-野球女子の記事一覧はこちら- 

 11月9日から中国広東省中山市で開催される「第2回 BFA 女子野球アジアカップ」で、連覇を目指す侍ジャパン女子代表・U-18マドンナジャパン。9月7日、8日には西日本の選手で、また14日、15日には東日本の選手でそれぞれ強化合宿を行い、大会に向けて順調に調整を続けている。

【トスを上げる時田怜奈投手】

 その中で今回は、一際笑顔が輝くサウスポーを紹介していきたい。横浜隼人のエースとして活躍した時田怜奈投手(ときた れいな・3年)だ。

 夏の全国大会である全国高等学校女子硬式野球選手権大会は、初戦で福知山成美に3対0で敗れたが、巧みなピッチングが評価されて侍ジャパン女子代表に選出された。

 そんな時田投手のこれまでの歩みや、「第2回 BFA 女子野球アジアカップ」に向けての意気込みをうかがった。

【ストレッチをする時田怜奈投手】

■横浜隼人の野球に取り組む姿勢に惹かれる

 二日間の合宿を終え「トライアウトとは違う緊張感がありましたが、周りのチームメイトと声を掛け合いながら練習ができました」と振り返った時田投手。

 練習中だけでなく、休憩中や宿舎でもとにかく笑顔が絶えない姿が印象的だったが、意外にも自身のことを「積極的にはなれないタイプ」と表現する。

「自分はあまり積極的になれないタイプで、一歩出遅れるところがあります。なので練習を通してのコミュニケーションや、部屋も一人だったのでみんなでいる時間を大切にしたいと思っていました」

 自らのウィークポイントを笑顔で克服し、時田投手の周りには常に笑顔が溢れていた。

【ストレッチ中に笑顔を見せる時田怜奈投手】

 そんな時田投手だが、実は出身は横浜隼人のある神奈川県ではなく千葉県。高校進学の際に、横浜隼人の野球に取り組む姿勢に惹かれた時田投手は迷わず進学を決意。家族の大きなサポートもあり、神奈川へ踏み出したのだ。

「中学校では市原シニアに所属してて、合同練習をさせていただいた時にすごく惹かれるものがありました。隼人はとても元気で、何にでも真剣に取り組むところがいいなと思いました。

 父だけ仕事で千葉に残っていますが、ちょうど三つ上の兄も大学進学で神奈川に行く予定だったので、母と3人で引っ越しました。」

 こうして、憧れであった横浜隼人女子硬式野球部に入部を果たした時田投手。

 だが、いざ高校野球生活がスタートすると、そこからは苦労の連続であった。

【キャッチボール中の時田怜奈投手】

■日本代表の自覚を持って戦う

「思っていたよりも先輩後輩の関係も良くて、良いチームだなと思いました。上下関係がある中で先輩が優しく教えてくれたり、逆に自分が先輩の立場になったときには自分が教わってきたことをしっかり教えようとか、プラスの意味で上下関係が作れました」

 だが、もちろん楽しいことばかりではない。

 高い意識をもって練習に取り組む時田投手ではあったが、中には練習についていけずに周囲との温度差から退部する部員もいた。当時のことを振り返り、時田投手は後悔を口にする。

「自分だけよければオッケーではなくて、ちゃんと他の人のことも見て『一緒に頑張ろう』と声を掛けたり、相手を見ないといけないなと感じました」

 また2年の夏には上級生が引退し、最上級生としてチームを引っ張る立場になったが、投手としての力不足も痛感した。

【キャッチボール中の時田怜奈投手】

 実は一学年上の代は高い実力を持つ選手が揃っており、全国選手権大会でチーム最高成績となる準優勝を成し遂げていた。だが引退と同時にレギュラーが一気に抜け、試合ではなかなか結果の残せない時期が続いたのだ。

 時田投手は、引退した現在でもこの1年間の悔しさが残っていることを吐露した。

「自分自身、まだまだ課題がある形で終わってしまったので、やっぱり悔しい気持ちは残っています。

 ですが、新チームが始まってから引退するまでを考えたら、周りもすごく成長したと思いますし、同期でも春の大会は試合に出られなかった人が夏には出場していました。そういう意味では、本気の仲間が見れたことはよかったと思います」

【打撃練習中の時田怜奈投手】

 最後の夏は、全国高等学校女子硬式野球選手権大会の初戦で惜しくも福知山成美に敗れたが、現在はまた新たな目標に向かって突き進んでいる。それが「第2回 BFA 女子野球アジアカップ」での連覇達成だ。

 関西・関東の延べ4日間の合宿を終えた選手たちは、10月18日からはいよいよ全選手が参加する直前合宿を関西地区で開催し、11月9日からの大会に向けてチームを仕上げていくことになる。

 時田投手は代表に選ばれたときは「とにかく嬉しかった」と回想するが、それでも現在は日本代表としての責任の重さを感じていると明かす。

「大事な場面やピンチの場面を任せてもらえるピッチャーになりたいですし、プレーだけじゃなくて行動面でもできることがあると思うので、もっと強く自覚を持ちたいと思います。

 ここが課題だなという部分をしっかり自分のものにして、プラスにして大会に入れたらいいなと思います」

 マドンナジャパンきっての笑顔と、日本代表の自覚を持った時田投手が、海外の選手を相手にどんなピッチングを見せるのか注目だ。

【制服姿で笑顔の時田怜奈投手】

取材:WoodStock 栗崎祐太朗