【写真:Lamigo Monkeys】

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 前回に引き続き、Lamigoモンキーズの社長兼GMの劉玠廷(リュウ・ジエティン)氏インタビューを紹介したい。Lamigoは中華職業棒球聯盟(CPBL)で無敵の台湾三連覇を果たし、観客動員数も一位を継続している。しかしチームは2019年シーズン中に買収が決定し、来年から楽天株式会社が球団運営をすることとなった。

【写真:戸嶋ルミ】

前編では、日本では聞くことがない「社長兼GM」という役職についてや、応援スタイルの変更など新しいチャレンジがもたらした経営改革、そして売却に至った理由などを語っていただいた。後編では、Lamigoとして最後の一年について、そして劉氏からのメッセージを紹介する。

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実力人気ともに台湾一の球団が何故身売り? Lamigoモンキーズのこれまでとこれから<前編>【Global Baseball Biz vol.33】

■Lamigo最後の一年 譲渡を決意した理由

【写真:Lamigo Monkeys】

 2019年7月、チームの売却が発表された。Lamigoとしての最後の一年となった2019年シーズンは、劉氏にとってどのようなものだったのだろうか。

「今シーズン一番印象的だったこととすれば、Lamigoモンキーズとして最後の年を台湾三連覇で飾ることができたことでしょうか。ファンの方からの言葉が次第に『応援』から『感謝』に変わっていくのを感じ、みなさんに認めてもらえたこと、みなさんのためにいろんなことを出来たと感じられました」

【写真:Lamigo Monkeys】

「先日行われたお別れ試合にもたくさんのファンの方が球場に来てくださり、超満員のスタンドと共に最後のひとときを過ごすことができたことは大切な思い出です」

Lamigoがここまで愛される球団になったのは、今までいた選手・スタッフ・球団職員すべての人達がみんな頑張ってきてくれたからと劉氏は振り返った。

中でも特に印象に残っている仕事仲間や選手はいるかと聞いてみたが、「どの選手もみんな思い出深く、人情味があった。選手だけじゃなく、スタッフも球団職員もそう。誰か一人だけを挙げるなんて出来ない」と困った顔をした。誰か一人が欠けてもたどり着けない現在であることが伺えた。

■日本のLamigoファンのみなさんへ

 Lamigoが台湾の他球団と一線を画した取り組みとして『球界の日台友好』がある。

「千葉ロッテマリーンズとの交流から始まり、石垣島からZOZOマリンスタジアム、甲子園球場に楽天生命パークや札幌ドームまで、さまざまな日本の球場に行くことができました。これもまた、他球団にはできないことをLamigoはやってこれたと自負しています」

【写真:Lamigo Monkeys】

日台友好といっても単に選手同士が試合をするだけではなく、野球文化の交流にも一役買っていた。2019年3月にZOZOマリンスタジアムで行われたロッテとの交流試合では、Lamigo側は敢えて台湾現地の応援スタイルをそのまま日本に持ち込み、日本の野球ファンに”お披露目”する場面も。

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こうして日本にもLamigoの名が浸透してきた中で、突然飛び込んできた球団売却の報。日本の野球ファンの間にも激震が走ったことは記憶に新しい。日本にいるLamigoファンの方へ、劉氏は感謝の想いを語った。

「日本のファンの皆さんには、台湾野球について、そしてLamigoモンキーズに興味を持って応援してくれたことに感謝しております。個人的には、日本やアメリカの球界の市場規模の大きさを羨ましく思うこともありました。しかし私たちは台湾にしかできないこと、弊社にしかできないことをたくさん取り組んできたと思っています。日本のファンの方にも、球団同士の交流を通じて我々の取り組みを知ってもらえたのではないでしょうか」

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「これまでに一度でも、『桃園球場でLamigoの試合を観戦したことがある』という方は、きっと楽しんでもらえたのではないかと思います。電子音楽を流して、それに合わせて歌ったり踊ったりすることで、今までにない応援体験が出来たのではないでしょうか? 来年からは親企業が楽天になりますが、これまでに私たちが培った文化をぜひ継承していただきたいと思います。マスコットやチアについても同じです。何も変わらないというのは難しいでしょうが、伝統や気概は遺していきたいと思います」

 劉氏は「親会社が変わっても、これからもファンの皆さんには”このチームのいいところ”を引き続き楽しんでもらいたい」と言う。確かに何も変わらない・変えないというのは難しいが、これまで紡いできた歴史も継承しつつ、台湾球界の未来にバトンをつないでくれたらと願うばかりだ。

文:戸嶋ルミ