「アマチュアの雄」と呼ばれ、かつて国際大会がアマチュア中心であった時代、無敵を誇っていたキューバだが、近年は人材の流出が止まず苦境に立たされていると言っていいだろう。トップ中のトップがメジャーへと去ってしまった現在、国際大会に臨むのは、国…

 「アマチュアの雄」と呼ばれ、かつて国際大会がアマチュア中心であった時代、無敵を誇っていたキューバだが、近年は人材の流出が止まず苦境に立たされていると言っていいだろう。

トップ中のトップがメジャーへと去ってしまった現在、国際大会に臨むのは、国内リーグ、セリエ・ナシオナルと政府管理の下、国外のリーグに「レンタル移籍」した選手で構成された「第2代表」と言っていい。中でも、世界第2のパワーハウスである日本でプレーする選手が、今回のキューバ代表の中心となる。

 打線をけん引するのは、アルフレッド・デスパイネとジュリスベル・グラシアルのソフトバンク・コンビになることは間違いない。同じくソフトバンクのオスカー・コラスもメンバー入りしている。

【ジュリスベル・グラシアル】

 これに現在のキューバ球界の英雄と言っていい、大ベテラン、元巨人のフレデリク・セペダが加わる。今年40歳になるセペダだが、巨人退団後もセリエ・ナシオナルはもちろん、コロンビア、メキシコのプロリーグでプレー、今シーズンもチーム・キューバの一員としてアメリカ独立リーグ、カンナムリーグに参戦している。

すでに始まっているこの冬のセリエ・ナシオナルでは、キューバ史上10人目となるセリエ通算300本塁打を達成するなど、健在ぶりと精神的支柱としての役割を期待され今回も代表入りした模様だ。

 また、外野陣には2017年のWBCでその「走り打ち」が話題になり、千葉ロッテ入りしたロエル・サントスの名もある。彼は今シーズン、メキシカンリーグのタバスコで45試合の出場ながら、.378の高打率を残している。

 変わったところでは、一度亡命し2014年にドジャースでプレーしながら、現在はキューバに舞い戻っているエリスベル・アルエバルエナ(マタンサス)も内野手としてメンバー入りしている。

 投手陣でも、「日本勢」の存在が目立つ。今シーズン中日で43試合に登板し、14ホールド、8セーブを挙げたライデル・マルティネスとソフトバンクで60試合に登板し34ホールド、4セーブのリバン・モイネロがメンバー入り。彼らがブルペンの中心になるだろう。

 その他、近年の代表常連であるフレディ・アルバレス(ビジャクララ)、ユディエル・ロドリゲス(ラストゥナス)らのベテランスターター、若手のホープ、ヤリエル・ロドリゲス(カマグエイ)ら、この夏カンナムリーグにスポット参戦したナショナルチームのメンバーをそろえている。

 チームを率いるのは、セリエ・ナシオナルで4度の優勝遂げた600勝監督、ミゲル・ボロート。彼もまた、イタリアやメキシコでの指導経験をもつなど世界の野球を知り尽くしている。

文・写真=阿佐智