2013年、17年と、ここ最近のWBC、2大会でベスト4に進出し、野球強豪国の仲間入りを果たしているオランダ。その強さの秘密はヨーロッパの本国とキュラソー島に代表されるカリブ海の海外領の絶妙なコンビネーションにある。 今大会もロッテ、ヤク…

 2013年、17年と、ここ最近のWBC、2大会でベスト4に進出し、野球強豪国の仲間入りを果たしているオランダ。その強さの秘密はヨーロッパの本国とキュラソー島に代表されるカリブ海の海外領の絶妙なコンビネーションにある。

 今大会もロッテ、ヤクルトでもプレー経験のある元メジャーリーガー、ヘンスリー・ミューレンス監督の下、前回大会のベスト8以上を狙う。

 メジャーリーガーが参加しない今大会では、その布陣はアメリカのマイナーリーグでプレーする選手と国内リーグ・フーフトクラッセ、それにキュラソーのウィンターリーグの選手が主体となる。

 マイナーリーガー中心の打撃陣は他国にひけを取ることはない。リードオフマンには、今季ブレーブスのダブルA・ミシシッピーで23盗塁を記録したカリブ領アルバ出身の若手、レイパトリック・ディッダーが務めることになるだろう。

 クリンナップの要は、メジャー7シーズンで28本塁打、昨年まで韓国リーグの2シーズンで51本塁打を記録したロジャー・ベルダニディナ(ユニオンラグナ/メキシカンリーグ)になるだろう。

 守りの方もアメリカでのマイナー経験のあるドウェイン・ケンプ(キュラソー・ネプチューンズ/フーフトクラッセ)ら代表常連のベテランがいるので問題ないだろう。

【ドウェイン・ケンプ】

 また、元パイレーツの40歳になるベテラン、ユレンデル・デキャスター(ワイルドキャッツ/キュラソーリーグ)もメンバー入りしている。2015年春の侍ジャパンの強化試合でも欧州代表の一員として来日、松葉(中日)からホームランを打っているので覚えている人もいるかもしれない。

 ここ数年は、ウィンターリーグのみのプレーだが、2004年のアテネ五輪以来、プロ参加の主要国際大会のすべてで代表入りしているその経験は他国にとって脅威になるだろう。

【ユレンデル・デキャスター】

 投手陣に目を向ければ、元ツインズで2006年の第1回WBCでは7回参考記録ながらノーヒットノーランを達成したシャイロン・マルティス(リンカーン/米独立アメリカン・アソシエーション)と2004年のアテネ五輪では日本代表の前に屈したものの、2015年の侍ジャパン強化試合で欧州代表に金星をもたらし雪辱を果たしたディエゴマー・マークウェル(キュラソー・ネプチューンズ/フーフトクラッセ)の代表常連コンビがまだまだ健在だ。

【ディエゴマー・マークウェル】

 しかし、先発の柱として期待されたソフトバンクのリック・バンデンハークを欠き、メジャーリーグ傘下のマイナーリーガーが、今季シングルAとダブルAで3勝5敗、防御率4.66のフランクリン・ファングープ(パドレス傘下)のみ。それに代表歴が1996年のアトランタ五輪までさかのぼるという44歳のロブ・コルデマンス(L&Dアムステルダム/フーフトクラッセ)まで招集せねばならなかった投手陣は、セミプロの国内リーグ・フーフトクラッセの選手主体で、オールプロで臨んでくるアメリカ、メキシコ、ドミニカの打線には苦労するだろう。

文・写真=阿佐智