかった。本当に勝ちたいといころでは我慢も必要で、それは今日の課題ですし、これからも課題」と桑田は反省を繰り返した。

 桑田のミスを引き出したのは、「フットワークには自信がある」という今西の粘り強いテニスだが、しのぐと同時にチャンスには確率よく攻め切った。

「ボールのバウンド後に早いタイミングで打てば相手の時間を奪えるし、いい攻撃につなげられる。今日は自分のやるべきことにフォーカスして最後までやりきれた」と今西はプレーの内容に胸を張った。

 その今西は2013年以来となる3年ぶりの決勝進出。「3年前は決勝で負けてしまって悔しい思いをして、次の年は1回戦、昨年は2回戦負け。しっかり準備して、3年前に果たせなかった勝利につなげたい」と決勝に向けて意気込みを語った。

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 第2シードの加藤未唯(佐川印刷)と第3シードの大前綾希子(島津製作所)の準決勝は大前が6-3 4-6 6-1のフルセットの末に勝利し、初の決勝進出を果たした。

 大前がパワフルに攻め、加藤もその大前のエース級のショットをエースにさせないコートカバーリングにバリエーション豊富な配球を見せた。ふたりの持ち味がぶつかり合って試合はファイナルセットにもつれたが、最後は大前の攻め気あふれるプレーが上回った。

「加藤さんはミスが少なくて鉄壁の“壁”。でも、守っていては勝てない。自分のテニスを貫こうと打ち切りました」と、大前は会心の勝利を笑顔で振り返った。

 加藤が悔やんだのは、ファイナルセットの戦い方だ。

「相手の思い切りのいいプレーに押されて、受け身になってしまった。自分はそれに対して発想が出てこなかった」

 前週に中国で行われた5万ドル大会のダブルスで優勝して休みなく全日本に入った大前。3回戦、準々決勝でもフルセットをプレーしているが、またしてもフルセットにもつれた準決勝後にも「疲れはあるけれど、それよりも楽しい。いい疲れだと思う」と充実感を漂わせた。

 決勝を争うことになる大前と今西は同学年。今西は1992年生5月まれの24歳、大前は1993年1月早生れの23歳で、「7歳のときの京都市民コートで対戦したのが初対戦。先に(今西)美晴が決勝進出を決めていたので、私も勝ってこのコロシアムで試合をしたいというのがあった」と大前は勝利のモチベーションについて明かした。

「初めて美晴と試合したときには、こんなに拾ってくる人がいるんだと衝撃を受けた」と7歳当時を振り返った大前は、「もちろん勝ちたいが、楽しんでプレーしたい。自分のテニスを貫きたい」と決勝に臨む意欲を語った。

(テニスマガジン/ライター◎田辺由紀子)