6月半ばのリーガ再開が決定したスペインでは、3月半ばに非常事態宣言が発令されてから現在に至るまで、サッカー報道は移籍情報が中心となっている。なかでもバルセロナ関連のものが群を抜いて多い。



バルセロナは、大規模な人員整理のなかで来季の補強を図る

 バルサは今季、財政面で新型コロナウイルスの影響を大きく受け、2億ユーロ(約240億円)の収入減を想定し、クラブが見積もった年間予算の10億4700万ユーロ(約1256億4000万円)を達成できなくなったとのこと。

 そのなかでトップチームの給与総額が4億2700万ユーロ(約512億4000万円)と高額なため、非常事態宣言がつづく間、選手と給与の70%カットで合意に達した。さらにクラブ職員に対しては、国の補償制度を申請して失業手当を受け取り、選手の給与カット分と合わせることで給与の全額支払いを保証している。

 バルサはこのように今夏直面している財政難を、来季トップチームに抱える可能性がある35選手(Bチーム、レンタル中、来季に向けて契約済みの選手含む)を整理してカバーしなければならない。

 リオネル・メッシ、マルク=アンドレ・テア・シュテーゲン、ジェラール・ピケ、クレマン・ラングレ、フレンキー・デ・ヨング、アントワーヌ・グリーズマン、アンス・ファティ以外の選手 たちはすべて、放出可能と考えていると伝えられている。

 なかでもフィリペ・コウチーニョは莫大な資金を生み出す可能性があり、放出の最有力候補だ。レンタル先のバイエルンが今夏、1億2000万ユーロ(約144億円)の買い取りオプションを行使しないため、バルサは新たな移籍先を探している。

 その候補には、本人が復帰を望むプレミアリーグのトッテナム、アーセナル、ニューカッスル・ユナイテッド、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッドの名が出ている。しかし今夏の移籍市場が新型コロナウイルスの影響を受け不況になると予想されるなか、バルサが移籍金に8000万ユーロ(約96億円)もの大金を求めているため、交渉は難航すると見られている。

 また、トッテナムがレンタルを希望し、手取り1200万ユーロ(約14億4000万円)の高額年俸、レンタル料として1000万ユーロ(約12億円)を支払う準備ができているという報道がある。

 一方、今夏の補強状況を見てみると、バルサの夢は当初、パリ・サンジェルマンのネイマールの3年ぶりの復帰だった。しかし1億5000万ユーロ(約180億円)を超える移籍金、5000万ユーロ(約60億円)の年俸を支払うことは、今のバルサには不可能なため、最終的に獲得を断念したと伝えられている。

 現在、獲得の最有力候補に挙がっているのは、インテルのアルゼンチン代表、22歳のラウタロ・マルティネスだ。クラブは33歳のルイス・スアレスの代わりとなる、得点力あるFWを求めており、チャンピオンズリーグで対戦した際にそのパフォーマンスを高く評価し、白羽の矢を立てた。

 2023年6月末までインテルとの契約が残る、ラウタロの今季の公式戦成績は31試合16得点。身長174cmと小柄だが、ヘディングでのゴールや、守備でのハードワークに定評があり、インテルのアントニオ・コンテ監督の信頼が厚い。

 バルサは、昨夏グリーズマンを獲得した時と同じように、ラウタロ本人にはすでに好条件(5年契約、年俸1200万ユーロ/約14億4400万円)を提示し、説得済みであるとのこと。また、少年時代アイドルと崇めていたメッシと電話で話したのも、バルサ移籍を決断する決め手のひとつになったようだ。

 そのため、バルサに残された仕事はクラブ間合意のみ。1億1100万ユーロ(約133億2000万円)という高額な契約解除金の値を下げるため、現在、6000万ユーロ(約72億円)+2選手の譲渡という条件を出しているとのこと。しかしインテルは最低8000万ユーロ(約96億円)を求めているため、今後さらなる話し合いが必要になっている。

 バルサはさらに中盤の補強を目指しており、クラブのコーチ陣が好むユベントスのMFミラレム・ピャニッチ本人と4年契約で合意済みと報じられている。ユベントスで今季、公式戦32試合に出場し3得点2アシスト を記録しているピャニッチについて、クラブは「すでにベテランの域に入っているものの、ゲームを動かす能力、絶妙なタッチ、高性能のFKを備え、メッシの要望に応えられる選手」と見ている。

 クラブ間合意が必要なバルサとユベントスは、市場価値が6000万ユーロ(約72億円)と同額ながらも、年齢が大きく異なるアルトゥールとのトレードを試みたが、アルトゥール本人が残留を希望したため実現しなかった。

 その次の交渉でユベントスはアンス・ファティを要求したが、バルサがこれを拒否。そして今現在、ユベントスのピャニッチとマッティア・デ・シリオ、バルサのアルトゥーロ・ビダルとウスマン・デンベレの2選手間トレードだったり、ユベントスがピャニッチのトレードとして、カルレス・アレニャ やBチーム選手、来季に向けて契約済みの選手も含めた、バルサの若手5選手に興味を示しているというニュースが出ているため、動向を追わなければならないだろう。

 現時点では今夏の移籍市場の期間がいつになるかは分からない状況だが、公式戦を戦いながら来季のメンバー編成を行なう必要がある。新型コロナウイルスの影響による財政難のなか、ラウタロとピャニッチ獲得に向け、どのような交渉を見せるのかに注目が集まる。

 バルサはこのあと、6月13日に久保建英が所属するマジョルカ相手に、今シーズンを再開する。