「コロナ疲れ」に大怪我から復帰を目指す堀口恭司が金言「鈍感であれ」

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために続く外出自粛生活。先行きが見えない状況で、不安やストレスとどう向き合うべきか。大怪我により2つのベルトを自ら返納し、リベンジに燃える元世界王者に、苦しい中でのメンタルの持ち方について話を聞いた。

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堀口恭司、リングに戻れる日は「きっと特別な日に」、「コロナ後にこの思いを・・・」 https://cocokara-next.com/athlete_celeb/kyojihoriguchi-serialization-54/

「『我慢』って思うと、我慢ってできない」


 2018年の大晦日に行われた「RIZIN.14」で初代RIZINバンタム級王者の座を手に入れた総合格闘家の堀口恭司選手。2019年の6月にはアメリカ・ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで「Bellator」世界バンタム級タイトルマッチを制し、日本人初のBellator王者、そして2冠王者となった。

 破竹の勢いで迎えた2019年8月の朝倉海戦。堀口優位と見られていたが、まさかの68秒KO負け。ノンタイトルマッチではあったが、格闘技界の寵児の座を朝倉に明け渡した。さらに追い討ちをかけるように、10月には右膝前十字靭帯の断裂、半月板損傷の大怪我を負った。苦境に立たされながらも、堀口選手はポジティブだった。

「怪我をした時は『うわぁ、やっちゃった』とか、『応援してくれる人に申し訳ない』って思いましたけど、まぁそれまでは休みもなく試合とか練習とかをやってきたので、いい休みかなと捉えています。自分は何事もプラスに、ポジティブに受け止めるので、早く動きたいなとは思っていましたけど、何かマイナスに思ったり考えたりはしなかったですね」

 現在は拠点とするアメリカ・フロリダで、復帰に向けてリハビリ生活を送っている。普段であればゆったりとした空気が流れるフロリダにおいても、コロナの猛威が迫ってきている。

「普段の生活はだいぶ変わりましたね。医療現場に関しては、自分が行くのは病院じゃなくて怪我とかのリハビリの施設なので詳しくはわからないですが、ニュースを見たり聞いた話では、医療崩壊とまではいっていないと思います。ただ、普段マスクをしないアメリカ人がみんなマスクしていますし、マスクをしないとスーパーに入れないです。自分はマスク1枚だけもらってそれをずっと使い続けていたんですけど、ついにヒモが切れてしまいました…。今はバンダナのようなものを巻いて対処しています。食事はカレーを作ったり、ほとんど自炊しています。」。

【写真】フロリダでのリハビリ、オフの模様(7枚)


 練習拠点とするATT(アメリカン・トップチーム)やリハビリ環境も変化している。

「練習は限られたプロ選手のみがおこなっています。リハビリ施設ではマスク着用が義務付けられていて、マスクをしながらリハビリをするので、めちゃめちゃしんどいです(苦笑)。今は怪我がだいぶ良くなってきているので、リハビリのメニューというより普通のトレーニングになっているので、かなりキツイ(苦笑)。今日もタオルを口に巻いてそのままずっと走らされたので、めっちゃ息切れしました(笑)」。

 2019年11月に手術をした右足は順調に快復し、リング復帰へ向けて着実に歩みを進めている。

「走ったり、ジャンプしたりするまで半年かかって、ずっと動けていなかったので、心肺機能の心配はやっぱりありましたけどね。でも着実に良くなっています。やっぱり、『試合に出たい』っていう気持ちはありますけど、そこで焦ってもどうしようもないので、割り切って、しっかりとリハビリをやっています。体を動かすことに関してはできないことが多かったですけど、その分時間もあるので、リハビリ中はそれまで気にしていなかった栄養面とかマッサージとかについても気を付けるようにもなりました。あと、今こっちでグリーンカードを取って家を買おうとしているので、そういう時間に充てようかなと思っています」

 怪我の報道が出てからは、「これで堀口終わったな」、「キッド(山本KID徳郁)さんも同じ怪我をしてそこから落ちていった」などのマイナスな声も上がった。キャリア初のKO負け、選手生命を脅かす大怪我という試練を前にしても、常に前向きでいられる、モチベーションとは?

「『鈍感であること』ですかね(笑)。あれこれ深く考えたってなるようにしかならないので、そんなに深く考えなくていいんじゃないかなと思います。考えすぎると焦って、思い詰めてしまう。悪い方に考えたらメンタルも弱くなるし、体調とか全てが悪くなってしまうと思うので。結局、マイナスな気持ちになったって、状況は何も変わらないので。だったらポジティブに、良くなったらどうしようとか考えた方がいいと思っています」

 堀口選手が提案する「鈍感力」。全世界で蔓延する新型コロナウイルスの恐怖。先が見えない自粛生活を乗り切るためのポイントを教えてくれた。

「『我慢』って思っちゃうと、やっぱり我慢ってできないですけど、『これが普通なんだ』って思うと普通にできます(笑)。『そうか、これが普通なんだ』ってくらいの感じでマインドコントロールすれば、結構いけます」

 どうにもできない状況を嘆くだけでなく、その中でできる事をポジティブに考える。環境適応力というか、ある種の図太さが世界チャンピオンまで登り詰めた所以だ。

◆堀口恭司 オフィシャルサイト
https://horiguchikyoji.com/

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※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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