ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、怪我のせいもあり苦しんでいた頃テニスをやめることも考えていたと、妻のエレナさんが明かした。英Express紙が報じている。2018年のある日、ジョコビッチは…

ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、怪我のせいもあり苦しんでいた頃テニスをやめることも考えていたと、妻のエレナさんが明かした。英Express紙が報じている。2018年のある日、ジョコビッチはエレナさんにテニスをやめるという決意を告げたそうだ。2020年には世界ランキング1位で、グランドスラム17回優勝を果たしたジョコビッチ。世界ランキング1位在位週数も着々と史上1位に近づいているが、2018年頃は、そんな状況ではなかった。

2018年の初め、ジョコビッチは前年に続き肘の不調に悩まされていた。そして1月の「全豪オープン」4回戦で、新星チョン・ヒョン(韓国)に思わぬ敗北を喫したのだ。

その数週間後、ジョコビッチは問題を解決するため、肘の軽い手術を受けた。しかし、その復帰戦となったインディアンウェルズで、予選を勝ち上がって出場したダニエル太郎(日本/エイブル)に敗れた。

さらに2週間後のマイアミでは、ジョコビッチはブノワ・ペール(フランス)と対戦し、わずか1時間ほどで6-3、6-4のストレートで敗退。ジョコビッチの落胆は誰の目にも明らかだった。「必死でやっているけど、だめなんだ」と彼は語ったという。

「もちろんこんな戦いぶりで気分が良いはずもない。望み通りの良いプレーをしたいよ。でも今はそれができない。それだけのことだ」

クレーコートシーズンの間中、ジョコビッチの苦闘は続き、「全仏オープン」では当時世界ランキング72位のマルコ・チェッキナート(イタリア)に敗れた。

だが、それ以後は出場8大会のうち7大会で決勝進出、「ウィンブルドン」「ATP1000 シンシナティ」「全米オープン」「ATP1000 上海」で優勝と、素晴らしい成績を残すこととなる。

マイアミでのペール戦の敗北は、ジョコビッチに将来を考えさせた。ジョコビッチの妻であるエレナさんが、当時のジョコビッチ陣営の様子を語った。

「マイアミでの敗戦の後、彼はもうやめると言ったの。本当のことよ。無残な負けだった。彼は試合の後で陣営の皆を集めて、もう終わりだと言った。“どういうこと?”“やめだよ”」

「“スポンサーにも話してくれ。はっきりしておきたいんだ。6ヶ月戻らないか、1年か、永遠にかはわからないけど。待ってくれるならそれでもいいし、去るなら去るで構わない。みんなに了承して欲しい”」

「私は“やめるなんてダメ”と言って皆が泣いた。“今やめるなんて”」

「そして私たちは休暇を取った。彼はテニスをやりたくないし、見たくもない、テニスに関することは何も見たくないって決めていたの」

「でも私はテニスが大好きだから、子供たちを連れて行ってテニスをしていた。そしたら3日目か4日目に彼が現れて、私と小さな息子が古いテニスマシンを使ってテニスをしているのを見ていたの。私たちがコートにいることをどれほど楽しんでいるかを」

「結局、彼がもうテニスはしないと決めていたのは10日間ぐらいだった。手術の後で、復帰を急ぎ過ぎたのがいけなかったのね」

(テニスデイリー編集部)

※写真は2019年「全米オープン」でのジョコビッチ

(Photo by Matthew Stockman/Getty Images)