子どもたちともう一度「ONE TEAM」に―「ラグビー選手から午前9時のメッセージ」第9回 新型コロナウイルスの感染拡大…
子どもたちともう一度「ONE TEAM」に―「ラグビー選手から午前9時のメッセージ」第9回
新型コロナウイルスの感染拡大により、昨秋のワールドカップ(W杯)で空前のブームが巻き起こったラグビー界も大きな影響を受けた。1月に開幕したトップリーグがシーズン途中で中止。1試合の観客最多動員を記録する試合も生まれるなど、W杯から続いていた盛り上がりが予期せぬ形で途絶えてしまった。
もっとプレーを見せたかった選手、プレーを見たかった子どもたち。距離が遠くなってしまったいま、「THE ANSWER」はラグビー界がもう一度、子どもたちと一つになれることを願って、「#キミとONE TEAM」と題した連載をお届けしている。
元日本代表主将の菊谷崇さんと廣瀬俊朗さんが発起人となり、多くの現役、OB、指導者らが賛同。いま抱えている思いとともに、全国の子どもたちに向けたメッセージを送る。また、記事は連日午前9時に配信。「#きょうのトライ」として、学校が休校となっている子どもたちにきょう1日を使い、やってほしいことを提案する。
第9回は元日本代表で、現在はパナソニックワイルドナイツのFWコーチを務めるホラニ龍コリニアシさんだ。トンガ出身のホラニさんは、日本でラグビー選手として活躍していた伯父さんに憧れて、日本の高校に留学し、そこで初めてラグビーをプレーした。
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僕は2019年に現役を引退して、ずっとプレーしていたパナソニックでコーチになりました。今年のトップリーグの盛り上がりはすごくよかったですね。僕が日本に来た頃、ラグビーを始めた頃は、こんなことになるとは想像できませんでした。公園でラグビーをやっている子がいるんですよ。ここまで浸透してきたのかと、うれしい限りです。
うちのチームには稲垣啓太選手、堀江翔太選手、ヴァル・アサエリ愛選手、坂手淳史選手、福岡堅樹選手、松田力也選手と日本代表が6人いて、いろんなキャラで人気があります。子どもたちもたくさん見に来てくれました。
シーズンが途中で終わってしまったことは、コーチとしても残念ですが、一番残念に思っているのは選手たちだと思います。準備してきたものをファンに見せられなくなってしまったので。ただ、いまは新型コロナウイルスに感染しないようにすること、感染したことを知らずに他の人にうつさないことが大切なので、なるべく家にいるようにしましょう。
僕も家で毎日を過ごしています。中学1年、小学3年、小学2年、1歳と、子どもが4人いるので毎日にぎやかです。それぞれ時間割を作って、僕は宿題を手伝ったり一緒に運動したりしていると、あっという間に一日が終わってしまいます。子どもたちはムチャクチャ喜んでくれますが、僕が大変です(笑)。
子どもたちがいま、できること「コロナが落ち着いたら何をしたいかプランを立ててみる」
僕はトンガで生まれました。日本に来たのは15歳の時、埼工大学深谷高(現・正智深谷高)でラグビーをするために留学してきました。僕の伯父さんがノフォムリ・タウモエフォラウというラグビー選手で、物心ついた時には日本でプレーしていたんです。子どもながらに衝撃を受けた憧れの人でした。僕はトンガでは一度もラグビーをしたことがなく、中学の時は吹奏楽部でトロンボーンを吹いていました。でも、どうしても伯父さんみたいになりたくて、お母さんの反対を押し切って日本にやってきました。
でも、日本に来たのはいいけれど、実際にラグビーを始めてみるとしんどくて……。本当はトンガに帰りたかったけど、帰ってもお母さんに合わせる顔がない。なので、自分で決めたことは最後まで責任を持とうと思ってやりきりました。いまとなっては、日本に来て本当によかったと思います。全然後悔していません。日本代表としてW杯にも出場し、一番喜んでくれたのはお母さんです。ラグビーでここまで来れるとは思わなかった、と言ってくれました。
いま、外に出られなくて残念に思っている子どもたちは多いと思います。でも、いまだからできるとはたくさんあります。コロナが落ち着いたら何をしたいかプランを立ててみるのもいいですね。いまからプランを立てて、落ち着いたら実行すれば、いろいろなことがすごくスムーズにできると思います。そして、自分が決めたことは、責任を持って最後までやりきってください。
海外ラグビーのビデオを見てみるのもいいかもしれません。これまでは外で練習することが多くて、特に海外の試合を見ることはほとんどなかったんじゃないかと思います。海外の選手のプレーを見ると、頭にいろいろなイメージが沸くと思うので、外に出られるようになったら、それを実践してみるのもいいですね。
ラグビーは仲間を大切にするスポーツです。僕にとってもラグビーが出会わせてくれた人たちは一生の友達です。自分のチームだけではなく、他のチームにいる人たちもすぐに友達になれる。兄弟みたいになってしまうのが、ラグビーの魅力だと思います。さっきまで激しいタックルを仕掛けた相手なのに、試合が終わったら笑顔で許しあってしまう。こんなスポーツ、ほかにはないと思います。
ラグビーに出会った子どもたちにも、また外でラグビーができるようになったら、たくさんの仲間を作ってほしいと思います。
【#きょうのトライ「バーピージャンプを100回やってみよう」】
僕はいま、家族みんなで1日100回バーピージャンプをしています。なので、みんなも挑戦してみてください。100回連続してやる必要はありません。10回を1セットとして、起きてから寝るまでの間に100回やる。バーピージャンプは全身を使うトレーニングなので、外に出られない子どもたちには、すごくいい運動になると思います。1日で合計100回を達成すればクリア! 僕はもう3週間以上やっていますが、いまではバーピージャンプをやらないと1日が物足りない感じになってきました。みんなも頑張ってみてください。
■ホラニ 龍コリニアシ(ほらに・りゅうこりにあし)
1981年10月25日生まれ、トンガ出身。中学時代は吹奏楽部だったが、伯父に憧れて日本の埼工大学深谷高(現・正智深谷高)に留学し、ラグビーを始めた。埼玉工業大に進学し、2006年に三洋電機ワイルドナイツ(現・パナソニック)に入団。07年に日本国籍を取得し、08年のカザフスタン戦で日本代表デビューを果たした。11年ニュージーランド大会、15年イングランド大会とW杯には2度出場。15年にはバーバリアンズのメンバーにも選ばれた。19年に引退し、パナソニックのFWコーチに就任した。ポジションはナンバーエイト、フランカー。日本代表キャップ数は45。
(次回は元日本代表の東芝・大野均さんが登場)(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)