-野球女子の記事一覧はこちら- 2019年は春、夏とも全国ベスト8に進出した神村学園女子硬式野球部。1997年の創部以来、春3度、夏6度の全国制覇という確かな実績を持つ伝統校だ。 そんな伝統校の主将として、チームをまとめる大役を務めるのが…
2019年は春、夏とも全国ベスト8に進出した神村学園女子硬式野球部。1997年の創部以来、春3度、夏6度の全国制覇という確かな実績を持つ伝統校だ。
そんな伝統校の主将として、チームをまとめる大役を務めるのが藤田優美さんだ。佐賀県出身の藤田主将が鹿児島県の神村学園に進学した理由や、10年以上遠ざかっている日本一の栄冠を再び掴むために必要なことを語っていただいた。
【藤田優美主将】
――野球を始めたきっかけは?
私は佐賀市内の出身で、小3の頃、兄が野球をやっていた影響で学校の少年団の軟式野球チームに入りました。昭栄中時代は学校の軟式野球部でした。
――佐賀からはるばる鹿児島の神村学園にやってきたのはどうしてですか?
小中学校と野球をやっていて、優勝には縁のないチームだったので、全国優勝を目指している強いチームに行きたいと思いました。
たまたま昭栄中の先輩が神村学園の女子野球部にいたので、体験入学に参加した時、めっちゃ楽しかったんです! 強豪校なので確かに先輩、後輩の厳しい上下関係がある。「これが強豪校の雰囲気なんだ」と思いました。厳しい雰囲気もあると同時に、良いプレーをしたらめっちゃ褒めてくれる。
グラウンドは狭くて、環境的には恵まれているわけではありません。他にも専用グラウンドのあるチームの体験入部もしましたが、この雰囲気に楽しさを感じて神村学園を選びました。
――実際に鹿児島までやってきてどうですか?
野球の技術面で成長できた部分もいろいろあります。ただそれ以上に人間的な部分で成長できたと感じられることが多いです。それは卒業して社会に出てから本当に必要になってくることだと思います。
――例えばどんな部分が、ここに来てなかったら学べなかったと思うことでしょうか?
神村学園で学ぶのは上下関係もそうですが、横のつながりも大事だと教わります。プレーに対しても、お互いが何をするかちゃんと理解して、意思疎通をすることをいつも意識するようにしています。
【神村学園女子硬式野球部の集合写真】
――今年のチームの特徴を教えてください。
今、部員は1、2年生で12人です。「めっちゃ打つ」とか「めっちゃ守備がうまい」選手がいるわけではないのですが、1つ1つのプレーをコツコツとやることができ、抑えるポイントをしっかり抑えることができる。派手ではないけれども要所、要所をしっかりと締めて粘り強い野球ができるチームだと思います。
――チームは10年以上、全国優勝から遠ざかっています。全国の強豪校の試合を見て感じたことはありますか?
人数がとても多いので、チャンスがやってくると全員で盛り上がり、人数が少ないチームよりも勢いがあるのを感じました。
――そういうチームに神村学園が勝っていくためにはどんなことが必要でしょうか?
もっと言い合える関係になれることだと思います。上下関係があるのは大切ですが、お互い遠慮している部分がある。横の関係でも同じで、まだ思っていることをちゃんと伝えきれていない。思っていることをきちんと相手に伝えて、お互いの理解が深まることでチームのまとまりを強くしていくことが大人数の強豪チームと対戦するのに必要だと思っています。
【練習中にミーティングを開く神村学園の選手たち】
グラウンドは内野を全面とることができないいびつな形状をしている。部員は1、2年生で12人。秀でたスター選手はいないが「1つ1つのプレーをコツコツやることができる」と藤田主将は語る。力はないが、お互いの意思疎通を密にして理解を深めることで、1+1が3、4、5と増えていくチーム力で再び全国の頂点に返り咲くことを夢見ている。
記事=政 純一郎