2020年女子ツアー注目プレーヤーたちの「見せ場」(後編)前編はこちら>>今季女子ツアーがついに開幕する。その初戦を飾るアース・モンダミンカップ(6月25日~28日/千葉県)開催を前にして、今季活躍が期待される注目10選手について、森口…
2020年女子ツアー
注目プレーヤーたちの「見せ場」(後編)
前編はこちら>>
今季女子ツアーがついに開幕する。その初戦を飾るアース・モンダミンカップ(6月25日~28日/千葉県)開催を前にして、今季活躍が期待される注目10選手について、森口祐子プロが解説してもらった――。
鈴木 愛(26歳)
すずき・あい/1994年5月9日生まれ。徳島県出身。
2019年シーズンの戦績:25試合出場。優勝7回。トップ10入り15回。
賞金ランキング1位(獲得賞金1億6018万9665円)
普段の練習量はツアー随一。このオフも、アスリートフードマイスターの資格取得の勉強をするなど、ゴルフに対する取り組み方がすばらしい。
注目すべきは、なんと言っても強気のパッティング。それを支えているのが”粘れる足首”です。彼女はパッティングの時、足首の柔軟性によって、地面をピタッと捕まえているので、ストロークがブレず、しっかりと芯で球を捉えることができます。そのため、球足が伸びるパットが打てる――これが、彼女の生命線であると思います。
課題があるとしたら、昨季もシーズン途中に悩まされたケガ。ストイックさから、自分を過度に追い込みがちなところが心配です。
このオフには、左右の揺さぶりを抑えたスイングへの改造に取り組み、ショットの安定化を図っていると聞いています。この改造がうまくいけば、ここ数年、ややフラット気味だった(スイングの)軌道が、気持ち上から入ることで、ラウンド中の、より多くの状況への対応が可能に。その分、プレーの安定感は一段と増すことでしょう。
今シーズンも、間違いなく賞金女王レースの一角を担う存在だと思います。
柏原明日架(24歳)
かしわばら・あすか/1996年1月30日生まれ。宮崎県出身。
2019年シーズンの戦績:37試合出場。優勝2回。トップ10入り5回。
賞金ランキング11位(獲得賞金7496万2106円)
アマチュア時代から注目され、プロ入り後は「すぐにでも優勝するだろう」と思われながら、なかなか優勝には手が届きませんでした。それが昨季、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子でツアー初優勝を飾ると、その4試合後には”難しい”とされる2勝目をすんなり成し遂げました。
スケールも、ポテンシャルも大きなプレーヤーであることを、しっかり証明してくれました。
ずっと実力を発揮し切れなかったのは、突発的な自滅が多かったから。このままいけば勝てるかな、という流れが見えると、突然「えッ!?」というようなミスが出て、そのまま後退してしまうのです。
2015年の日本女子オープンでは、最終日にトップに立ちながら、17番のパー3でティーショットを池に入れて、優勝を逃してしまいました。そうして、昨季初優勝を決めたあとには、「ずっと、あのホールのことを忘れることができなかった」とコメントしていました。
そういったトラウマを乗り越えて、2勝目のジンクスも跳ね除けた彼女ですから、今シーズンは3勝目、さらには賞金ランクでのトップ10入りが期待されます。
稲見萌寧(20歳)
いなみ・もね/1999年7月29日生まれ。東京都出身。
2019年シーズンの戦績:27試合出場。優勝1回。トップ10入り11回。
賞金ランキング13位(獲得賞金7187万3338円)
昨季の、資生堂アネッサレディスの練習日に、たまたま彼女のラウンドを見た時、アイアンショットのキレ味に驚きました。インパクトでのフェースの入り方。ピンの根本を刺していく、直線的な狙い方と弾道。そして、グリーンでのボールの止まり方。それはもう、玄人好みのアイアンショットです。
その点は数値的にも証明されていて、昨シーズンのパーオン率は、78.2079で1位。これは、驚くべき数字です。それほど、彼女のアイアンショットはすばらしかった。
実際、資生堂アネッサレディスから3試合後のセンチュリー21レディスで、彼女はツアー初優勝を飾りました。自らチャンスを作れるゴルフができていて、最後は最終ホールでバーディーを奪って、後続に1打差をつけて優勝。その勝ち方もすごかったですね。
初優勝のあとは、今ひとつ成績がよくなったので、日本女子プロ選手権の時に「どうしたの?」と聞いたら、「一年間を通して(ツアーを戦う)体力を維持するのが難しいです」と言っていました。あれほどのアイアン巧者ゆえ、メジャー大会のような厳しい設定でこそ、楽しみだったので「惜しいな」と思いました。
とはいえ、昨季はツアー本格参戦初年度。年間を通して戦える体力作りをして、コンディションをうまく整えて各試合に臨むことができれば、今シーズンはより楽しみな存在になると思います。
新垣比菜(21歳)
あらかき・ひな/1998年12月20日生まれ。沖縄県出身。
2019年シーズンの戦績:33試合出場。優勝0回。トップ10入り7回。
賞金ランキング27位(獲得賞金4389万10円)
沖縄の人特有のゆったりとした雰囲気の持ち主。ガツガツした感じはなく、人より抜きん出てやろうといった気持ちを、表に出すタイプでもありません。
「黄金世代」の中でも、早くから注目され、いち早くツアー初優勝を決めたわけですが、その後は、周りの仲間が自分に追いついてくるのを待っているかのように、足踏み状態といった感がありました。
一昨年に話をした時には、「今年は毎ラウンド、18番でバーディーを取ることを、ひとつの目標にしています」と言っていました。それは、次の日につなげるためとか、ギャラリーにいいプレーをお見せしたいという気持ちの表われであり、同時に自分への叱咤の意味もあるのかもしれません。
表向きは発火点が低いイメージがある彼女。今シーズンは、どのようなテーマを設けて、内なる闘志に火をつけるのか。そして、それによって、どう結果につなげていくのか、注目です。
小祝さくら(22歳)
こいわい・さくら/1998年4月15日生まれ。北海道出身。
2019年シーズンの戦績:39試合出場。優勝1回。トップ10入り13回。
賞金ランキング8位(獲得賞金8298万2071円)
冷静沈着なタイプで、プレー中も表情が変わらず、常に淡々と戦う選手です。これまで、あと一歩のところで優勝に恵まれずにきましたが、昨季のサマンサタバサ ガールズコレクション・レディースで、念願の初優勝を果たしました。
試合後、優勝を争った韓国のイ・ミニョン選手が、「お互いにいいゴルフができて、うれしかった」とコメント。そう言わせるあたり、相手と激しく争うというより、粛々とした勝ち方ができる選手だと思います。
今後も小祝選手らしく、マイペースを貫いていく戦い方で、2勝目、3勝目が期待されますが、昨季も、一昨季と同様、賞金ランクは8位にとどまりました。目立った欠点がない、彼女のようなオールラウンダーの場合、(賞金ランクで)トップ10入りして以降、さらにステージを上げるためには、すべてのカテゴリーにおいて底上げしないといけない、という難しさもあります。
その意味でも、今シーズンはどのようなゴルフでランキングを伸ばしていくのか、注目したいと思います。
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