30日に行われた紅白戦で周東がショート、西田がライトで出場 30日に本拠地PayPayドームで行われたソフトバンクの紅白戦。実戦に復帰したばかりの柳田悠岐外野手、売り出し中の栗原陵矢捕手に一発が飛び出し、泉圭輔投手や津森宥紀投手、尾形崇斗投…

30日に行われた紅白戦で周東がショート、西田がライトで出場

 30日に本拠地PayPayドームで行われたソフトバンクの紅白戦。実戦に復帰したばかりの柳田悠岐外野手、売り出し中の栗原陵矢捕手に一発が飛び出し、泉圭輔投手や津森宥紀投手、尾形崇斗投手といった若手投手陣も好投した。6月2日の練習試合スタートに向けて、調整のペースも上がってきているようだ。

 そんなこの日の紅白戦。スタメンを見て、驚きを感じた点がいくつかあった。それが白組で2番に入った周東佑京内野手の遊撃手起用、そして紅組の9番に入った西田哲朗内野手の右翼手での起用だった。

 ソフトバンクの遊撃手と言えば、今宮健太内野手がおり、その控えとして高田知季内野手(手術で離脱中)や牧原大成内野手、前述の西田らが控えている。走のスペシャリストの周東は今季、二塁の定位置争いに挑んでいる。外野や三塁も守るが、学生時代に経験していた遊撃手はプロに入ってほとんど経験がないはずだ。

 それは西田も同じ。プロ入りした2010年から1軍で352試合に出場しているものの、全て内野のいずれかのポジションでの出場で外野での出場は1度もない。ちなみにファームでも昨季、一昨季と外野での出場はない。本来であれば、遊撃手に西田、右翼手に周東が入るはず。工藤公康監督ら首脳陣は、なぜあえてこの2人を入れ替えて起用したのか。

 工藤監督は試合後、この日の起用の意図について語っている。「チームの方針としてユーティリティーをたくさん作るという意図があります。周東のショート、西田のライト、栗原のライト、複数のポジションを守れることをずっとやってきている」。多くの選手たちに、複数のポジションを守れるユーティリティ性を持たせ、起用の幅を広げるためだという。

 こうした起用の幅は、特に今シーズン、重要になる可能性がある。新型コロナウイルスの感染拡大で開幕は延期に。6月19日に開幕が決まったが、6連戦を軸にし、約120試合を戦うことになりそうで過密日程になることが懸念される。

選手起用の幅とともに、選手の可能性も広げる狙いが

 主力選手でも常時試合に出続けることは負担が大きくなり、故障を避けるためにも休養を挟んでの起用が必要になるかもしれない。「時折休ましたりを考えると、1人が複数ポジションを守れることが大事になる」と工藤監督。そうした状況で、限られた野手の枠の中で選手が複数ポジションを守れば、柔軟な起用が可能になるというわけだ。

 もちろん選手にとってもポジティブな面があるからこそ、という監督の思いもある。「選手の可能性広げるという意味でも、紅白戦で守らせようかなと思った」と工藤監督は言う。

 栗原で言えば、本職の捕手には甲斐拓也がおり、高谷裕亮がいる。周東で言えば、二塁には牧原大成がいて、明石健志や川島慶三というベテランが控える。西田で言えば、遊撃には今宮健太と言う球界屈指の名手がいる。主力の故障離脱などがなければ、本職のポジションでは出場機会が限られるのは明らかだ。

 だからこそ、周東には外野や二塁だけじゃなく、今宮に何かがあった時のために遊撃を、西田には外野を、そして栗原には左翼や右翼、そして一塁と様々なポジションを経験させる機会を与えている。

 実際に栗原は紅白戦で2試合連続本塁打を放つなど、アピールを続けており、捕手ではないポジションで開幕スタメンの座を掴む可能性が出てきている。そのチャンスを掴み、結果を残せば、一気にレギュラーの座を掴んだっておかしくはない。チームの可能性、そして選手の可能性も広げる複数ポジション起用。ソフトバンクは開幕に向けて、様々なチャレンジを行っている。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)