公益社団法人 日本山岳・スポーツクライミング協会(以下、JMSCA)強化委員会は6月14日、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策 スポーツクライミング選手のための活動再開ガイドライン」を発表した。JMSCA強化委員会によればこ…
公益社団法人 日本山岳・スポーツクライミング協会(以下、JMSCA)強化委員会は6月14日、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策 スポーツクライミング選手のための活動再開ガイドライン」を発表した。
JMSCA強化委員会によればこのガイドラインは「選手によってトレーニング環境などが異なるために個別のトレーニングについて規制や強制をする趣旨のもの」ではないとし、「一般的なトレーニング再開のために注意していただきたいことを示したもの」であるという。
また、このガイドラインは新型コロナウィルス感染症の感染拡大状況によって随時見直される可能性があるとしている。
JMSCAが発表した新型コロナウィルス感染症対策に関連するガイドラインは、5月27日に発表された「クライミングジムの営業再開に向けた感染予防指針」(スポーツクライミング医科学委員会からの提言)、6月1日発表の「岩場でのクライミング再開に関するガイドライン」に続き今回で3つ目となる。
詳細は以下の通り。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策 スポーツクライミング選手のための活動再開ガイドライン
1. 行動のための指針
・国、自治体、スポーツ庁、日本スポーツ協会等のガイドラインやルール、各施設(クライミングジム等)関係機関のガイドラインに従って行動しましょう。
・3密を避け、自分自身や周りの大切な人を守るために安全や健康を最優先に考えた行動を取り、感染防止が完全にできない現状の中で自身から感染を拡散することのないように行動しましょう。
2. 日常の生活における注意
・COVID-19 の潜伏期間は 2 週間ともいわれており、感染経路の特定のためにも、ⅰ)体温計測 ⅱ)体調変化の有無 ⅲ)簡単な行動の記録(出かけた場所や会った人の氏名)を記録しましょう。
・日常生活でも、中性洗剤等による手指の洗浄、もしくはアルコール消毒をこまめに行い、外出時はマスクを着用し、前後、左右で身体的距離(2m)を保ち、公共の交通機関の利用は出来る限り避けましょう。
・発熱、咳、のどの痛み、鼻水、鼻づまり、倦怠感、下痢の症状、味覚・臭覚の変化がある場合には各自治体の衛生部局(保健所など)などに相談し、指示に従いましょう。
・トレーニング中、日常生活にかかわらず、常に体調を把握し、体調の管理につとめ、体調が良くないときには直ちに自宅で静養すると共に、感染が疑われる場合には医療機関に相談しましょう。
・SNSなどでの発信は、国内外の社会情勢やスポーツ界及びクライミング界の状況を留意し、他人を誹謗中傷したり社会を混乱させたりすることの無いようにしましょう。
3. 施設の利用に関して
・屋内でトレーニングを行う場合には徹底して換気を行いましょう。
・トレーニング機器は使用後に、消毒剤(0.05%次亜塩素酸ナトリウム、70%以上のアルコール)を用いて消毒しましょう。クライミングではホールドに触れる行為は避けられませんので、手指消毒は特に意識して度々おこないましょう。
・それぞれの施設の空間サイズによって施設利用者の数は大きく異なるため各施設で推奨されている利用者数や各施設の指示を遵守した上で使用をしましょう。
4. クライミング活動再開における注意
・日頃から体調管理を行い(2.を参考)、熱や咳などの症状がある場合は活動再開を見合わせましょう。
・自粛期間等で本来のスポーツ活動が制限されていた環境は、ケガなどでトレーニングが 出来なかった環境に置き換えると想像がしやすいと思います。活動再開前には身体の状況をセルフチェックし、トレーニング強度を段階的に上げていき、ケガなどを防止しましょう。
・活動自粛期間中は活動量の低下に伴う脂肪量の増大、筋量の減少、心肺機能の低下や筋力の低下などが生じるためケガの予防のためトレーニング負荷をきちんと調整しましょう。また5月から7月にかけては気温が上昇してくる時期ですので熱中症などの重篤なリスクが増大するため暑熱順化等の環境変化への対策にも注意しましょう。
・本格的な練習やトレーニングを再びスタートできることで、高いモチベーションや意気込みをもっている選手が多いと思います。そのような時は、気持ちだけが先走り、身体が思うようについていかないということが考えられ、ケガにつながる可能性があります。最初は、焦らず、無理をせず、少しずつ行いましょう。また活動自粛期間中は、それぞれの活動量や質が違います。自粛中にできたこと/できなかったことには個人差がありますので、周りを見て焦ることは禁物です。他の人と比較するのは止め、自分のペースで行いましょう。
5. クライミング活動中の対策について
・マスクは感染予防のため各施設のガイドラインに沿って着用しましょう。また運動中については熱中症や心肺に対する負担などのリスクを踏まえて状況に応じて着用しましょう。
・登っているとき、マット前で待機している、休憩している、いずれの状況においても周囲の人となるべく距離(可能であれば2 m以上)を取りましょう。
・登る前後に、こまめに手洗い、手指消毒を行いましょう。
・ロープなどのクライミングギア、チョーク、タオル、飲料物等の共有はやめましょう。
・飲料物は蓋付きのものを準備し、飲み口を直接手で触れないよう注意しましょう。あわせて、熱中症および脱水には十分留意しましょう。
・施設内での食事を控えましょう。
・トレーニングで利用した施設利用者あるいはスタッフに感染が発生した際は、地域の生活圏における自治体の衛生部局(保健所など)に報告するなどして対応を仰ぎましょう。
文・金子修平