写真:Mr.J(撮影場所:T.T彩たま卓球ステーション浦和美園店)/提供:おたけさん

「卓球の応援文化をT.T彩たまが率先して作り上げよう」と使命感に燃えるのは、Tリーグ男子・T.T彩たまの応援をリードするファン代表のMr.Jだ。

“するスポーツ”として発展してきた卓球を“見るスポーツ”に変えるべく、「応援を盛り上げてお客さんを楽しませる必要がある」と分析する。

10年以上の熱狂的な阪神タイガースファンでもあるMr.Jに、卓球の応援に関する考えを詳しく聞いた。

卓球の応援の面白さ 「自分の声って届いてるんだな」

――プロ野球ファン歴の長いJさんから見て、卓球の応援にはどのような魅力がありますか?
Mr.J:僕はプロ野球で10年以上球場に通って観てますけど、自分の応援が選手に届くことはまずないんですよ。数も5万人が平気で入るような試合を何試合もやっていて、プロ野球は5万人が一緒に応援する一体感は楽しいんですが、別に自分がいなくても良いわけです。自分の声が力になってるのかなと思うところはありました。

一方卓球は、一人の声が選手に届く距離感。これは他のスポーツ見てもほぼない気がしてます。今、僕も選手や監督、スタッフさんから感謝されることがあるので、自分の応援が感謝で返ってくるのはもう絶頂ですよね(笑)。そういうフィードバックがあるところが全然違いました。

自分の声が試合を変えるかもしれないと思うと、応援も気合入るし感情もこもる。そこは全然違って卓球の応援は面白いですよね。




写真:ジオニスとハイタッチを決めるMr.J/提供:Mr.J

――声が届いた実感があったときはありますか?
Mr.J:どこの試合かはちょっと覚えてないんですが、戸上くんに初めてサインを貰おうとした時に、「いつもありがとうございます。いつも力もらってます」みたいなことを言われました。

それで「やっぱり自分の声って届いてるんだな」と。僕はただ応援してただけなんですが「届いてるんだな、嬉しいな」とは思いましたね。

――Twitterでは戸上選手が水谷選手に勝利したことに関連して「お金では買えないスポーツ応援の醍醐味」についても書かれていました。
Mr.J:そもそも戸上くんを推していた理由として、T.T彩たまの1stシーズンのメンバーの中で、唯一の年下だったことがあります。弟が戦っているような親近感が湧いて注目して見ていました。

水谷隼選手に勝った試合は、ラリーズさんの記事にもあったように戸上くんにとって“卓球人生を変えた試合”。スポーツ選手の人生を変える試合に立ち会える喜びが、ファンやっててよかったなと思う瞬間ですよね。自分もその一員になったというか。




写真:T.T彩たま時代の戸上隼輔。3rdシーズンからは琉球に移籍した/撮影:伊藤圭

しかも“水谷隼”というとんでもない強敵を打ち負かすという、言い方が悪いですけど弱い者が強い者を倒すところは、常々スポーツの面白いところだと思っているので、今でも忘れられない思い出になってますね。

卓球の応援を盛り上げるには?

――もう少し応援について踏み込んで聞かせてください。逆にプロ野球を知っているからこそ思う、卓球の応援の改善点はありますか?
Mr.J:プロ野球は、試合を観るよりグルメ買ったりお酒飲んだり球場の雰囲気で楽しめるところがあるじゃないですか。大差がついた試合でもそういうところで楽しめる。そういう部分は卓球はまだまだだなと。

他にも野球は選手が打席に入る前に登場曲が流れますし、応援も鳴り物使ってやっぱり華がある。テレビで見てても楽しそうだなと伝わるくらいです。

卓球は当然プレー中は声が出せないので、プレー以外のところがもっと盛り上がっていければ違うと思います。

僕は、卓球のプレー中は静寂だけどプレー後はすごい歓声が起きる、あのメリハリは大好きなんですよね。そこは残しつつ、プレー以外のところでどう盛り上げていくかを考えて、全体で応援のコールをやり始めたというの部分もあります。

――T.T彩たま発信で日本特有の卓球応援文化もできていきそうですね。
Mr.J:ここまで来たのでやりきろうと思ってます。

T.T彩たま自体が卓球界を盛り上げようという意思を持ったチームなので、本当に色々なことができる。新しいことをやるときにファンにもチームにも否定的な意見を言われることがまずない。とりあえずやってみようよ、とみんなで作り上げていく雰囲気があるので、そこがT.T彩たまの一番の魅力だと思いますね。




写真:会場で声援を送るMr.J/提供:Mr.J

“観客人生”のゴールとは

――選手にとって強くなることが一つのゴール。では逆に少し抽象的ですが、観客としてのゴールをJさんはどう考えていますか?
Mr.J:応援をリードしている僕の一つのゴールは、卓球の応援文化を作り上げることです。

仲間を集めて応援団を作る構想を今掲げている理由には、僕がいなくてもいつでもT.T彩たまの応援が盛り上がれるようにしていくという側面が強くて。僕が仮にいなくなるようなことがあっても、T.T彩たまの応援は残さなきゃいけないんですよ。

応援を作り上げて後の代に引き継いで、T.T彩たまの、ひいては卓球の応援文化はこういうものだよねとずっと思ってもらえるようになることが一番のゴールと思ってます。

目標にしているのが、T.T彩たまの応援がきっかけでT.T彩たまのファンになってもらうこと。これができれば嬉しいですね。




写真:Mr.J(撮影場所:T.T彩たま卓球ステーション浦和美園店)/提供:おたけさん

――周りのファンのため、卓球界のためを考えているんですね。
Mr.J:でもやっぱりファンやってて一番喜び感じる瞬間は何かというと、言うまでもなく優勝してもらうことです。

優勝してもらって、嬉し涙流して、みんなで喜びを分かち合えるところが一番極みですよね。根本は優勝を見たいというそこだけですよ。

阪神も僕が応援し出してから弱いので、優勝したらどうなるか未経験なところはあるんですけど(笑)。彩たまの優勝を見逃すわけにはいかないですから、ずっと彩たまファンやっていきますよ!

取材・文:山下大志(ラリーズ編集部)