今回のWBSCプレミア12に先立っては、恒例のテストマッチ、侍ジャパンシリーズが行われるが、この相手は出場国のひとつ、カナダだ。カナダは、オープニングラウンドを韓国で戦う。 その陣容だが、メジャーリーガーが出場しない現状では、マイナーでプ…

 今回のWBSCプレミア12に先立っては、恒例のテストマッチ、侍ジャパンシリーズが行われるが、この相手は出場国のひとつ、カナダだ。カナダは、オープニングラウンドを韓国で戦う。

 その陣容だが、メジャーリーガーが出場しない現状では、マイナーでプレーするベテランと若手有望株の混成チームにならざるを得ない。ロースター28人中、半数の14人がこの夏ペルーで開催されたパンアメリカン大会で銀メダルを獲得したマイナーリーガーだ。メジャーリーグ経験者は11人だが、その多くにはメジャーではこれといった実績はない。

 投手陣は13人がエントリーし、うち7人がメジャー経験をもつが、一番の実績者がオリオールズなどで通算10勝を挙げたアダム・ローウェンというから侍ジャパンにとって恐れるような相手ではないだろう。WBCにも2度出場した経験のあるこのベテランは、メジャーリーグにおいて、投手と野手でプレーしたという「二刀流」で、地元カナダのブルージェイズでは外野手としてプレーし、ホームランも1本放っている。

 カナダとしては、リリーフエースとなる巨人のスコット・マシソンにどうやってつなぐかが、スーパーラウンド進出へのカギとなるだろう。投手陣には、クリス・ラルー(元ヤクルト)、ダスティン・モルケン(元日本ハム)らの懐かしい名もあるので、是非ともオープニングラウンドを突破してほしいものだ。

 打線の方では、メジャー通算1603安打のジャスティン・モルノーが名前を連ねている。ツインズ時代の2006年にはMVP、ロッキーズ時代の2014年には首位打者を獲った大打者だが、2016年限りでメジャーでのプレーを終え、翌年のWBCで4大会連続出場を果たした後、2018年に引退を表明している。

ジャスティン・モルノー【写真提供:Getty Images】

 国際大会に一旦引退した大選手が現役復帰することは、選手層の厚くないカナダではよくあることだが、来年の五輪出場を狙うベテランが往年のバッティングを今大会で見せてくれるかどうかにも注目が集まるだろう。

 そしてもうひとりこの大会で「現役復帰」を果たすのが、マリナーズ時代にはオールスター出場を果たしたマイケル・ソーンダースだ。昨年ホワイトソックスとオリオールズの3Aで38試合出場しただけで、今シーズンはロッキーズと契約したものの、スプリングトレーニングでリリースされた「キャプテン・カナダ」が、メジャー9シーズンで81ホーマーを放った打棒をこの大会でアピールして、来年の契約を狙う。国際大会は、世界中のプロチームのスカウトへのショーケースという側面をもつが、こういう「就活中」の選手の集中力には要注意だ。

マイケル・ソーンダース【写真提供:Getty Images】

 前回第1回大会では、カナダは台湾でのオープニングラウンド・グループAを1位で突破したものの、準々決勝でメキシコに敗れている。

文=阿佐智