「明日へのエールプロジェクト」の一環で、学生とアスリートが授業を行う「オンラインエール授業」。第2回目の講師は、サッカー元日本代表でゴールキーパーを務めた川口能活さんと、同じく元Jリーガーでディフェンダー、現在はYouTuberとして自身のチャンネルから発信している那須大亮さん。全国高校サッカー部のキャプテン(部の代表)やマネージャーなど約50名が集まり、今のリアルな悩みや質問に二人が答えた。

どんな道でも、無駄なことはない 手を抜かないで楽しんでほしい

元日本代表で守護神とも言われたゴールキーパー・川口能活さん。現在は指導者としても活躍している。冒頭の挨拶では「まずはこの場に感謝しています。練習してる?サッカーができない(今の)時間どう?」と高校生を気遣う場面からスタート。「自主練はできるけど、試合ができずに寂しい」という高校生の心情を聞き、「みんなでサッカーやるのが一番楽しい。でも今できることを精一杯やるのが大事だと思う」と理解を示した。

インターハイ中止の今の状況については、高校生の声を聞き「自分がもし高校生だったら何をしていいのかわからない。彼らの気持ちが痛いほど伝わってきた」と強く共感。「ただどんな道に進むとしても、無駄なことはない。目標を立てることも大事だけど、達成できないこともある。新しい目標も必要だし、切り替える強さも重要」と前向きなマインドセットを促した。

ゴールキーパーの高校生からも質問が多く寄せられた。「ゴールキーパーとして一番大事なことは?」という質問には「メンタル、冷静さ、時には熱さなどいろいろある。でも相手が上手いと必ずシュートは飛んでくる。その攻撃に対して『来ないでくれ』ではなく『来い』という強い気持ち。それが大事だと思う」とコメント。これからのエールとして「必ず明るい未来がやってくる。今できることを全力で。笑顔も大事。手を抜かないで、楽しんでほしい」と高校生に等身大のメッセージを送った。

「学び」は「歩み」 今だからできることがある

那須大亮さんは、元Jリーガーとしてディフェンダーで活躍。2020年の現役引退後は、自身のYouTubeチャンネルを開設。サッカー本来の魅力を伝えるために日々発信し続けている。「貴重な意見交換の場なので、みなさんと積極的にお話ししていきたい」と挨拶。「(今、集団練習ができないので)試合感覚がなくて心配です」と心境を語る高校生の声を受け、「制限されているのはみんな一緒なので、その中でも今、努力で差がつけられることがあると思う」とメッセージを送った。

今のやるせない空気も含めて「練習で苦しい時や、チームが苦しい時はどうしたらいいですか?」という質問には、「苦しい、辛い気持ちを忘れないでほしい。サッカー選手だけでなく人はみんなそうだけど、やはりメンタルが大事。その素直な気持ちを学びに変えて、行動する努力が大切」とコメント。高校生もうなずきながら「これからプラスに変えていければと思う」と答えた。

「部活もできない、インターハイもなく目標をどうすればいいのか」という質問が出ると、「何を目標にすればいいのかわからない気持ちはよくわかる。その中でも、目標がなくても、ちょっとでももがくことから逃げないこと。そうすると必ず次の目標が生まれる」と今の状況を前向きにとらえる考え方をアドバイス。「失敗や挫折は『学び』に変えると『歩み』に変わる。それが次の苦しいことに向き合う大きな支えになる。僕も一緒なので、みんなで一緒に頑張りましょう」と前向きなエールを送り締めくくった。

最後は、川口さん、那須さんを中心として約50人の高校生が全員で肩を組んでいる様子をイメージし、記念撮影。約1時間があっという間に感じるテンポと熱量で、オンラインエール授業は終了。最後は高校生のにこやかな表情も見られた。

授業後の「アフターセッション」で高校生の本音を語り合う

川口さん、那須さんとのオンラインエール授業後に、高校生たちだけの「アフターセッション」を開催。授業でのエールを受けて、今のリアルな想いを語り合った。第1回のボクシングとは対照的に、まずは団体競技・サッカーとしての「現在のチームビルディング」についての話題に。

「オンラインで顧問の先生とトレーニングをしている(沖縄県)」「チームでトレーニングできないのが一番の課題(山口県)」「部活もないうえにオンライン授業で顔をあわせる程度なので、早く再開したい(神奈川県)」「分散登校している分、少人数で練習している(新潟県)」など、地域によって活動できる内容に変化がある様子が見られた。

また、「授業ではどんなことが響いたか」という話題については、川口さんの「ピッチ上では負けたくない気持ち、ピッチ外では謙虚であることや聞く耳を持つことが大切」とのメッセージに心を動かされた高校生の声も。インターハイが中止になったことについて「秋・冬以降の大会を目指すと考えている人は?」という質問には、約半数の高校生が挙手。新たな目標に切り替えている意識も垣間みられた。

今後もさまざまな競技によって配信される「オンラインエール授業」。

全国の同世代の仲間と想いを共有しながら、今のやるせなさ、不安感を少しでも前向きにしていける高校生が増えることを切に願ってやまない。